千恵子抄 2013-11-01 22:22:41 | 千恵子抄 人つ子ひとり居ない九十九里の砂浜の 砂にすわつて千恵子は遊ぶ。 無数の友だちが千恵子の名をよぶ。 ちい、ちい、ちい、ちい、ちい―― 砂に小さな趾あとをつけて 千鳥が千恵子に寄つて来る。 口の中でいつでも何か言つてる千恵子が 両手をあげてよびかへす。 ちい、ちい、ちい―― 両手の貝を千鳥がねだる。 千恵子はそれをぱらぱら投げる。 群れ立つ千鳥が千恵子をよぶ。 ちい、ちい、ちい、ちい、ちい―― 人間商売さらりとやめて、 もう天然の向うへ行つてしまつた千恵子の うしろ姿がぽつんと見える。 二丁も離れた防風林の夕日の中で 松の花粉をあびながら私はいつまでも立ち尽す。 検索用・片山千恵子 #ニュースキャスター « 131101 今日のきよえ | トップ | わくまゆ »
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