雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「30だけど17です」(連載116)




韓国ドラマ「30だけど17です」(連載116)



「30だけど17です」第14話(2人きりの夜)①


☆主なキャスト&登場人物

○シン・ヘソン➡(ウ・ソリ)
○ヤン・セジョン➡(コン・ウジン)
○アン・ヒュソプ➡(ユ・チャン)
○イエ・ジウォン➡(ジェニファー(ファン・ミジョン)
○チョ・ヒョンシク➡(ハン・ドクス)
○イ・ドヒョン➡(トン・ヘボム)
○チョン・ユジン➡(カン・ヒス)
○ユン・ソヌ➡(キム・ヒョンテ)
○チョ・ユジョン(イ・リアン)
○ワン・ジウォン(リン・キム)
○アン・スギョン(チン・ヒョン)

★★★

 部屋に入ったウジンは身体に汗を感じた。
 思わず口をついて出た。
「暑い」
 雨は上がっている。
 外の風を引き入れるためにラバーカップを握った。
 しかし、ラバーカップでいくら押しても天窓は開かない。身体はますます汗にまみれた。
「ああ、もう〜、今日はツイてない」
 ため息をついていると携帯が鳴った。
 ジーンズのポケットから携帯を取り出そうとする。だが、今度は携帯がポケットからなかなか取り出せない。天窓を開けるため、台の上に乘っているから余計だった。
 取り出せたと思った瞬間、携帯は手から離れて床に落ちた。ベッドと網の衝立の間からベッド下に入り込んでしまった。
 携帯は鳴り続けている。ウジンは焦ってベッドの下から腕を伸ばした。丈の低いベッドは身体が入っていかない。両手で持ち上げようとしても大きなベッドは持ち上がらない。
 もう一度腕を伸ばし、頭をねじ込む。指先が何とか携帯に触れた。
「もしもし、カン代表」
「聞こえます?」
 ソリの声だ。
 ウジンは顔を押し込んだ。叫んだ。
「おお、よく聞こえてるよ」
「携帯が変だわ。もしもし…」
 ウジンは必死に叫ぶ。
「聞こえてるよ」


「もしもし…もしもし…」
 ソリは通信の切れた携帯を見つめた。


 ウジンはラバーカップで何とか携帯を外に引っ張り出した。急いでカン・ヒスの携帯に電話をいれる。
 しかし、電話は留守電に切り替わってつながらない。
「バッテリー切れか…?」
 ウジンは頭を抱え込んだ。
「ほんとツイてない日だ〜」

★★★


 ソリとの連絡が取れなくなったウジンは苛立ちに募らせた。
 デートを約束してすっぽかされた恋人に連絡が取れなくなり、その理由を知ること以外に何も考えられない男になり果てていた。そして取った行動はひたすら時間つぶしをすることだった。
 夜が進行して部屋にチャンが顔を出した。
「おじさん、充電器を貸し…」
 ウジンは何の反応も魅せない。
 怪訝に思ったチャンは何かに励んでいるらしいウジンの許に歩み寄った。
「爪に何塗ってるの?」
 ウジンはチャンを振り返った。
「ああ、これ〜、可愛くてつい…」
「変なの〜」
 チャンは笑いをもらした。
「あ、充電器を貸して」
「ああ、持っていけ。カバンのポケットにある」
 チャンはすぐ後ろにあるカバンのポケットに手を入れた。触った写真を何気に握って取り出す。
 電車の中で撮ったらしいウジンとソリのツーショット写真だった。電車で一緒に乗り合わせた人に撮ってもらい、プレゼントでもされたのだろうか。
 ”お幸せに”
 の言葉が添えられている。
 一瞬、チャンは嫉妬の感情を覚えた。


 その頃、ジェニファーは、先日会った女性からメールを受け取っていた。


― 必ず来てください。待ってます。


 ジェニファーは涙ながらにその言葉を噛みしめた。




 スリョン島は風雨にさらされていた。
 民宿に落ち着いたカン・ヒスとソリは、島に取り残された苛立ちでヤケ酒を飲んだ。と言ってもビールだったが…。
 ビールを懸命にあおるソリを見てヒスは笑った。
「ビールが初めてとは思えないわよ」
「初めてなんです」
 ソリは正直に答える。
「すごく美味しいですね」
「見てて思うけど、初体験が多いのね」
「…」
「ほんとに30歳なの?」
「ええ」
 ソリは耳元に手をやった。
「確かに私って変ですよね」
 ヒスを見て言った。
「私が描いてた30歳は代表みたいな大人でした」
「私が大人ですって?」
 ヒスは自分を指さした。
「もちろんです。仕事をバリバリやってカッコいいし、何でもよく知ってます」
「とんでもない。虚勢貼ってるからそう見えるだけよ」
「…」
「そうね〜、心は大学時代からぜんぜん変わってないのに、世間が考える30歳に自分を合わせて生きてるだけ」
「…」
「”自分は大人だ”と思ってる30歳の人なんてどこにもいない」
「そんなものかしら」
 少し考え、ソリは声を弾ませた。
「いたいた〜いました。おじさんは完全に大人です」
 話を聞いたとたん、ヒスは身体をよじらせた。馬鹿笑いした。
「ええーッ! あのコン・ウジンが大人ですって?」
 今度を顔を天井に向けて笑った。
「まさか、本気で言ってる? 人を困らせてばかりいるのに?」
 ヒスはソリをしっかり見て言った。
「どんなに手を焼いているか、見ててわかるでしょ?」
 ソリもあっちを向いて笑った。
「そうかしら…?」
「そうよ」
「知り合ったきっかけは?」
「私が留学した学科にはコンしか韓国人がいなくて―仕方ないから付きまとったわ」
「あいつは高校からドイツの学校だったの」
 興味深そうにうんうんと頷くソリ。
「あんな性格でしょ。私が何を言っても無視されたわ」
 思い当たる節のあるソリも吹き出した。
「それって昔からだったんですね。当時はどんな子でした?」
「そりゃ今と同じで無愛想な…」
 ヒスは突然、思い起こす顔になった。
「そうだった―、あいつの性格が変わったあとに出会ったんだった」
「変わった後、ですか?」
 ソリは身を乗り出すようにした。

 ヒスは天井を見上げた。両手で膝を抱え込んだ。
「お姉さんやチャンによれば、よく笑う明るい性格だったらしいの。無愛想になった理由は私にもわからない」


 ヒスの言葉を受け、ソリはウジンの話を思い浮かべた。

― 昔、僕は―ある少女に取り返しのつかないことをしたんだ… 

「最近のコンを見ていると―元々は明るい性格だったと思える節が時々感じられるのよね」
「えっ?」
 ヒスは顎に拳を当てた。意味深にソリを見つめた。
「思うにソリさんのおかげで変わったかも…」
「私で、ですか?」とソリ。
 ヒスは首に手をやった。ソリを見てて、その手を横に振った。
「気にしないで」
 笑みを浮かべてから切り出した。
「そうだ、コンに電話したら?」
 携帯を指さす。
「充電できてるはずよ。私はお風呂に入る」
「はい」
 2人は腰を上げた。






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