大阪一のオフィス街だ。
高層ビルが立ち並ぶ東洋のマンハッタンなのだ。
日本のウォール街なのだ。
マンホールから煙が出ているのだ。
ティファニーもあるのだ。
喫茶ティファニー。
ビルの9割はマンションなのだ。
老朽化しているのだ。
地産ビルもあるのだ。
誰も住んでいないのだ。
わけのわからない事務所のようなものだらけなのだ。
ドアの前には出前で取った焼きめしの皿が山積みなのだ。
出入りするのはネクタイをせず、よれよれのスーツを着た長髪の中年ばかりなのだ。
ホストくずれか?風俗営業か?不動産屋か?政治結社か?秘密組織か?地下組織か?
地下組織が高層マンションで何をやっているのだ。
目立ってどうすんねん。わけがわからないのだ。
周辺には飲食店が多いのだ。大衆向けなのだ。
中華だ。うどん屋だ。めし屋だ。喫茶店だ。喫茶バニティーフェアーもあったのだ。
どこも出前に意欲的なのだ。昼時、夕食時は出前の自転車であふれかえる、交通渋滞の名所なのだ。
普通の自転車だ。店員だ。ウーバーイーツなどいないのだ。
ラウンジもあるのだ。グランドピアノがあり、派手な蘭が飾ってあり、テーブルは低い使いづらいガラスのテーブル。椅子はシルバーのフレームが付いた赤いチンチラのソファーのような豪華なものなのだ。
しかし、テイストは大衆だ。
昼はランチ営業だ。
ランチは細かく区切りの入った全体は黒くてふちが赤い四角い箱に入った幕の内弁当なのだ。
ドリンクが付いて600円。
安いのだ。
激安なのだ。
ビジネスマンの味方なのだ。
新大阪からすぐなのだ。
出張のついでに寄ってみるのだ。
18きっぷの旅行のついでに寄ってみるのだ。
マンハッタンが君を呼んでいるのだ。