毎度。リスナー諸氏には大変お世話になっております。
きっかけはいつの頃の話題でしたかね。
自分は『愚者Q』のパーソナリティでありながら、
期ごとのアニメをしっかりチェックするわけでもなく、
最新ゲームに対してアンテナを張っているわけでもなく、
マンガ雑誌やアプリにばんばん課金しているわけでもなく、
敢えてオタクなるものを『沼に足突っ込み度』みたいな尺度でランク付けしてみたとしたら、そのヒエラルキーの最下層でくすぶる、口を開けば狭い範囲の昔話ばかりの老害オタでしかないのであり、リスナーさんから「〇〇見ました?」とか「△△聞きました?」みたいな問いかけがあっても、大抵は「見てないっす」「聞いてないっす」みたいな答えしか返せず、いつだったかキャバクラ行ったときに女の子に「ツムツムやってます?」って聞かれて「やってないです」って言ったら会話が終了しちゃった時みたいな、あんまり良くない空気になっちゃうことがよくあります。
「推しの子」に関しても同じで、自分が原作を読み始めたのはアニメ終了後で、当然アニメ版も観てないワケで、カッカに「え、あんなに売れてるのに「アイドル」聞いてないの?」みたいなしゃらくさい謎マウントをされても、はいそうですとしか言えなかったワケです。
別にそれを悔しいと思ったワケでもないのですが、今回はたまたま興味が湧いたので、じゃあじゃあじゃあ、とばかりに、聞いてみたわけなんです。「アイドル」を。
で、今回は、普段であれば『愚者Q』内でしゃべっちゃう、「アイドル」を聞いてみて、それから、水星ちゃんとかでも流れた、YOASOBIとアニメ作品のコラボした楽曲も併せて聞いてみての感想を、なんの気まぐれかわかりませんけど、ちょっと文字にしてみようと思い立ちましたので、このエントリを書いています。
長い前置き、ここまで。
アニメ番組の前後に流れる主題歌などのいわゆる「アニソン」なるものは、始祖たる「鉄腕アトム」からすでに存在しておりました。
番組のアタマと終わりに曲が流れるというフォーマットは誰の発明なんでしょうね。これはテレビに限らずラジオでも使われているフォーマットであり、思うに番組の『境目』を明確にするためのツールとして、また、ある程度の時刻を示すジングルとしても使われてきたものなのでしょう。
で、初期のアニソンの歌詞はと言えば、
♪空を超えて ラララ星のかなた~
♪空にそびえる 黒鉄(くろがね)の城~
などなど、主人公たるキャラクターの姿をあらわしていたり、
♪まぶしい空を 輝く海を 渡せるもんか 悪魔の手には~
♪必ずここへ 帰ってくると 手を振る人に 笑顔でこたえ~
というような、主人公(たち)の取るべき立場だったり、決意だったりが歌われているのが常でありました。
それが変わってくるのは、Zガンダムの頃からでしょうか。
♪今は動けない それが運命(さだめ)だけど~
いや、動けよ。
♪アニメじゃない!
いや、アニメだろ。
ともかく、初期の頃に見られた、主人公の姿(技名)や、決意だったりというのはどこかに行ってしまって、なんだかオシャレっぽいんだけど、アニメの本筋からはちょっと離れちゃったような歌詞が増えてきたんですよね。
この辺から、アニソンがただのアニメの「主題」を歌ったものではなくなり、「曲」としてアニメから離れても成立するもの、売れるものとして考えられるようになって、アニメの知名度を利用して曲を売りたい曲提供者と、曲を利用してアニメに話題をもたらしたいアニメ制作者の間のwin-winな関係により、コラボの場として定着していくようになったように思います。
そうなってくると、
♪擦れ違い急ぐたびに ぶつけ合いちぎれあう~
♪言葉見つけられず 思わず触れた肩先~
というような、有名タイトルの主題歌でありながら、曲としての完成度は高まったのかもしれないけど、これってアニソンじゃなくね?みたいな曲が増えることになったのは、ある意味当然なのかもしれません。
止め絵からのイントロドン、の様式美でおなじみのあの曲だって、歌詞から当のアニメを結びつけるのは知っていないと難しいでしょう。
そうそう、一部で話題となっていた
♪アスファルト タイヤを切りつけながら~
について、自分は道路(アスファルト)にタイヤ痕を残しながら走るクルマorバイクの情景を思い浮かべますね。
その、まさにアスファルトを切り裂くかのごとくタイヤ痕をアスファルトに残していく様が、あの歌詞になったんじゃないかなー。
・・・って、マジメか。
さて、そんな時代が続くこと、30年以上。
一部のロボットアニメみたいに狙ったものや低年齢向けのもの以外は、アニメ主題歌は「アーティスト」の活動の場として定着してしまった中に、水星 彗星のごとく登場したのが、YOASOBIによるアニメ楽曲。
♪誰かに愛されたことも 誰かのこと愛したこともない そんな私の嘘がいつか本当になること 信じてる
えっ?
この歌詞、「最近のアニソンはこんなもの」な先入観のある自分にとってはちょっとした驚きでした。
これって、原作のあの号泣シーンに繋がる、アイの心情ですよね(本人はその瞬間まで半信半疑だったけど)
この歌詞の作法って、もしや。
ちょっと別な歌の歌詞ものぞいてみましょうか。
♪ずっと昔の記憶 連れられて来たこの星で君は 願い続けてた
♪逃げる様に 隠れる様に 乗り込んで来たコックピットには 泣き虫な君はもう居ない
これはもう有名になった、エリクトからスレッタへの『祝福』ですよね。
この作法も、アレです。
それから
♪物語は終わり 勇者は眠りにつく 穏やかな日常を この地に残して
♪いつの間にかどうして 頬を伝う涙の理由(わけ)をもっと 知りたいんだ
♪今更だって 共に歩んだ旅路を辿れば そこに君はいなくとも きっと見つけられる
はい、現在大好評放送中のアレの、死んじゃったハゲ 勇者と、彼のために涙した主人公の姿そのまま。
というわけで、YOASOBIさんのアニメコラボ曲を聞いてみると、歌詞が作品に寄り添っており、作法としては古のアニソンの手法を取っていることが分かります。しかも、あまり難しい言葉を使わず、簡潔に、だが、それゆえに伝わりやすい言葉を並べて、物語の「主題」を聞いている人たちに届ける。これってなかなか難しくて、変に難しい言葉を思わせぶりに使っても、厨臭くなって聞いてて腰が引けちゃうけど、そこんとこ上手くバランスとって、簡便な言葉を使うけれどもロマンチックな雰囲気を残して、詩として仕上げている。
この辺が、作品とは一定の距離を取り楽曲としての完成度を保とうとする従前の「アニソン」との違いとして、若い人たちに受け入れられているのかもしれない、と思います。そのうえで、(専門的な知識があるわけじゃないので的外れかもしれないけど)ガツンとくるリフや覚えやすくてクセになるサビのメロディ、印象的でドラマチックでまあ素敵!って思っちゃうような編曲の力で、歌詞を感じなくても、楽曲として面白い、聞いてて楽しい、繰り返し聞きたい、という曲に仕上げているんじゃないかなあ。
歌詞に戻ると、なんていうか、他の「アーティスト」よりも、一歩も二歩も作品に近づき寄り添う。作品の雰囲気、主題、場合によってはキャラクターの言葉をそのまま歌詞に反映させる。悪く言えば、アーティストとしての「プライド」を捨てている、節操が無い、とも言えるのかもしれないけど。
でもこのアプローチを取るには1にも2にも物語を知ることが必要で、それをきちんと把握、受け入れ、解釈して歌詞を紡がなければいけないので、半端な仕事をすると原作ファンから「そうじゃねえ」と総ツッコミを食らいかねない、「アーティスト」としてはリスクの高い手法であるとも言えますかね。そこの所にはそれなりに時間をかけた物語の咀嚼が必要なんで、その手間を惜しまずやってるんでしょうね。その部分は素直に感服します。
♪祈り忘れた獣よ この命枯れるまで足掻いてやる
♪どうして こびりついて消えてくれない 張り裂けるような慟哭が
♪ねえ返して 置き忘れてきた約束を 奪われた明日を
これは別な作品、別の方の楽曲だけど、原作を考えると、自分としては解釈が違うんだな。
彼は祈る場面などに陥らないように行動するし、「返して」などと女々しく過去を振り返らない。
と、場合によってはめんどくさい奴が噛みついてくる場合もあるわけで。
まあそれは置いといて、YOASOBIは担当したアニメの主題歌においては、「アニソン」として、場合によっては作中のセリフをそのまま使う(「パクリ」「安直」の誹りももしかしたら覚悟のうえで?)ほど寄り添い、作品の世界を楽曲のなかに再構成してみせている、と言えるように思います。ある意味古風な作り方で、それをオシャレでキャッチーなメロディに乗せて。いやあ、すごいなあ。
少なくとも、今回取り上げてみた3曲については、アニソンとして成功を収めていると思います。「アイドル」なんかはめっちゃ話題になったんでしょう? もう、アニメファンの中には、「YOASOBIが主題歌やったら大丈夫」っていう信頼、安心感がある程度生まれているんじゃない? そんな風に思います。
ネットで感想をいくつか拾ってみましたが、「歌詞がぐっとくる」とか。そりゃそうだ。だってまんまなんだもの。原作知ってりゃ、そりゃあね。
逆に、「歌詞が薄い」っていう感想もありました。そりゃそうだ。だってまんまなんだもの。先ほどのアスファルト~みたいに、思わせぶりな歌詞から色々読み取るのが好きな人にとっては、その余地がないからそういう批判も出るでしょうね。
でも、主題歌ってことで、敢えてやってるんじゃないかなあとおじさんは思うのですよ。
というわけで、短く書こうと思えば3行くらいで終わりそうな、YOASOBIのアニメコラボ楽曲を今更ちゃんと聞いてみたおっさんの感想でした。
このYOASOBIのアプローチは成功例であろうから、今後、他のアーティストによるYOASOBIと同様のアプローチも見られるようになっていくのか、それとも、YOASOBIがまた別のアプローチでアニソンを出すのか、もしかしたら「アニソン」というもののあり方がちょっとずつ変わっていく節目に、今自分たちはいるのかもしれません。今後が楽しみになりました。
ただ、ひねくれ者の自分としては、「アニソンといえばYOASOBI大正義」みたいな状況はつまらないのでノーサンキューです。F1だっていつもマックスが勝ってばっかりよりも、たまに俺たちが光った所見せたり大コケしたりするほうが面白いものね。
その辺は、YOASOBIに負けず、他の「アーティスト」さんも「すげー!」って思わず言っちゃうようなアニソン、作ってくださいね。
きっかけはいつの頃の話題でしたかね。
自分は『愚者Q』のパーソナリティでありながら、
期ごとのアニメをしっかりチェックするわけでもなく、
最新ゲームに対してアンテナを張っているわけでもなく、
マンガ雑誌やアプリにばんばん課金しているわけでもなく、
敢えてオタクなるものを『沼に足突っ込み度』みたいな尺度でランク付けしてみたとしたら、そのヒエラルキーの最下層でくすぶる、口を開けば狭い範囲の昔話ばかりの老害オタでしかないのであり、リスナーさんから「〇〇見ました?」とか「△△聞きました?」みたいな問いかけがあっても、大抵は「見てないっす」「聞いてないっす」みたいな答えしか返せず、いつだったかキャバクラ行ったときに女の子に「ツムツムやってます?」って聞かれて「やってないです」って言ったら会話が終了しちゃった時みたいな、あんまり良くない空気になっちゃうことがよくあります。
「推しの子」に関しても同じで、自分が原作を読み始めたのはアニメ終了後で、当然アニメ版も観てないワケで、カッカに「え、あんなに売れてるのに「アイドル」聞いてないの?」みたいなしゃらくさい謎マウントをされても、はいそうですとしか言えなかったワケです。
別にそれを悔しいと思ったワケでもないのですが、今回はたまたま興味が湧いたので、じゃあじゃあじゃあ、とばかりに、聞いてみたわけなんです。「アイドル」を。
で、今回は、普段であれば『愚者Q』内でしゃべっちゃう、「アイドル」を聞いてみて、それから、水星ちゃんとかでも流れた、YOASOBIとアニメ作品のコラボした楽曲も併せて聞いてみての感想を、なんの気まぐれかわかりませんけど、ちょっと文字にしてみようと思い立ちましたので、このエントリを書いています。
長い前置き、ここまで。
アニメ番組の前後に流れる主題歌などのいわゆる「アニソン」なるものは、始祖たる「鉄腕アトム」からすでに存在しておりました。
番組のアタマと終わりに曲が流れるというフォーマットは誰の発明なんでしょうね。これはテレビに限らずラジオでも使われているフォーマットであり、思うに番組の『境目』を明確にするためのツールとして、また、ある程度の時刻を示すジングルとしても使われてきたものなのでしょう。
で、初期のアニソンの歌詞はと言えば、
♪空を超えて ラララ星のかなた~
♪空にそびえる 黒鉄(くろがね)の城~
などなど、主人公たるキャラクターの姿をあらわしていたり、
♪まぶしい空を 輝く海を 渡せるもんか 悪魔の手には~
♪必ずここへ 帰ってくると 手を振る人に 笑顔でこたえ~
というような、主人公(たち)の取るべき立場だったり、決意だったりが歌われているのが常でありました。
それが変わってくるのは、Zガンダムの頃からでしょうか。
♪今は動けない それが運命(さだめ)だけど~
いや、動けよ。
♪アニメじゃない!
いや、アニメだろ。
ともかく、初期の頃に見られた、主人公の姿(技名)や、決意だったりというのはどこかに行ってしまって、なんだかオシャレっぽいんだけど、アニメの本筋からはちょっと離れちゃったような歌詞が増えてきたんですよね。
この辺から、アニソンがただのアニメの「主題」を歌ったものではなくなり、「曲」としてアニメから離れても成立するもの、売れるものとして考えられるようになって、アニメの知名度を利用して曲を売りたい曲提供者と、曲を利用してアニメに話題をもたらしたいアニメ制作者の間のwin-winな関係により、コラボの場として定着していくようになったように思います。
そうなってくると、
♪擦れ違い急ぐたびに ぶつけ合いちぎれあう~
♪言葉見つけられず 思わず触れた肩先~
というような、有名タイトルの主題歌でありながら、曲としての完成度は高まったのかもしれないけど、これってアニソンじゃなくね?みたいな曲が増えることになったのは、ある意味当然なのかもしれません。
止め絵からのイントロドン、の様式美でおなじみのあの曲だって、歌詞から当のアニメを結びつけるのは知っていないと難しいでしょう。
そうそう、一部で話題となっていた
♪アスファルト タイヤを切りつけながら~
について、自分は道路(アスファルト)にタイヤ痕を残しながら走るクルマorバイクの情景を思い浮かべますね。
その、まさにアスファルトを切り裂くかのごとくタイヤ痕をアスファルトに残していく様が、あの歌詞になったんじゃないかなー。
・・・って、マジメか。
さて、そんな時代が続くこと、30年以上。
一部のロボットアニメみたいに狙ったものや低年齢向けのもの以外は、アニメ主題歌は「アーティスト」の活動の場として定着してしまった中に、
♪誰かに愛されたことも 誰かのこと愛したこともない そんな私の嘘がいつか本当になること 信じてる
えっ?
この歌詞、「最近のアニソンはこんなもの」な先入観のある自分にとってはちょっとした驚きでした。
これって、原作のあの号泣シーンに繋がる、アイの心情ですよね(本人はその瞬間まで半信半疑だったけど)
この歌詞の作法って、もしや。
ちょっと別な歌の歌詞ものぞいてみましょうか。
♪ずっと昔の記憶 連れられて来たこの星で君は 願い続けてた
♪逃げる様に 隠れる様に 乗り込んで来たコックピットには 泣き虫な君はもう居ない
これはもう有名になった、エリクトからスレッタへの『祝福』ですよね。
この作法も、アレです。
それから
♪物語は終わり 勇者は眠りにつく 穏やかな日常を この地に残して
♪いつの間にかどうして 頬を伝う涙の理由(わけ)をもっと 知りたいんだ
♪今更だって 共に歩んだ旅路を辿れば そこに君はいなくとも きっと見つけられる
はい、現在大好評放送中のアレの、死んじゃった
というわけで、YOASOBIさんのアニメコラボ曲を聞いてみると、歌詞が作品に寄り添っており、作法としては古のアニソンの手法を取っていることが分かります。しかも、あまり難しい言葉を使わず、簡潔に、だが、それゆえに伝わりやすい言葉を並べて、物語の「主題」を聞いている人たちに届ける。これってなかなか難しくて、変に難しい言葉を思わせぶりに使っても、厨臭くなって聞いてて腰が引けちゃうけど、そこんとこ上手くバランスとって、簡便な言葉を使うけれどもロマンチックな雰囲気を残して、詩として仕上げている。
この辺が、作品とは一定の距離を取り楽曲としての完成度を保とうとする従前の「アニソン」との違いとして、若い人たちに受け入れられているのかもしれない、と思います。そのうえで、(専門的な知識があるわけじゃないので的外れかもしれないけど)ガツンとくるリフや覚えやすくてクセになるサビのメロディ、印象的でドラマチックでまあ素敵!って思っちゃうような編曲の力で、歌詞を感じなくても、楽曲として面白い、聞いてて楽しい、繰り返し聞きたい、という曲に仕上げているんじゃないかなあ。
歌詞に戻ると、なんていうか、他の「アーティスト」よりも、一歩も二歩も作品に近づき寄り添う。作品の雰囲気、主題、場合によってはキャラクターの言葉をそのまま歌詞に反映させる。悪く言えば、アーティストとしての「プライド」を捨てている、節操が無い、とも言えるのかもしれないけど。
でもこのアプローチを取るには1にも2にも物語を知ることが必要で、それをきちんと把握、受け入れ、解釈して歌詞を紡がなければいけないので、半端な仕事をすると原作ファンから「そうじゃねえ」と総ツッコミを食らいかねない、「アーティスト」としてはリスクの高い手法であるとも言えますかね。そこの所にはそれなりに時間をかけた物語の咀嚼が必要なんで、その手間を惜しまずやってるんでしょうね。その部分は素直に感服します。
♪祈り忘れた獣よ この命枯れるまで足掻いてやる
♪どうして こびりついて消えてくれない 張り裂けるような慟哭が
♪ねえ返して 置き忘れてきた約束を 奪われた明日を
これは別な作品、別の方の楽曲だけど、原作を考えると、自分としては解釈が違うんだな。
彼は祈る場面などに陥らないように行動するし、「返して」などと女々しく過去を振り返らない。
と、場合によってはめんどくさい奴が噛みついてくる場合もあるわけで。
まあそれは置いといて、YOASOBIは担当したアニメの主題歌においては、「アニソン」として、場合によっては作中のセリフをそのまま使う(「パクリ」「安直」の誹りももしかしたら覚悟のうえで?)ほど寄り添い、作品の世界を楽曲のなかに再構成してみせている、と言えるように思います。ある意味古風な作り方で、それをオシャレでキャッチーなメロディに乗せて。いやあ、すごいなあ。
少なくとも、今回取り上げてみた3曲については、アニソンとして成功を収めていると思います。「アイドル」なんかはめっちゃ話題になったんでしょう? もう、アニメファンの中には、「YOASOBIが主題歌やったら大丈夫」っていう信頼、安心感がある程度生まれているんじゃない? そんな風に思います。
ネットで感想をいくつか拾ってみましたが、「歌詞がぐっとくる」とか。そりゃそうだ。だってまんまなんだもの。原作知ってりゃ、そりゃあね。
逆に、「歌詞が薄い」っていう感想もありました。そりゃそうだ。だってまんまなんだもの。先ほどのアスファルト~みたいに、思わせぶりな歌詞から色々読み取るのが好きな人にとっては、その余地がないからそういう批判も出るでしょうね。
でも、主題歌ってことで、敢えてやってるんじゃないかなあとおじさんは思うのですよ。
というわけで、短く書こうと思えば3行くらいで終わりそうな、YOASOBIのアニメコラボ楽曲を今更ちゃんと聞いてみたおっさんの感想でした。
このYOASOBIのアプローチは成功例であろうから、今後、他のアーティストによるYOASOBIと同様のアプローチも見られるようになっていくのか、それとも、YOASOBIがまた別のアプローチでアニソンを出すのか、もしかしたら「アニソン」というもののあり方がちょっとずつ変わっていく節目に、今自分たちはいるのかもしれません。今後が楽しみになりました。
ただ、ひねくれ者の自分としては、「アニソンといえばYOASOBI大正義」みたいな状況はつまらないのでノーサンキューです。F1だっていつもマックスが勝ってばっかりよりも、たまに俺たちが光った所見せたり大コケしたりするほうが面白いものね。
その辺は、YOASOBIに負けず、他の「アーティスト」さんも「すげー!」って思わず言っちゃうようなアニソン、作ってくださいね。