以前書いた本のお話の続き。
井上靖「夏草冬濤」。この話は俺が中学校2年国語に載っていた教材だった。主人公洪作が純情な少年から、不良っていっても青春を謳歌する上級生たちに憧れ、そして、自由奔放な生活を楽しむ寸前までを書いた自伝的小説。
高校受験を目の前にして、なんか自由を得たいっていう欲望を主人公に投影して、あーこんな学生したいっておもちゃんたんだよね。ま、中、高ではできなくて、大学でやっちゃいましたけど。
ま、それはさておき、青春期の諸君にはお薦めの小説だと思うよ。しろばんば、夏草冬濤、北の海 の三部作はぜひ読んで欲しい。なんか、面白い事件があってとか、そんなんもんないけど、湯ケ島の風景、沼津の風景、そして金沢。大正末期から戦前までの日本のなんかこう、よき風景というか人情というか ほのぼのしますよ。人が人らしく、そんな気がしますな。
便利になったことで失ったものがあるような、そんなことも感じられるし、青春期真っただ中の学生の今昔についても考えさせられる気がします。
本当に お薦めでんす。