浜松自衛官人権裁判

航空自衛隊浜松基地の隊員でいじめと暴力によって自ら命を絶った自衛官のご遺族が訴えた裁判支援のブログ

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地裁判決の確定にあたって 7月25日 弁護団・支える会声明

2011年07月26日 | 裁判と運動日誌
声   明
  -浜松基地自衛官人権裁判
平成23年7月11日静岡地裁浜松支部判決の確定にあたって-  

   2011年7月25日

航空自衛隊浜松基地人権裁判
      弁  護  団
      裁判を支える会



1 去る7月11日静岡地方裁判所浜松支部が下した判決(以下,「本判決」という)に対し,本日,被告国は控訴しない意向を表明した。

 本判決は,その理由において原告らが納得できない部分もあるものの,結論としては,原告らが求める請求をほぼ全面的に認めて被告国に8000万円余の賠償を命ずるものであることから,原告らも控訴せず,これにより本判決は確定することとなった。

 故Sの自殺から5年8ヶ月,その真の原因究明と責任の所在を追及してきた原告らの長い道のりの闘いが,ようやく原告ら遺族を救済する勝訴判決によって結着する。

 弁護団及び支える会として,そのことをまずもって率直に喜びたい。

2 本判決は,以下の3点で,正義と道理にかなう正当な判決と評価し得るものである。
 
 第1に,加害者Nの行為の違法性を厳しく糾弾していること。
 本判決は,先輩隊員Nが故Sに対して加えた数々の暴力・暴言,身分証取り上げ,反省文作成の強要,後輩女性隊員にこれを朗読させてSをことさら辱めたこと,禁酒命令等が違法であり,しかもその違法性は顕著・重大であるとする。

 さらに,Nの主観的意図が特段の事情なき限り指導目的であったとしても,故Sが妻の出産が間近に迫って出産休暇を申し出た時に加えた平手打ちや,反省文をことさら後輩女性隊員に朗読させたことは,「純然とした指導目的とは到底言えない」としている。

 このことは,実質的には,原告らが言うところの「いじめ」の存在を,部分的ではあっても認めたものと言うことができる。
 
 第2に,Nの違法行為とSの自殺との相当因果関係を明確に認定したこと。

 被告らは,Nには故Sの自殺について予見可能性がないことを理由に,Nの行為とSの自殺との間に相当因果関係はないと主張した。

 しかし本判決は,故Sの自殺はNの違法行為から通常生じ得る事柄であり,通常損害であって特別損害ではないとした上で,「特別損害について帰責するためには特別事情について予見可能性を要するという観点から,被告Nに亡Sの自殺について予見可能性がなければ相当因果関係が存しないということはできず,被告らの主張は採用することができない。」と,被告らの主張を明確に退けた。

 海上自衛隊たちかぜ裁判での本年1月26日横浜地裁判決が,護衛艦内でのいじめを明確に認めながら,予見可能性がないことを理由に自殺との相当因果関係を否定したこととは対照的である。

 本判決の以下の判示は,たちかぜ控訴審裁判での勝利に活かされるものであると確信する。

 「被告Nの違法行為は,亡Sに対して心理的負荷を過度に蓄積させる性質のものであった。心理的負荷が過度に蓄積すると心身の健康を損なうおそれがあることは周知のところであり,本件においても,まさにそのようなおそれが現実化し,亡Sが精神疾患である適応障害を発症し自殺に至っているのである。そうすると,被告Nは,自ら違法行為を行っていたのであるから,その違法行為が亡Sに対して心理的負荷を過度に蓄積させる性質のものであったことも認識できたというべきであり,仮に被告Nに亡Sの適応障害の発症や自殺について予見可能性がなかったとしても,被告国は被告Nの違法行為から生じた亡Sの自殺について,責任を免れることはできない。」

 第3に,被告国の過失相殺の抗弁を一切認めなかったこと。

 被告国は,裁判の最終局面で,私生活上の問題も自殺の原因になっているとか,職務における積極性の欠如や能力不足故にNからの厳しい指導を受けたとして,これを理由に過失相殺を主張するに至った。

 しかし本判決は,「過失相殺をすべきほどの事情と認めるに足りない」とこれを否定し,結審直前に公務災害としての認定があったことからその損益相殺のみを認め,損害額としては,原告らの請求をほぼ全面的に認定し,被告国に対し8000万円余りの賠償を命じた。

 自衛隊員のいじめ(パワハラ)自殺事件で,公務災害の認定を勝ち取り,且つ国賠請求で上記のごとき高水準の賠償をも勝ち取ったことの意義は大きい。

3 しかし一方,本判決は,上司であるSHOP長及び課長の安全配慮義務違反に関しては,被告Nの行為が他者の目につかないようになされていたため,Sの心身に過度の負荷が生じていたことを予見できなかったとの理由でこれを認めなかった。

 原告らは,単にNのいじめだけが問題なのではなくこれを放置してきた上司にも重大な責任があると考えるだけに,本判決のかかる認定には納得できない。

 今なお年間100人近い自殺者が出る自衛隊においてこれを防止するためには,職場における人間関係や職務実態に十分目を配り,部下の心身の健康状態を常に安全に保つべき上司の責任こそが問われなければならない。

4 我々はこの裁判で,「自衛隊内での暴力やいじめ・パワハラの横行を阻止し,自衛隊内においても基本的人権の保障が貫徹されるようにするために,自衛隊内において前途ある若者が死を選ばざるを得ない状況に追い込まれているという現実を,裁判所に正面から認めさせることが求められている。

 自衛官の自殺問題の本質に光を当てること,これが本件で問われている核心である。」と訴えた。

 裁判所はしかし,原告らの被害救済については正当な結論を下したものの,上記訴えにはまともに答えていない。やはりこれが裁判の限界と言うほかない。

 それだけに我々は,被告国(とりわけ防衛省)に対し,本判決の結論を真摯に受け止め,本件のごとき不幸な事件をこれ以上再発させないよう強く求めるとともに,たちかぜ控訴審裁判をはじめ,全国各地に係属している同種人権裁判での勝利のため連帯して闘うことを,この機会に改めて表明するものである。
以上
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7月11日(月) 原告・弁護団・支える会の共同声明

2011年07月12日 | 裁判と運動日誌
声  明
2011年7月11日

                  浜松基地自衛官人権裁判原告・弁護団
同裁判を支える会

1 本日,静岡地方裁判所浜松支部は,航空自衛隊浜松基地内でのいじめ(パワハラ)による自殺事件について,原告らの主張をほぼ全面的に認め,被告国に対し総額8015万0454円の賠償を命ずる判決を下した。原告,弁護団及び支える会は,この判決を高く評価するとともに,裁判所に対し敬意を表するものである。

2 2005年11月13日,航空自衛隊浜松基地第1術科学校整備部第2整備課動力器材班所属の3等空曹だったS(当時29歳)は,自宅アパートにて自殺を遂げた。Sは,同年に結婚をするとともに子どもも授かり,まさに人生の絶頂期における事件であった。

 Sは,父親をはじめ叔父や従兄弟も自衛官という家庭で成長し,1995年の高校卒業と同時に希望に胸躍らせて航空自衛隊に入隊した。その後は順調にキャリアを重ね,2004年には,イラク特措法に基づきイラクに派遣されて任務を全うするなどした。

そのような経歴を辿る一方で,Sは,入隊直後から,先輩隊員から「指導」と称して陰湿で執拗ないじめ(パワハラ)を受けてきた。例えば,「死ね」「辞めろ」「五体満足でいられなくしてやる」などといった暴言を日常的に大声で浴びせられたり,顔を平手打ちされたり工具で頭を殴られるなどの暴行を頻繁に受けてきた。しかも上官らは,このような状況を把握していながら有効な対処をすることなく放置し続けた。その結果Sは,心理的負荷を過度に蓄積させられ自殺に追いやられたものである。

3 本判決は,いじめ(パワハラ)を放置し有効,適切な対処をしなかった上官の安全配慮義務違反を認めておらず,この点はまことに遺憾である。
 しかし一方,本判決は,先輩隊員がSに対して為した個々の行為についてその違法性を具体的且つ丁寧に認定し,その行為とSの自殺との因果関係を認定した。その上で,精神的苦痛に関する慰謝料のみならず,自殺に追い込まれたことによる損害としての逸失利益等も認めた。さらに,被告国の過失相殺の主張を全面的に否定した。この点は,概ね確かな事実認定と正義にかなった判決と評価できる。

4 自衛隊内でのいじめやパワハラ,セクハラによる人権侵害(自殺,訓練中の「事故死」等)に対する損害賠償請求事件には,既に勝訴が確立したさわぎり裁判や札幌女性自衛官裁判のほか,現在東京高裁で係属中のたちかぜ裁判や前橋地裁の朝霞駐屯地裁判,札幌「命の雫」裁判などがある。本日の判決は,これら係属中の裁判での勝利に大きく貢献するものと確信する。  
 私たちは,全国の同種事件の原告,弁護団,支援者と連帯して,今後も「自衛官の人権・人間の尊厳」を自衛隊内に確保するために全力を尽くすものである。

以上
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7月11日(月) ほぼ完全勝訴です。国に「控訴するな」を集中します

2011年07月12日 | 裁判と運動日誌

7月11日(月) ほぼ完全勝訴です。国に「控訴するな」を集中します  

 7月11日(月)午後1時10分、静岡地裁浜松支部にて浜松基地自衛官人権裁判の判決があり、原告勝利判決となりました。

 次項目で、共同声明を掲載しますので、ごらんください。

  記者会見・報告集会・交流集会と、原告・弁護団・支える会の3者で長時間の話し合いをした結果、2週間,国に「控訴するな」の声を集中することになりました。  

 要請先は、以下の3者です。

 みなさん、命と人権を守るための皆さんの思いを、メール・ファックス・はがきなどで集中してください。


「控訴するな」宛先


〒100-0014 東京都千代田区永田町二丁目3番1号 首相官邸 
 内閣総理大臣 菅直人 様
 ファックス 03-3581-3883
 https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

〒162-0845 東京都新宿区市谷本村町5番1号 防衛省
 防衛大臣 北澤俊美 様
 ファックス 03-5362-4816(広報課)
https://www.e-gov.go.jp/policy/servlet/Propose

 (電話番号:03−3268−3111 )


〒162-8804 東京都新宿区市谷本村町5番1号  防衛省航空幕僚監部
 航空幕僚長 岩茂 様
kouhou@aso.mod.go.jp

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今年中の証人尋問日程と年度内結審が決まりました。

2010年08月19日 | 支える会からのお知らせ
今年度中の結審が決まりました 裁判勝利のため、
傍聴・署名などご協力・ご支援をお願いします

 前回5月31日の第14回口頭弁論で、今年度中の結審と証人尋問の日程が決まりました。
 ぜひ傍聴においでください。第16回口頭弁論 9月13日(月)10時から12時10分、上司のO課長
  ☆同日、朝8時半からJR浜松駅前で街頭宣伝

 <今後の日程>
17回 11月 1日(月)午後1時半から4時半 原告(お父さん・お母さん)
18回 12月 6日(月)午後1時半から4時 同僚Tさん
19回 12月20日(月) 10時から午後5時 被告Nと原告(奥さん)


 支える会として、裁判勝利のため全力をあげます。 
 裁判所への公正判決要請署名をみなさんにお願いしています。
 ぜひご協力ください。
署名用紙は、団体署名と個人署名の2種類があります。
 当面の第1次集約は8月末、第2次集約は12月末です。

 署名用紙は会か会の役員に必要枚数を請求してください。

 浜松基地自衛官人権裁判を支える会
〒430-0929 浜松市中区中央一丁目6-22 SLビル4階
       はままつ共同法律事務所内
  電話   053-454-5535
  ファックス 053-454-4727
 郵便振替 00850-5-126761
      「浜松基地自衛官人権裁判を支える会」
 
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第16回口頭弁論(NSショップ長を証人尋問) 塩沢弁護士

2010年08月19日 | 裁判の内容
7月26日、第16回口頭弁論(NSショップ長を証人尋問)

国側尋問にはスラスラ、反対尋問には矛盾露呈

     弁護士 塩沢 忠和

 NS一等空曹は,故Sさんが働いていた職場,動力器材班の係長(SHOP長)として,NによるSさんへのいじめ(被告国側は「行き過ぎた指導」と言っている)を防止すべき責任者の一人でした。
 国の代理人からの主尋問に対しては,「Sさんは、かなり能力が劣り,ミスが多かった。一方Nはきちんとした仕事をし,責任感が強かった。そこでNは後輩であるSさんのために一生懸命指導していた。その熱心さのあまり,つい『バカ野郎』とか『何やってんだ』と大きい声をあげた程度だ」という証言をスラスラとしました。
 ところが反対尋問では,Nから報告を受けたという「10件くらいのミス」について「全部は覚えていない」と曖昧になり,自分が直接確認したというミスも,実はNの検査の見落としであったことを認めました。
 また,自分がNに遠慮があり毅然とした態度がとれなかったことを認め,更には,職場事務所の出入りのため,あってはならない合い鍵が作られていたことも認めました。
 この合い鍵の存在は,記録に残らない休日出勤をNがSさんに強要していたことの重要な裏付けです。
 また,自分自身が「監督不行届き」で処分を受けた際の供述調書ではNによる「行き過ぎた指導」を防止できなかった責任を認めているのに,今回の証言では,Nによる行き過ぎた指導そのものを否定するなど,重大な矛盾が露呈しました。
 これにより,原告側の主張の正当性がますます明らかになったと思います。



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第14回口頭弁論の内容・焦点・問題点 外山弁護士

2010年08月19日 | 裁判の内容
5月31日(月)第14回口頭弁論の内容・焦点・問題点

弁護士 外山 弘宰
 ⑴ 内容

 原告は,準備書面(9)を陳述し,故Sさんのうつ病発症の時期について医師の意見書を証拠として提出しました。
 これに対し被告国は,準備書面(7)を陳述し,生前の故Sさんと親しくしていた隊員の陳述書,浜松まつりの凧揚げについての報告書等を証拠として提出しました。
 原告準備書面(9)は全3頁の短いものですが,その内容は,公務災害認定の際に提出した資料を原告が裁判に証拠として提出していましたが,それを資料の全部と勘違いしていたことを被告国は邪推して「原告側が故意に提出しない訴訟態度の表れだ。」などと主張してきたことに対する反論と,以前に故Sさんがうつ病に罹っていたとの意見書を書いていただいた医師によるうつ病発症時期についてのさらなる意見書を主張として述べたものです。
 一方,被告国準備書面(7)の内容は,故Sさんがうつ病には罹っていなかったこと及び罹っていたとしてもそれは公私の多種多様の原因であるから,被告Nらの行為と自殺との間には因果関係がないというものでした。
 また,当日は原告被告の双方から,証人として喚びたい人の人証申請がなされたため,訴訟手続きを済ませたあと,直ちに場所を通常の法廷(1号)からラウンド法廷(6号)に移して,尋問の日にちや尋問時間等を裁判所と話し合うため,非公開の進行協議を行い、証人尋問の日程を確認しました。

⑵ 焦点

  被告Nのイジメ行為と故Sさんの自殺の間に因果関係があるのかという点は,本訴訟における最大の争点の一つです。
  国は,因果関係がなかったとするために,自殺の原因として,故Sさんの私生活に問題があったと今回の準備書面で主張してきました。そこでは,子の出生に伴う親権問題,子の出生に伴う生活環境の変化,義父母との何らかのトラブル,初子の凧揚げに伴う多額の出費などが心理的負荷要因となって,自殺に至ったのだと述べています。
  これらの主張は,原告側が開示した家族間のメールや日記の記載に基づいてなされたものですが,国はどこの家族にもあるような,ちょっとした夫婦ゲンカや家族間の意思の食い違い等の事実をことさらに大げさにとらえて(歪曲してといってもいいかもしれません),それらが自殺の原因となっているなどと主張してきたのです。
  原告側からみれば,このような被告国の主張は,荒唐無稽であって,遺族感情を逆撫でするものです。例えば,初子の凧揚げ費用が数百万円もかかるからといって,それを故Sさんが心配していたことを自殺の要因として挙げたことに対しては,反論することさえばかばかしく思えるほどです。
  原告側としては,被告国による因果関係がなかったとの主張は,裁判所に認められることはまずないと考えていますが,その点についての反論は,証人尋問実施後の最終準備書面で行う予定です。

⑶ 問題点

 原告側は,原告3名と元後輩隊員の女性のほか,当時の第1術科学校長や内部調査の調査官を証人として申請しました。
 原告3名と元後輩隊員の女性については,すんなり認められましたが,学校長と調査官については,その理由を上申書で詳述することになりました(なお,この2名については後日却下されました)。
 進行協議のなかで,問題となったのは,上記女性の尋問時期をどうするかということでした。というのは,この女性は現在第2子を妊娠中で,9月下旬に出産予定なので,裁判所は,出産前に尋問を行うことになるだろうと考えていましたが,本人にそれを尋ねたところ,出産「後」を希望すると答えました。
 また,尋問の場所についても,原告側弁護団は当初,その女性の住む仙台市の裁判所まで出張して尋問せざるを得ないだろうと考えていましたが,裁判所は,浜松と仙台間で回線を使って尋問をするテレビ会議方式を提案してきたので,弁護団はこれに同意し,あらためてこれについて本人に尋ねたところ,なんと,浜松までやって来て,公開の法廷で証言したいと言ってくれました。
 弁護団はとても驚くとともに,出産後の大変な時期に浜松まで来て証言することを承諾してくれた彼女の協力と勇気に感謝し,勝訴という形でこれに応えなければと思いました。




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第12回と第13回口頭弁論の内容について  吉原弁護士

2010年08月19日 | 裁判の内容
第12回と第13回口頭弁論の内容について
               
弁護士 吉原 伸明

1 第12回口頭弁論(平成22年3月1日(月)午前11:30~)

(1)  主張、及び書証提出については、原告側は、請求の法的構成につき、安全配慮義務・予見可能性・相当因果関係の主張をした準備書面(7)、及び被告国側への反論を内容とする同(8)を陳述した。書証としては、甲25号証と同26号証を取り調べた。
 被告国側は、反論の準備書面(6)を陳述した。書証として、故Sさんのうつを認識していたと思われるO曹長の陳述書等の取り調べをした。
 被告N側は、初めて、原告側への反論となる準備書面を提出し陳述した。

(2)  次いで、裁判所は、法的構成の確認として、原告側に、国家賠償法に基づく請求(一種の不法行為責任)を掲げながら、通常契約責任で問題となる安全配慮義務違反を取り上げることとの関係を聞いた。これに対し、弁護団は、国賠法の違法性を基礎づけるものとして安全配慮義務を取り上げており、その関係で、国の履行補助者として、被告N、Nショップ長及びO課長の3名を考えていると回答した。

(3)  今後の進行について、原告側は、後述の9名の人証の申請をした。これに対し、被告国側から、メールなどの手持ち証拠を出すよう要望があった。裁判所の要望もあって、弁護団は、少なくともメールと、原告母の日記のうち必要分を出すと回答した。
 被告国側は、イジメ以外の自殺原因等に関する事実調査が3月一杯かかるので、上記原因等に係る準備書面の提出は5月の連休明けになる等と述べた。
 これに対して、原告側が、時間がかかり過ぎると言ったところ、調査結果の陳述書等の書証だけは次回期日までに提出することになった。

2 第13回口頭弁論(平成22年4月19日(月)午後4:30~)

(1) 書証提出について、原告側は、甲27号証から甲29号証の4までを提出した。これらは、故Sさんから原告妻に宛てた「携帯電話メール送受信記録」の写しや、故Sさんが原告父母との間でした「インターネット送信記録」の写し、原告母が故Sさんに関して記載した「手帳」の原本である。これらは、前回の弁論で、原告側が提出することを約束したものである。
 このうち、「手帳」の原本については、その「手帳」自体の外観・内容を法廷で確認した上で、便宜的に「手帳」の写しを提出するが、その「手帳」の内容の一部に読みにくい部分がありかつ作成者の原告母が本日欠席したため、その確認作業に手間取ったが、結局次回までにその部分の説明をすることになった。
 被告国側は、乙B57号証から72号証までの書証を提出した。これらは、うつ病に関する文献、サッカー部員等の陳述書、原告妻等のメール・日記・手紙(原告側が公務災害認定の関係で国に提出したもの)等であった。
 被告国側は、おそらくこれらの書証で、故Sさんが当時うつ病ではないことと、故Sさんの能力が低かったことを立証しようとしたようである。これらの書証内容については、今後精査する必要があるが、陳述書を出したサッカー部員の中に故Sさんと親しかった者はいないため、その証拠価値は低いといえる。

(2) 今後の進行について、被告国側は、次回期日前の5月24日までに、故Sさんの自殺原因に関する反論等の準備書面を出す予定である。それから、証拠調べで誰の尋問を申請するかについては、まず故Sさんの上司であったNショップ長、O課長双方に対し、主尋問(先に尋問)をしたいと述べた。原告側からの、もう書証はないかとの問いに、予定したものは出したとの回答であった。
 被告N側は、証拠調べで被告N本人の尋問を申請するだけであり(次回その尋問事項書を出す予定)、被告Nの陳述書以外の書証提出予定はないとの回答であった。
 原告側による、前回までの9名の尋問の申請に対して、被告国側から、自衛隊1術校の校長、副校長及び被告Nの懲戒事件の調査担当官Iについては尋問不必要との意見が出た。そこで、原告側から、次回までに上記3名の尋問の必要性につきさらに主張し、それに対して被告国側からさらに意見書を出すということになった。 また、それ以外の6名(Nショップ長、O課長、元同僚Cさん、原告妻・父母)に対する尋問事項書を次回期日1週間前に出すことになった。           以上      


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3月 札幌女性自衛官セクハラ裁判の傍聴と全国シンポ参加

2010年06月06日 | 行動日記
 3月 札幌女性自衛官セクハラ裁判の傍聴と全国シンポ参加

 3月3日(水)、女性自衛官への上司のセクハラ事件裁判で、初めて札幌へ行ってきました。浜松から故Sさんの奥さんといっしょにセントレアから札幌へ飛びました。
 新千歳空港は悪天候で「視界不良の場合は函館空港に下りるか引き返します」とのアナウンスがあって心配しましたが、雪景色で真っ白の新千歳空港に無事着陸。

 翌日、4日は10時30分から午後4時まで、札幌地裁で原告の元女性自衛官本人尋問です。心理的体調を看護師の方が見守りながらでした。
 
 原告は、札幌郊外の航空自衛隊基地で勤務中の2006年9月9日に、夜間、上司に呼び出され、性暴力を受けました。 
 事件報告後、自衛隊からの執拗な退職強要を受けながら、2007年5月8日に札幌地裁に提訴しました。
 傍聴席が少ないので、交代しながら傍聴しました。
 初めて裁判に至った経過や、原告を支援し、励ましながら裁判をしてきたことを聞いて、とくに女性のみなさんの活動が感動的でした。

 夜は「自衛官の人権裁判シンポジウム」があり、佐世保の「さわぎり」裁判、横須賀の「たちかぜ」裁判、札幌裁判、私たちの浜松と4つの裁判関係者が初めて集まりました。浜松からは奥さんと私、塩沢弁護士と外山弁護士の4人でした。
 この夜、4つの弁護団で全国的な弁護団の連絡組織を結成しました。
 初めて、直接、いろいろなお話を聞けて、有益な旅でした。
 
(則子)
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第13回口頭弁論(4月19日(月)午後4時半)のお知らせ

2010年03月27日 | 裁判と運動日誌
第13回口頭弁論(4月19日(月)午後4時半)のお知らせ

 浜松基地自衛官人権裁判 第13回口頭弁論においでください
 4月19日(月)午後4時30分より
   静岡地裁浜松支部 2F 1号法廷にて
    ☆裁判終了後の報告集会にぜひご参加ください
    (会場は裁判所東北の弁護士会館です)

 4月19日(月)当日 午後3時より
 JR浜松駅前にて 第2回宣伝行動
  30分間、ちらしまき・マイク宣伝などです
  ご都合のつく方は、ご参加ください

 前回第12回口頭弁論には、54人が傍聴、街頭宣伝には15人の方が参加していただきました。ありがとうございました。
 法廷では、原告の国に対する請求の根拠となる法律論を陳述し、証人申請もし、早期に尋問に入るよう求めました。
 人権裁判支援の輪を大きく広げましょう。

 第14回口頭弁論の日程も決まりました。
  5月31日(月)午後4時からです。
 第3回街頭宣伝行動を午後2時半より30分間
 JR浜松駅前でおこないます。
  ご予定ください。

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私の夫を返せ 奥さんの冒頭陳述(下)

2010年03月07日 | 裁判の内容
私の夫を返せ 奥さんの冒頭陳述(下)

⑷ 結婚してから「何が嫌?」と聞くと,お弁当をN二曹と狭い空間でたった二人で食べなければいけないこと,これが何よりも辛いと言っていました。

 夫はお酒も好きでしたが,食べることも大好きでした。そんな夫が「お弁当の量を少なくして。もっと少なくして」と言うのです。
 私はこのくらいならいつも食べている量だと思って入れていたので,「どうして?」と尋ねたところ,「Nさんよりも早く食べ終わらないといけないんだ。だから少なくしてほしい」と言うのです。

 朝から体を使って動いている夫なので,私は量を減らすことが出来ませんでした。
 すると夫は残して帰ってくるようになったのです。「ごめんね」と言いながら,お腹がすいていたのでしょう,残して帰ってきたお弁当をがっついて食べた時もありました。

⑸ 私が出産のとき,ひどい難産で陣痛が続いたため,夫が心配し,「休みをもらいたい」とN二曹にお願いしたところ,「どうしてお前が休まないといけないんだ」と怒鳴られ,平手で叩かれたそうです。

 この平手で叩かれたということは,自衛隊がN二曹に事情聴取した際,本人が認めたそうです。夫は叩かれたことを私に言いませんでした。
 夫としてのプライドがあったからだと思います。

 しかし,N二曹に「お前が父親になるのか」「バカがバカを育てるのか」と言われ,「俺は何を言われてもいいが,子どもに対して言われるのは悔しい」と悔しそうに話したことがありました。

 どれもこれも,単なる職場の先輩であるN二曹が,夫に対し,そんなことをする権限はないはずなのにしてきたことです。
 ところが,N二曹本人も自衛隊も,それは「厳しい指導」であって「いじめではない」と言っているのです。
 そんな言い分は到底納得できません。

3 
 さらに,それ以上に私が残念でならないことがあります。
 それは,夫とN二曹の不仲は,職場の関係者はもとより,他の職場の人たち,サッカーの仲間,そして上司(SHOP長,課長,班長,副校長まで)が知っていたにも関わらず,適切な対処がしてもらえなかったことです。

 転属の話もしていました。私は「どこへでもついていくからね」と夫に言いました。夫もそれを信じて異動の申請をしていました。

 「Nさんはどこにも引き取り手がいないから,課長に『お前が異動するか』と言われたから『はい』と答えておいたよ」と夫が私に話したこともありました。
 また,「元SHOP長が,自分がNさんに怒鳴られているところを見て,これではいかんと思い,人事部にすぐに話しに行ってくれたんだ。救い主だよ」と話したこともありました。

 その後,「もしかしたらNさんがあと半年で異動になるかもしれない,あと半年なら我慢して頑張れるよ」と,二人して乾杯した夜もありました。 しかし,異動の話は進まずじまいになってしまいました。

 そして亡くなる前日,親しくさせてもらっていた先輩が夫のことを心配し,飲みに連れ出して話をしたことを,夫が亡くなってから聞きました。
 
 身分証を取り上げられたとき,「仕返しが怖いから何もしないでくれ,自分さえ我慢すればいい。自分でなんとかするから」と言っていた夫が,「もう限界です。Nさんから制裁を受けています。助けてください」と自ら頭を下げて,先輩に仲裁をお願いしたと聞きました。
 私はこの話を聞いて愕然としました。あんなに頑張っていた夫でしたが,本当に限界だったことに私は気づいてあげられませんでした。
 夫は本当に頑張りました。私には言えなかったことがたくさんあると思います。
 本当に残念です。


 
 夫が亡くなってまもなく,第一術科学校長,副校長などお偉いさんが来てくれました。
 しかし,N二曹やその周りの人を守るかのように私たちの前には出さず,ただ私たちの悔しさ,悲しさを聞き,むしろ私から,夫に何があったのか聞き出そうとするだけでした。
 それでは何の解決にもなりません。

 私たちは真実をきちんとN二曹の口から聞き出し,夫にしてきたいじめを認め,謝罪をしてほしかったのです。

 そのため私は,国に対してではなく,N二曹,SSHOP長,O課長を相手方とする民事調停の申立をしました。しかし,夫が私に話してきたことの何一つも認めようとせず,不成立で終わりました。

 このままだと本当に夫が今まで頑張ってきたことが,全て水の泡になってしまいます。これではあまりに夫が可哀想すぎます。

 そこで私は,夫の無念を,私が代わって伝えなくてはいけない,夫が,愛する息子を遺してまで,自らの命を絶たなければならないほどの苦しさ,辛さをN二曹から受けていたその真実を明らかにしなければならないと思い,悩んだ末,夫の両親と一緒に,私も息子ともども原告に名を連ね,この裁判を起こすことを決意しました。

 この裁判で真実が明らかにされることを,切に願います。    
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