傍聴絵日記

@さいたま地裁傍聴席

ネトゲの垢は抜き放題だと思った?

2016年07月08日 | 刑事事件
平成28年(わ)第542号等 

水野 航太 

不正指令電磁的記録供用、不正アクセス行為の禁止等に関する法律違反、私電磁的記録不正作出、同供用

【論告】
被害者に一定程度の落ち度を指摘しつつも
懲役2年を求刑しました。

独学でプログラミングを学んだ被告人はオンラインゲーム上で不正な操作を可能にするいわゆる「チートツール」を作り上げ、ネット上で無料公開していました。
その甘いエサ(チートツール)に群がる蟻をカモろうという意図が被告人に当初から存在したのかは、被告人のみが知るところですが、そのチートプログラム(ツール)には使用者のネットゲームのIDとパスワード、いわゆるアカウントを被告人に送信する機能も同時に含まれていました。

しかしながら、自身に宛てメール送信するとは、犯人は自分ですと堂々と公言する様なものですから、利口なのか馬鹿なのか判断に困ります。

【アカウント】
被告人は他人のアカウントを入手して、何をしていたのかと言えば、他人になりすましてゲーム上でのアイテムを手放させて、自らのアカウントで再びログインして、落ちているアイテムを拾いに行くと言う何とも気の遠くなる作業をコツコツと行っていた様です。

先述のツールで不正に取得した他人にアカウント情報が被告人のパソコンから138件分発見されています。
結局、その138件の中で被告人が欲するアイテムを所持していて、被害に遭った人物はその一部に限られます。
ですから、被害規模は労力に比して必ずしも大きいとは言えないのですが、被害に遭った側としては小さくない被害ですし、評価方法により算定額に大幅な開きがありますが、それでも追起訴分4件で計数十万円の被害と算定されています。

本件犯行に要した労力をきちんと生かして収入に繋げれば、正規の課金手続きで、好きなアイテム取り放題の可能性もあったと思えるのに、残念な被告人です。(プログラム持込もパソコンにも触れていないと言います)

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