goo blog サービス終了のお知らせ 

雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「青い海の伝説」第13話⑧






韓国ドラマ「青い海の伝説」第13話⑧


韓国ドラマ「青い海の伝説」第13話⑦ 



★★★

 ジュンジェはホン刑事らとマ・デヨンの足取りを車で追い続けている。
「マ・デヨンには確か通院歴があったよな」
「ああ」
「何科だ?」
「精神科だ。妄想性障害と躁うつ病の治療を受け―暴力的な衝動を抑える薬を処方されてた…」
「だったら今もその薬がいるんじゃないのか? トラブルのストレスを軽減するために…」 
「そうかもしれないな」
「医者の中にヤツへの協力者がいるかも」
「あんな殺人犯に協力する医者が?」とホン刑事の相棒。
「可能性はある。調べるに越したことはない」
「分かった。調べてみよう」とホン刑事。
「その先で止めてくれ」
 ジュンジェは車をおりて手を振った。
 歩き去るジュンジェを見送ってからホン刑事の相棒はぼやいた。
「まるで上司を相手にしてる気分だ。どうしてあいつに従うんです?」
「振りをしてるんだ。マ・デヨンを捕まえるためにな」
「そうですか…俺にはなぜか仲がよさそうに見えるんですが」
「…」

 セファと仲良さそうにしてるモランを見ていると、シアの不安はどんどん膨らんできた。
 写真のことが気になってならず、ジュンジェの子供の頃についてシアはナムドゥにいろいろと聞いた。
「ジュンジェのお母さんだけど、どんな人だった?」
「10歳の時に生き別れたことしか俺は知らない。母親はいくら探しても今まで見つからないで来てる」

「見つけてあげたいわ」
「会えたら絶対仲良くなれるのに…」

 もしもあの人が母親だったら、今まであまりに邪険にして来過ぎた。
今までの好意的な言葉の数々はすべて無に帰してしまいそうだ。

 この人がジュンジェの母親だったら自分はどうしたらいいのだろう…。
 セファと親しそうに話をするモランを観察しながら、シアは深い後悔と絶望にさいなまれだしていた。

★★★




 自分の作った料理を箸でつまんで味見させ、モランは訊ねる。
「どう?」
「超美味い」
「えっ?」
「知らないのね。最近、ネットで覚えた言葉よ。すごくおいしいってこと」
「よかった。作り甲斐があったわ」
 様子を窺っていたシアは居たたまれない思いでそろそろと顔を出す。
 セファとの関係を知らないモランは訊ねる。
「もう出せますが、シアさんの好きな人はいつ来るの?」
「…好きな人って」セファはモランを振り返る。「まさか、ジュン…」
 その瞬間、セファはシアから口を塞がれている。
 手でセファの口を押えたままシアはモランを見た。
「いいからもう帰りましょう」
 と言い、玄関の方を気にする。
 セファはシアの手を押しのける
「いきなり、何するの」
「帰る?」
「ええ」シアは怪訝そうにするモランの手を取った。「今すぐです。さあ、早く」
 セファは何が何か分からない。
 ただあっけに取られているうち、シアはモランを従え引き上げて行く。
 玄関のところで外の様子を窺い、シアは先にモランの背を押す。
「急いでください」
 ドアの外に出たところで誰かが階段を上がってくる靴音がしだす。ジュンジェだ。モランは階段を振り返ろうとするが、シアがその背を押す。しかし言葉つきは丁寧だ。
「振り返らないでください」
 仕方なくモランはシアに促されるまま階段を上がっていく。止めてある車にたどりつく。シアはドアを開けてモランを促す。
「自分で乗れるのに…」
「いいんです。早く乗ってください」
 階段を上がってきたジュンジェはいそいそ引き揚げていく連中をわけもわからずぼんやり見送った。 


「エリザベス、いったい誰に似たの?」 
 エリザベスを勉強させながらジンジュは苛立ちを募らせている。近頃、禄がないこと続きでむしゃくしゃした捌け口は1人娘に向かっていた。 
「九九も覚えられないなんて…まったくもう…」
 そこへシアたちが引き揚げてきた。 
「今、戻ってきました」
「お帰りなさい」
 モランの声にジンジュは丁寧な口調で応じてから、娘に対して愚痴を並べる。
「どう教えたらいいものか…」
 部屋に引き揚げるモランを見送ってから、シアはジンジュのそばにやってくる。
「お義姉さん」
「お帰りなさい…早く解きなさい!」
 エリザベスを叱りつけてジンジュは訊ねる。
「何? どこへ行ってたの?」
「おばさんに息子がいるって言ってたでしょ?」
「うん。それがどうしたの?」
「息子さんのことで何か知りませんか?」
「そうね…確か…ものすごいイケメンで…そうだ、何でも科学技術院に通ってたらしいわ」
 そこまで聞いてシアは愕然と肩を落とした。
 ジンジュはそんなシアを不思議がる。
「でも…離婚後は離ればなれになって―連絡も取れないみたいよ。いったいどうしたの?」

 ジンジュに訊かれ、モランに対する邪険な言動の色々がシアの脳裏に戻って来だす。

―「私にお説教を」

―「姑でもないくせに、嫁いびりにでも遭ってるみたいだわ」
―「決心した人を引き留める必要が?」


 シアはよろよろ立ち上がる。
「いいえ、何でもありません」
 気が抜けたようにそこから離れる。
「どうしたのかしら…」
 ジンジュはエリザベスの勉強に関心をもどす。いきなり声を荒げる。
「6×6は42じゃないでしょ!」


 シアはモランが大事にしてる写真立ての前に来た。携帯に撮った写真の画面を引っ張り出して画像を見比べた。不吉な予感は当たってしまった。シアはその場で崩れ落ちた。
 そこへモランが戻ってくる。
「シアさん」
 シアは力なく振り返る。
「私の部屋で何を?」
「もしかして」
「…?」
「写真の男の子は―息子さんですか?」
「…そうです」
 それを聞いてシアはうな垂れる。
「母親似じゃないんですね」
 モランは椅子に腰をおろした。
「似てますよ。みんなそっくりだって…」
 ふと見るとシアは話を聞いてる風ではない。悲痛な表情になっている。どう見ても悲しんでいる姿だ。
 モランはそれを訝しむ。
「どうしたんです?」
 シアは顔を上げる。ふだんの姿をとりつくろう。
「よく考えてみたんですが、今までおばさんに…奥様、いえ、お母様とお呼びしてもいいですか」
「私をどうしてそう呼ぶの?」
「確かに母親じゃないですけど」
「…」
「母親になってほしいような…」
「どこか具合が悪いの?」
「別にそういうわけでは…長い間、私は心の具合が悪かったようです。でも、やっと本来の姿に戻れました」
「…」
「ああ、喉が渇いたわ。お水をください」
「…」
「あ、いえ…お水は如何ですか?」
「私はけっこうよ」
「…」
「水をお持ちします」
「いいんです」
 シアはさっとモランのひざ元にすりよる。
「その…じつは…」
「いったい、どうしたんです? 私に何かお話でも?」
 シアはため息をつく。やっぱり話せない。
「この次…お話はこの次にさせてください」
「…」
「ほんとにすみません…お義母さん」
 シアは逃げるように部屋を出ていった。
「どうしたっていうのかしら…?」
  モランは首をかしげるばかりだ。




名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「韓国ドラマ「青い海の伝説」」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事