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雨の記号(rain symbol)

韓国ドラマ「朱蒙」第15話

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 帯素はヤンジョンに会い、ヘモスの首を差し出した。おののくヤンジョンに帯素は言った。
「しかとその首を見てください」
 席を設けてもらい、話し合いの場を得た帯素は、私が王になればハンナラとは戦さをしない、武器の裏取引も根絶しよう、と切り出した。

 トチはヨンポに、塩千俵の取引に成功しました、と報告した。
 それをきいてご機嫌のヨンポは、私が王になった暁には、お前に夫余の商権を与えてやろう、と大見得を切った。

 ヨンポの嬉しい報告があった後、帯素はヤンジョンとの交渉を成功させて戻ってきた。
塩一万俵のおまけつきで、驚き、がっかりするヨンポ。陛下の実績まで持ち上げ得意満面の帯素。

 召西奴はこの報せをすぐ朱蒙に伝えた。それを喜ぶ朱蒙に唖然とする召西奴。
「本心ですか?」
「本心です。・・・問題が解決されてよかった」
「帯素王子にあれだけ侮辱されたのにそんなこといえますか。私なら悔しくて眠れないでしょう」
「侮辱も受けるほど慣れてくるものです。あれくらい何でもありません」
 気の強い召西奴は呆れた。
「情けない人・・・!」

 ヨムウル主管の席で一人の神女が始祖山のタムル弓が折れていたとの報告を行った。
 それを聞いてヨムウルの顔色は変わった。
「タムル弓が折れていたというのはほんとですか?」
(第14話より)

 朱蒙は矢を射続けた。
 ヨンタバルたちは朱蒙のその様子を眺めた。
 ウテが言った。
「暇さえあれば、ああして修練に励んでいます」
 ヨンタバルは頷き、朱蒙に声をかけた。
「すごい腕前だ。朱蒙という名は矢の達人という意味か」
「はい」
「そういえば昔、弓術の達人がいた」
 召西奴が口をはさんだ。
「タムル軍で活躍したヘモス将軍でしょう」
 すぐ口をついて出たところを見ると、召西奴はヨンタバルからこの話を幾度も聞かされたことが想像される。
「そうだ。時が時だったなら帝王になれる器だった・・・」
「その方が私の師匠でした」
 朱蒙は言った。
 そこにケピルのヨンタバルを呼ぶ声が聞こえた。
「帯素王子が召西奴アガシーを宮へお呼びです」
 ヘモス将軍の弟子と聞き、あらためて朱蒙に親しみを覚えたらしい召西奴は、もうこんな時に、という顔で言った。
「自分が出向いてくればいいのに」

 プドウクブルはヨミウルのもとに各部族の神女が集結していることを告げた。
「大使者」金蛙王は言った。「大使者がヒョント城に言っている間に、私はヨミウルに一切の国政を相談せぬと伝えた。これ以上、ヨムウルを信じられぬ」
「ヘモス将軍を監獄に閉じ込めたからですか」
「そうだ。二十年間も地下の監獄に閉じ込められていた。ヘモスの心中を思うと、すぐにもヨミウルを殺してしまいたいほどだ」
「陛下。お気持ちは察しますが、ヨミウルは天地神明の代身です。どうか慎重にご判断ください」
「神宮の権力侵害にはもう我慢がならぬ」

 帯素の母子と宮廷使者は高笑いを響かせていた。ヘモスの首を差し出し、ヤンジョンとの交渉を成功に導いた帯素は上機嫌だった。
 そこへ召西奴がやってきて、ハンナラとの摩擦を解決した帯素にお祝いを述べた。
 帯素は上機嫌で応じた。
「はっはは。これで夫余の交易を代行する商団も利益を得られるであろう」
「存じております。父に代わって、お礼もうしあげます」
「はっはは。礼などいらぬ。商団の助けになれば、私も嬉しいのだ」
 帯素は高価そうな漆塗りの箱を取り出した。
「何ですか」
「あけてみなさい」
 促されて箱をあけた召西奴は嬉しさより戸惑いに沈んだ。そこにはぎっしり宝石がつまっていたが、気持ちはそれに順応できなかったようである。

 世話女房型の女、召西奴にとって、朱蒙のノンビリズムはどうも悠長に思えてならないようである。
 帯素から贈られた宝石を前に召西奴は彼の言葉を思い返していた。ぐずぐずしてはいられない思いが彼女の心を包みだしているところへ出荷目録をかかえて朱蒙がやってくる。
 出荷目録など目もくれず、召西奴は、ちょっと座ってください、と言った。
「私は朱蒙王子様の本心がさっぱりわかりません。理解しようにもできません。帯素王子様がヒョント城に行き、ハンナラとの交易摩擦を解決しました。おっしゃるとおり、夫余にとって喜ぶべき事。だけど今、帯素王子は朱蒙王子様の競争相手です。なのに、なぜ平気でいられるのですか。太子を目指す男なら、少しは危機感を持つべきではありませんか。太子にはなりたくないのですか」
「望んだとしても何もできないと言ったはずです」
「悔しくないのですか」
「得にならぬ怒りは毒になるだけです。兄上たちを見ていて、私が国のため、何が出来るか考えています。時が来ればやるべき事が必ずあると信じます」
「何か方法があるのですか」
「・・・ありません」

 朱蒙が出て行った後、召西奴はつぶやいた。
「何も考えていないと思ってたけど、いろいろと考えているのね」

 朱蒙はプヨンのもとへ出向いた。トチに会って申し出た。
「プヨンを連れていきたい」
「王子様なら何をやってもいいのですか。プヨンは俺の奴隷です」
「プヨンはミョンサ国の貴族出身だ。知らないのか」
「それは昔の話でしょう。連れていくなら金を出せ」
「いくらだ」
「プヨンで五千両、弟二人を入れて一万両だ」
「そんな馬鹿な金額があるか」オイが叫んだ。
「何なら、法に訴えてもいいですぜ」
 朱蒙はプヨンの肩に手をやって言った。
「もう少し待ってくれ。必ずお前を自由にさせてやるから」

 トチの前でヨンポは弱音を吐いていた。トチは落ち込んでいるヨンポを慰めていた。
「ヨンポ王子様こそ太子にふさわしい方です」
 ヨンポはプヨンを呼んでこさせた。
 プヨンに酌をさせ、肩を抱こうとして拒まれると刀を振り上げた。
「こいつが! 朱蒙には抱かれても、俺には抱かれたくないというのか」
 トチはうろたえながらヨンポをなだめた。
「この女は下女です。下女を斬ったところで何になりますか」

 ヨンポの帰りをソルリャンが呼び止めた。
「ヨミウル様がお呼びです」
 ヨンポに会ったヨミウルは折れたタムル弓の件でヨンポを問いつめた。問いつめられ、ヨンポはヨミウルに真実を告げた。

 ヨミウルは神通力の強いピョリハ(ヨミウルより凄い神通力の持ち主のようだ)を連れて来させ、三人の王子に会わせた。ピョリハは帯素とヨンポには何も感じるところがなかったようだった。やはり、と納得したヨミウルはピョリハを朱蒙の前に立たせる段取りを打つ。
 宮に向かってムソンと町中を歩いてきた朱蒙の前に立ったピョリハは、朱蒙を見つめることしばしで突然気を失ってしまった。ヨミウルはこれを確認する。

 朱蒙はムソンをモパルモの警護につけた。モパルモの持つ技術とあくなき情熱こそがやがて自分の運命を大業に向けて導いていってくれるだろう。朱蒙は職人であるモパルモを友とし、将来を賭ける同志にもした。強固な鉄製武器開発に向かう彼の情熱と忠誠心を見込み、最初に打った布石である。
 モパルモを加え、オイ、マリ、ヒョッポ、ムソンに朱蒙は自分の目指す大業の手始めを口にする。この五人が、高句麗国建設に向かう第一布陣となったわけだ。
 このモパルモの命をヨンポは狙った。刺客を追い払った朱蒙はついに立ち上がった。
 朱蒙は二人の前にやってきた。力強く言い放った。
「私の口を封じようとするなら、それは間違いです。兄上たちが塞がねばならない口は今やひとつではありません。今の私はもう昔の私ではありません。脅しも恐れておりません。私の命を狙い続けるなら、兄上たちも自分の身も案じてください」
 そう言い置いて朱蒙は部屋を出た。
 帯素に見下されたヨンポも帯素を睨みつけて部屋を出た。

 ユファ夫人の部屋で朱蒙は訊ねた。
「顔色が悪いですけど、何かあったのですか」
「いいえ」ユファ夫人は答えた。「久しぶりに父の夢を見たからでしょう」
「ハベク族の首長だった・・・?」
「そうだ。現実のような夢だった。夫余でも塩が貴重だけど、昔、ハベク族でも塩は貴重品だった。塩を百俵くれるという男に父は私を嫁がせようとした」
「それが父上ですか」
「陛下とはハベク族がハンナラ軍に皆殺しにされた後、お会いして鉄器軍に連行される途中、私を救ってくれたのです」
「ハンナラ軍はなぜハベク族を皆殺しにしたのですか」
 ユファ夫人はじっと朱蒙を見つめた。
「その話は今度しましょう」
 ユファ夫人はヘモスとの約束を思い出したようだ。
(朱蒙はこれからもクムワの息子です・・・)
 ユファは別の話をした。
「幼少の頃、父に聞いた話では、コサン国に塩だらけの山があるそうよ。父はいつもそこに行きたいと言っていたけど、一度も行くことがなかった」
「塩はオクチョのように海に面したところに採れるのではないですか。そんな話は一度も聞いたことがありません」
「そうね。塩を求めるあまりにそういう噂がたったのでしょう」

 朱蒙は塩山の話を確かめようと思い、マリたちにコサン国の人間を探すよう指示を出した。
 朱蒙は召西奴に申し出た。
「アガシーに取引の話があります」
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