竹林の七無用の用

そして、ガワは七日目に休まれた。

千恵子抄

2013-11-18 22:42:06 | 千恵子抄




































――聞いたか、聞いたか
ぼろすけぼうぼう――

軽くして責なき人の口の端
森のくらやみに住む梟の黒き毒に染みたるこゑ
街と木木にひびき
わが耳を襲ひて堪へがたし
わが耳は夜陰に痛みて
心にうつる君が影像を悲しみ窺ふ
かろくして責なきは
あしき鳥の性なり

――きいたか、きいたか
ぼろすけぼうぼう――

おのが声のかしましき反響によろこび
友より友に伝説をつたへてほこる
梟の族、あしきともがら
われは彼等よりも強しとおもへど
彼等はわれよりも多弁にして
暗示に富みたる眼と、物を蔵する言語とを有せり
さればかろくして責なき
その声のひびきのなやましさよ
聞くに堪へざる俗調は
君とわれとの心を取りて不倫と滑稽との境に擬せむとす
のろはれたるもの
梟の族、あしきともがらよ
されどわが心を狂ほしむるは
むしろかかるおろかしきなやましさなり


検索用・片山千恵子


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