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雨の記号(rain symbol)

地震

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 仕事を終え、車を駐車場から左折で出そうとした時だった。身体が揺れ、眩暈のようなものを感じて出ていきかけた車を止めた。
 幹線道路に出ようとする停止線でバイクが止まり、男が僕の方に険しい表情を向けてきた。
 またがっていたバイクから降り、ハンドルを握ったまま辺りをうかがっている。
 ああ、眩暈なんかじゃない、地面が揺れているのだ、と僕は得心した。しかし、この程度ならと思って、車を発進させた。
 身体の激しい揺れがまた始まった。今度の方が強い。神経が小刻みに揺さぶられ、やっぱり眩暈のような気分だ。
 信号が青に変わった。男はバイクに乗って走り出ていかない。バイクを道路端に引っ張っていって止め、自分はそこでしゃがみこんだ。そして僕を見た。苦笑いを浮かべ駐車場の車を指差した。
 僕は車のエンジンを止め、しばらく様子を見ることにした。車の窓を開けると、男はそれを待っていたように走りよってきた。
 大駐車場の車群が同じようなリズムで前後左右に揺れ続けている。生まれて初めて見る光景だった。ここのどこかがそのうち地割れするのではないかと思った。
「あっちを見てください。建物や高圧線があんなに揺れてます。街道を走り出すのは危ないかもしれません」
 見ると建物だけでなく工場を包み込む景色全体が揺れていた。空が揺れ、地面が揺れ、僕の身体も揺れ続けた。
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