
「それなのに一頭が…」
ケジュはため息をついた。
「不治の病にかかったのよ」
ヒョジョンは天を見上げ、落胆のあまりその場にへたりこんでしまった。
カンジャは道端に座り込んで空を見上げた。嬉しそうに独り言を言った。
「雪が降りそうだわ」
チョルスたちは釜山に向かって車を走らせている。ドックは曇り空に目をやった。
「何だか肌寒いな」
チョルスを見た。
「サンシルさんは…船や携帯の記録がないことを知ってるのか? 誰かが隠したんだろ?」
「確証もないのに決め付けられないさ」
「もしも誰かの仕業だとしたら…記憶が戻った時はショックだろうな。裏切られたことになるんだから」
チョルスはドックを見た。
「俺の思い過ごしだろう。そんなわけもないさ」
そんなやりとりをしながら走るチョルスたちを背後からぴったりマークし続けている車がある。運転しているのはコン室長だった。
「そうか。しっかり見張れ。任せたからな」
携帯を切り、ビリーは自分に言い聞かせた。
「そうさ。結婚式の時に戻るんだ。そういえば…アンナの指輪はどこ行ったんだ?」
指輪は冷蔵庫のそばに落ちていた。
冷蔵庫のドアを開け、アンナは中から袋入りの漢方薬を取り出した。
「記憶さえ戻れば花束女なんて問題じゃない。しかもこの薬のおかげで記憶も少し戻ってきたわ。不思議ね…何が入ってるの?」
アンナはしげしげ薬の袋を眺めた。
カンジャは寒さでかじかむ手をこすりながら言う
「今日は暑いから雪が降りそうですね」
話を交わしている相手はビリーだった。ビリーはカンジャに話を合わせた。
「指輪を見つけたら雪を降らせてあげますよ」
カンジャはビリーを厳しい顔で見た。
「おじさん、そんなことは無理よ。人をバカにして」
「…」
「雪は…ドックさんが降らせるんです」
「本当に大事な指輪なんです」
ビリーは手を差し出す。
「返してよ」
カンジャは財布に手を伸ばす。
「指輪だな!」
ビリーは叫ぶ。
カンジャは目を丸くする。
「それは僕のだ」
カンジャは財布から何か取り出す。
「私の宝物なんだから」
「僕の宝物だ。さあ」
ビリーは強要する。
カンジャは仕方なさそうに両手の中の物をビリーの手のひらに落とした。それは花で作った指輪だった。
ビリーは当て外れてがっかりする。
「おじさん、指輪をあげたからもう帰って。お姉さんはダメよ」
「…」
「お姉さんはチョルスさんが好きなの。いなくなったらチョルスさんも泣くし、お姉さんも泣くわ」
「…」
ビリーはチョルスの家へやってきた。
グンソクたちと無邪気に遊ぶアンナを遠くから見つめた。
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