浜松自衛官人権裁判

航空自衛隊浜松基地の隊員でいじめと暴力によって自ら命を絶った自衛官のご遺族が訴えた裁判支援のブログ

今年中の証人尋問日程と年度内結審が決まりました。

2010年08月19日 | 支える会からのお知らせ
今年度中の結審が決まりました 裁判勝利のため、
傍聴・署名などご協力・ご支援をお願いします

 前回5月31日の第14回口頭弁論で、今年度中の結審と証人尋問の日程が決まりました。
 ぜひ傍聴においでください。第16回口頭弁論 9月13日(月)10時から12時10分、上司のO課長
  ☆同日、朝8時半からJR浜松駅前で街頭宣伝

 <今後の日程>
17回 11月 1日(月)午後1時半から4時半 原告(お父さん・お母さん)
18回 12月 6日(月)午後1時半から4時 同僚Tさん
19回 12月20日(月) 10時から午後5時 被告Nと原告(奥さん)


 支える会として、裁判勝利のため全力をあげます。 
 裁判所への公正判決要請署名をみなさんにお願いしています。
 ぜひご協力ください。
署名用紙は、団体署名と個人署名の2種類があります。
 当面の第1次集約は8月末、第2次集約は12月末です。

 署名用紙は会か会の役員に必要枚数を請求してください。

 浜松基地自衛官人権裁判を支える会
〒430-0929 浜松市中区中央一丁目6-22 SLビル4階
       はままつ共同法律事務所内
  電話   053-454-5535
  ファックス 053-454-4727
 郵便振替 00850-5-126761
      「浜松基地自衛官人権裁判を支える会」
 

第16回口頭弁論(NSショップ長を証人尋問) 塩沢弁護士

2010年08月19日 | 裁判の内容
7月26日、第16回口頭弁論(NSショップ長を証人尋問)

国側尋問にはスラスラ、反対尋問には矛盾露呈

     弁護士 塩沢 忠和

 NS一等空曹は,故Sさんが働いていた職場,動力器材班の係長(SHOP長)として,NによるSさんへのいじめ(被告国側は「行き過ぎた指導」と言っている)を防止すべき責任者の一人でした。
 国の代理人からの主尋問に対しては,「Sさんは、かなり能力が劣り,ミスが多かった。一方Nはきちんとした仕事をし,責任感が強かった。そこでNは後輩であるSさんのために一生懸命指導していた。その熱心さのあまり,つい『バカ野郎』とか『何やってんだ』と大きい声をあげた程度だ」という証言をスラスラとしました。
 ところが反対尋問では,Nから報告を受けたという「10件くらいのミス」について「全部は覚えていない」と曖昧になり,自分が直接確認したというミスも,実はNの検査の見落としであったことを認めました。
 また,自分がNに遠慮があり毅然とした態度がとれなかったことを認め,更には,職場事務所の出入りのため,あってはならない合い鍵が作られていたことも認めました。
 この合い鍵の存在は,記録に残らない休日出勤をNがSさんに強要していたことの重要な裏付けです。
 また,自分自身が「監督不行届き」で処分を受けた際の供述調書ではNによる「行き過ぎた指導」を防止できなかった責任を認めているのに,今回の証言では,Nによる行き過ぎた指導そのものを否定するなど,重大な矛盾が露呈しました。
 これにより,原告側の主張の正当性がますます明らかになったと思います。




第14回口頭弁論の内容・焦点・問題点 外山弁護士

2010年08月19日 | 裁判の内容
5月31日(月)第14回口頭弁論の内容・焦点・問題点

弁護士 外山 弘宰
 ⑴ 内容

 原告は,準備書面(9)を陳述し,故Sさんのうつ病発症の時期について医師の意見書を証拠として提出しました。
 これに対し被告国は,準備書面(7)を陳述し,生前の故Sさんと親しくしていた隊員の陳述書,浜松まつりの凧揚げについての報告書等を証拠として提出しました。
 原告準備書面(9)は全3頁の短いものですが,その内容は,公務災害認定の際に提出した資料を原告が裁判に証拠として提出していましたが,それを資料の全部と勘違いしていたことを被告国は邪推して「原告側が故意に提出しない訴訟態度の表れだ。」などと主張してきたことに対する反論と,以前に故Sさんがうつ病に罹っていたとの意見書を書いていただいた医師によるうつ病発症時期についてのさらなる意見書を主張として述べたものです。
 一方,被告国準備書面(7)の内容は,故Sさんがうつ病には罹っていなかったこと及び罹っていたとしてもそれは公私の多種多様の原因であるから,被告Nらの行為と自殺との間には因果関係がないというものでした。
 また,当日は原告被告の双方から,証人として喚びたい人の人証申請がなされたため,訴訟手続きを済ませたあと,直ちに場所を通常の法廷(1号)からラウンド法廷(6号)に移して,尋問の日にちや尋問時間等を裁判所と話し合うため,非公開の進行協議を行い、証人尋問の日程を確認しました。

⑵ 焦点

  被告Nのイジメ行為と故Sさんの自殺の間に因果関係があるのかという点は,本訴訟における最大の争点の一つです。
  国は,因果関係がなかったとするために,自殺の原因として,故Sさんの私生活に問題があったと今回の準備書面で主張してきました。そこでは,子の出生に伴う親権問題,子の出生に伴う生活環境の変化,義父母との何らかのトラブル,初子の凧揚げに伴う多額の出費などが心理的負荷要因となって,自殺に至ったのだと述べています。
  これらの主張は,原告側が開示した家族間のメールや日記の記載に基づいてなされたものですが,国はどこの家族にもあるような,ちょっとした夫婦ゲンカや家族間の意思の食い違い等の事実をことさらに大げさにとらえて(歪曲してといってもいいかもしれません),それらが自殺の原因となっているなどと主張してきたのです。
  原告側からみれば,このような被告国の主張は,荒唐無稽であって,遺族感情を逆撫でするものです。例えば,初子の凧揚げ費用が数百万円もかかるからといって,それを故Sさんが心配していたことを自殺の要因として挙げたことに対しては,反論することさえばかばかしく思えるほどです。
  原告側としては,被告国による因果関係がなかったとの主張は,裁判所に認められることはまずないと考えていますが,その点についての反論は,証人尋問実施後の最終準備書面で行う予定です。

⑶ 問題点

 原告側は,原告3名と元後輩隊員の女性のほか,当時の第1術科学校長や内部調査の調査官を証人として申請しました。
 原告3名と元後輩隊員の女性については,すんなり認められましたが,学校長と調査官については,その理由を上申書で詳述することになりました(なお,この2名については後日却下されました)。
 進行協議のなかで,問題となったのは,上記女性の尋問時期をどうするかということでした。というのは,この女性は現在第2子を妊娠中で,9月下旬に出産予定なので,裁判所は,出産前に尋問を行うことになるだろうと考えていましたが,本人にそれを尋ねたところ,出産「後」を希望すると答えました。
 また,尋問の場所についても,原告側弁護団は当初,その女性の住む仙台市の裁判所まで出張して尋問せざるを得ないだろうと考えていましたが,裁判所は,浜松と仙台間で回線を使って尋問をするテレビ会議方式を提案してきたので,弁護団はこれに同意し,あらためてこれについて本人に尋ねたところ,なんと,浜松までやって来て,公開の法廷で証言したいと言ってくれました。
 弁護団はとても驚くとともに,出産後の大変な時期に浜松まで来て証言することを承諾してくれた彼女の協力と勇気に感謝し,勝訴という形でこれに応えなければと思いました。





第12回と第13回口頭弁論の内容について  吉原弁護士

2010年08月19日 | 裁判の内容
第12回と第13回口頭弁論の内容について
               
弁護士 吉原 伸明

1 第12回口頭弁論(平成22年3月1日(月)午前11:30~)

(1)  主張、及び書証提出については、原告側は、請求の法的構成につき、安全配慮義務・予見可能性・相当因果関係の主張をした準備書面(7)、及び被告国側への反論を内容とする同(8)を陳述した。書証としては、甲25号証と同26号証を取り調べた。
 被告国側は、反論の準備書面(6)を陳述した。書証として、故Sさんのうつを認識していたと思われるO曹長の陳述書等の取り調べをした。
 被告N側は、初めて、原告側への反論となる準備書面を提出し陳述した。

(2)  次いで、裁判所は、法的構成の確認として、原告側に、国家賠償法に基づく請求(一種の不法行為責任)を掲げながら、通常契約責任で問題となる安全配慮義務違反を取り上げることとの関係を聞いた。これに対し、弁護団は、国賠法の違法性を基礎づけるものとして安全配慮義務を取り上げており、その関係で、国の履行補助者として、被告N、Nショップ長及びO課長の3名を考えていると回答した。

(3)  今後の進行について、原告側は、後述の9名の人証の申請をした。これに対し、被告国側から、メールなどの手持ち証拠を出すよう要望があった。裁判所の要望もあって、弁護団は、少なくともメールと、原告母の日記のうち必要分を出すと回答した。
 被告国側は、イジメ以外の自殺原因等に関する事実調査が3月一杯かかるので、上記原因等に係る準備書面の提出は5月の連休明けになる等と述べた。
 これに対して、原告側が、時間がかかり過ぎると言ったところ、調査結果の陳述書等の書証だけは次回期日までに提出することになった。

2 第13回口頭弁論(平成22年4月19日(月)午後4:30~)

(1) 書証提出について、原告側は、甲27号証から甲29号証の4までを提出した。これらは、故Sさんから原告妻に宛てた「携帯電話メール送受信記録」の写しや、故Sさんが原告父母との間でした「インターネット送信記録」の写し、原告母が故Sさんに関して記載した「手帳」の原本である。これらは、前回の弁論で、原告側が提出することを約束したものである。
 このうち、「手帳」の原本については、その「手帳」自体の外観・内容を法廷で確認した上で、便宜的に「手帳」の写しを提出するが、その「手帳」の内容の一部に読みにくい部分がありかつ作成者の原告母が本日欠席したため、その確認作業に手間取ったが、結局次回までにその部分の説明をすることになった。
 被告国側は、乙B57号証から72号証までの書証を提出した。これらは、うつ病に関する文献、サッカー部員等の陳述書、原告妻等のメール・日記・手紙(原告側が公務災害認定の関係で国に提出したもの)等であった。
 被告国側は、おそらくこれらの書証で、故Sさんが当時うつ病ではないことと、故Sさんの能力が低かったことを立証しようとしたようである。これらの書証内容については、今後精査する必要があるが、陳述書を出したサッカー部員の中に故Sさんと親しかった者はいないため、その証拠価値は低いといえる。

(2) 今後の進行について、被告国側は、次回期日前の5月24日までに、故Sさんの自殺原因に関する反論等の準備書面を出す予定である。それから、証拠調べで誰の尋問を申請するかについては、まず故Sさんの上司であったNショップ長、O課長双方に対し、主尋問(先に尋問)をしたいと述べた。原告側からの、もう書証はないかとの問いに、予定したものは出したとの回答であった。
 被告N側は、証拠調べで被告N本人の尋問を申請するだけであり(次回その尋問事項書を出す予定)、被告Nの陳述書以外の書証提出予定はないとの回答であった。
 原告側による、前回までの9名の尋問の申請に対して、被告国側から、自衛隊1術校の校長、副校長及び被告Nの懲戒事件の調査担当官Iについては尋問不必要との意見が出た。そこで、原告側から、次回までに上記3名の尋問の必要性につきさらに主張し、それに対して被告国側からさらに意見書を出すということになった。 また、それ以外の6名(Nショップ長、O課長、元同僚Cさん、原告妻・父母)に対する尋問事項書を次回期日1週間前に出すことになった。           以上