なんとのぉへろへろ日記

へろへろ人間によるなんとのぉ過ぎ行く日々のつぶやきです。

鈴木志郎康のプアプア詩

2004年11月15日 | Poetry
ひょんなことから大学時代に授業で使っていた現代詩の教科書のことを思い出し、手に取ってもう一度読んでみたくなりましたん。
当時詩人と言えば、小学校で習った萩原朔太郎や谷川俊太郎位しか知らなかった私にとっては、毎週紹介される現代詩人が非常に興味深くて、授業をとても楽しみにしていた記憶があります。(毎月の詩の提出は大変だったけど。散々だった。ブヒーッ!)

今日は中でも特に変態的に魅惑的で衝撃的だったこの詩を紹介してみます。と言っても長いので、冒頭部分だけ。

売春処女プアプアが家庭的アイウエオを行う(冒頭部)  鈴木志郎康

先ずは妻が歩いている
股さかれて
気が触れているのかバスセンターよ
髪毛は夏向きにショートカットする
ズボンもショートカットする
男根もショートカットすればいいわ
それでは詩はせめてロングロング

今ここにカットされる妻の首
これがねらいだったのね、結婚のねらいね
廊下は生えて来た無数の乳房のために足音がしない
ああ、恒常的に衛生的にみがかれた妻の乳房は黙々と生えてくる
ねじれてる
嫉妬してる
妻は素早く手術台の上に売春処女プアプアを固定する
黙々と家内が処女生殖器を大陰唇小陰唇処女幕から左右卵巣を手ぎわよくカットして行きます アーアー 只今マイクテスト中


この詩を初め、一連の「プアプア詩」は社会的に一大センセーショナルを巻き起こしたそうです。そうでしょう、そりゃそうでしょうねぇ。
普通の頭で考えると、全くもって訳がわかりませんが、でも何となく読めてしまう不思議さよ。猥雑で暴力的な言葉の合間に見られるナンセンスユーモアが小気味悪くも気持ち良いような。なんつーか、現代アートやね。なんてこんなくくり方したら怒られるのかな。でも読んだ時の感覚が、一風変わった芝居や抽象画を見た時のそれに近い気がします。何かが通じているんじゃないかな。

確か当時はこの人の詩集を読んで感想文を書いたはずなんですが、私ったらどんなの書いたのかしら?全く思い出せません。多分無理矢理捻り出したんだと思います。先生もさぞ呆れていたことでしょう。ぷはー。

谷川さんのように美しい言葉の流れも良いけど、時にはこんな破壊的でエネルギッシュな言葉も良いですねん。言葉って不思議ですなぁ。単なる五十音の羅列なのに、こんなにも様々な世界を作れるもんかねぇ。いやぁ、詩人ってほんとスゴイ。

二十億光年の孤独が…

2004年10月09日 | Poetry
なんとのぉテレビをぽちっとつけてみたら、NHK教育でどこぞの合唱団が歌を歌っとったん。曲名は「二十億光年の孤独」。かの有名な谷川俊太郎の詩やね。あれ合唱曲になっとったんやねぇ。

残念ながら、合唱曲になった「二十億光年の孤独」にはあまり惹かれるものが無かったわん。当たり前やけんど、歌詞になるとなんちゅうか言葉が響いてこんねぇ。
誰がこれを合唱曲にしよう!と思ったんやろうか。まさか谷川氏本人やったりして。
そうでないことを祈りたいわん。

この曲を上手に歌う為の方法を教えているサイトを発見したんで見てみたんだが、全く無関係の私にとっちゃぁ結構笑える話であったよ。勿論指導者にとっては大変分かりやすくて有り難いサイトであろうとは思いましたんよ。ただ私は部外者やけんね。部外者としてはその世界の専門用語がおかしかったりするやん。
例えばこんなん。
「人類は小さな球の上で」まで、ずーっと緊張感を保って、ひとまとまりとして歌う。できれば一息で。どうしてもたりなければカンニングブレスで。
カンニングブレスって何や?ちょっとオモロない?
安直な想像だが、テスト中にカンニングする時の誰にもバレないようにと緊迫した息づかいを思い描いてしまったわ。いつも思い切り目を見開き、満面の笑みで歌い続ける合唱団員が、時々細い横目でチラ見をしながら素早く息を吸い込み、その後何事もなかったような素振りで、また200%の眼力と笑顔に戻るという絵面を。
※正解はこのサイトの下の方に載ってます。ま、そんなに遠からずという感じ。

最後にはこんなアドバイスが…
歌うことに疲れたら、みなさんの「火星人」はどういうイメージか、絵に描いてみてはいかが?
授業中にこんなんいきなり聞かれたら、「この先生頭おかしいんとちゃうけ?」と思ってまうのは私だけでしょうか?いやいやまさか、そんなことないですよねぇ。指導者の方々は是非このアドバイスを参考にして頂きたいもんです。

他にも色々ツッコミどころ満載なので、お暇な方は是非ご覧あそばせ。
※重ねて言っておくが、私はこのサイトを決して馬鹿にしているのではないぞよ。「へぇ、こんなに細かく指導するもんなんやなぁ」と、少なからず感心したのも事実であるぞよ。ただ外者の視点から見た面白さをアピールしたいだけぞよ。

さてさて、なんだか眉間に皺が寄ってしもぉたので、本物を読んで心を落ち着かせよう。

二十億光年の孤独 谷川俊太郎

人類は小さな球の上で
眠り起きそして働き
ときどき火星に仲間を欲しがったりする

火星人は小さな球の上で
何をしてるか 僕は知らない
(或はネリリし キルルし ハララしているか)
しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする
それはまったくたしかなことだ

万有引力とは
ひき合う孤独の力である

宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめ合う

宇宙はどんどん膨んでゆく
それ故みんなは不安である

二十億光年の孤独に
僕は思わずくしゃみをした


久々に読んだけど、あっちゅう間に世界に引き込まれるねぇ。何とも言えない気分になるのよ。言葉の力ってすごいわー。

しかし気になるんがこの詩集の発行所。家にある詩集「二十億光年の孤独」の発行所名は「株式会社サンリオ」って何でやねん!あの楽しげなロゴがはっきりと刻印されとるんですわ。出版所他にもいっぱいあるやーん。何故にサンリオ?しかも一体サンリオのどの事業部が担当しているのか、会社案内を見てもあまりわからなんだ。誰か教えて頂戴ー。