大分県営北川ダムの湖底に沈んだ昔の橋です。
北川ダムは、昭和33年に着工、同37年に竣工した多目的(洪水調節・発電)ダムです。
ここで紹介する旧「時間橋」はダムが運用開始してからずっと水没しており、
今年(平成23年)初頭の記録的小雨による大渇水で実に50年ぶりに姿を現した、まさに「幻の橋」です。
地元ローカル夕刊紙に記事が載ったのを読んで居ても経ってもいられなくなり、再び水没してしまう前にと平日早朝・仕事前に見に行ってきました。
夕刊デイリー 2011年5月23日
旧時間橋50年ぶり現る
◆湖底あらわ-干上がる橋の両岸
深刻な渇水が続く大分県佐伯市宇目の北川ダム湖で、昭和37年のダム完成と同時に湖底に沈んだ旧時間橋が約半世紀ぶりに全体の姿を現している。
同市宇目振興局によると、旧時間橋は、北川支流の中岳川に架かるコンクリート橋。戦前、延岡営林署のトロッコが木材を運ぶ際、単線上を離合するために時間調整をしたことからその名が付いたという説がある。ダム建設に伴い、昭和35年に現橋(長さ100メートル)に架け替えられた。
橋が架かる中岳川は渇水で両岸がすっかり干上がり、水位はダム完成前の流れほど。旧橋は右岸側の橋桁が落ちて橋脚しかないが、左岸側はほぼ原形をとどめている。宇目振興局は、「旧橋の全体が姿を現すのは、ダム完成以来初めてではないか」と話している。
一方、北川ダムの放流量は、下流の生態系や田植えなどに配慮し、20日午前9時から毎秒1・7トンに増やされた。しかし、流域の降水量は依然として少なく、大分県企業局は「今後、まとまった雨を期待するしかない」と話している。
早朝に朝食もとらず車を飛ばしてやってきました北川ダム。
ごらんの通り、ダム湖が干上がっています。
大渇水。最高水位は木の生えているラインで、普段はそのちょっと下あたりの水位をキープしているはずですが。
黄色く見えるのは普段は湖面に浮かんでいるフェンスなのですが、斜面にへばりつくようになっちゃってます。
現地に着いて現橋のたもとから下を見下ろすと、湖底に橋が現れています。
斜面を降りて旧橋に近づきます。足場は思ったほどぬかるんでおらず、容易に近づけます。危険は感じません。
旧橋と現橋のツーショット。これだけの高低差があります。
ちなみに現橋は銘板によると昭和37年3月竣工だそうです。非常にスマートな現橋ですが、架けられてからすでに50年経っているわけです。
(続く)