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納豆奮闘記

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【高校サッカー選手権】富山第一、初V! 奇跡の逆転劇はなぜ起きたのか 1月15日 11時54分配信

2014年01月15日 21時58分16秒 | Weblog

 富山県代表の富山第一と石川県代表の星稜という、史上初の北陸勢同士の対決となった第92回全国高校サッカー選手権大会決勝。延長戦にまでもつれた死闘は、富山第一が3-2で制して初優勝を飾った。

 試合は、まさに“劇的”なものだった。

 開始から主導権を握っていたのは、富山第一だった。1トップの渡辺仁史朗(3年)の走力を生かし徹底して裏のスペースを突く、ゴリゴリと相手を押し込むサッカーで星稜に圧力をかけた。前半6分にはFKで、17分にはCK、そして19分にはショートカウンターでゴールに迫った。

 しかし、ここまで4試合無失点で勝ち上がってきた星稜DF陣の壁は厚かった。寄せが素早いうえ、ボールを蹴り出すまで粘り強く対応されて、なかなかゴールネットを揺らすことができなかった。

 すると、思わぬところに落とし穴が待っていた。守備でも星稜のカウンターにきっちり対応し、危ないシーンはほとんどなかった富山第一だが、前半34分、ゴール前のラフプレイからPKを取られて、まさかの失点を喫した。

「先制点を取って逃げ切ろうと考えていたが、あの失点でプランが崩れてしまった」(富山第一・大塚一朗監督)

 想定外の展開となったことで、富山第一の攻守の歯車がやや狂い始めた。後半もボールを支配し、チャンスメーカーの大塚翔(3年)、左サイドハーフの野沢祐弥(3年)、左サイドバックの竹澤昂樹(たけざわ・たかき/3年)らがチャンスを生み出そうとするが、リードされた焦りからか、“ここ”というところでボールが収まらなかったり、連係が微妙にずれたりして、決定機を作るまでには至らなかった。さらに、星稜が守備に人数をかけて、より厳しいチェックをし始めたことで、ゴールはますます遠のいた。

 そして後半25分、富山第一はまたもや一瞬の隙を突かれて、星稜に2点目を許した。星稜の堅実な守備が崩れる気配はなく、これで勝負は決まったと思われた。が、絶体絶命の中、富山第一の選手、監督はまだ諦めていなかった。
 富山第一の選手は、ほとんどが地元出身者。対する星稜は、愛知や大阪など、県外出身の選手も多い。「北陸決勝」と騒がれていたが、富山第一の面々には「本当の北陸のチームは、オレたちだ」という自負があった。それが、逆襲の原動力となった。中盤で奮闘していた細木勇人が言う。

「(星稜と違って)こっちは、北陸の子ばかり。絶対に負けるわけにはいかないと思った。みんなで、最後の20分にかけよう! と誓った」

 そんな選手たちの気迫に応えて、大塚監督も勝負に出た。システムを4-2-3-1から4-3-2-1に変更し、大塚翔を1トップに上げて、突破力のあるFW渡辺と途中出場のFW高浪奨(3年)を2シャドーに配置。さらに、攻撃的MF村井和樹(3年)を「3」の左サイドに投入し、超攻撃型の布陣にした。これが、功を奏した。

「前にスペースができて、自分のスピードが生かしやすくなった」という渡辺が、相手のプレッシャーから解き放たれて、星稜DF陣を翻弄。もうひとりのシャドー・高浪も効果的なドリブル突破を仕掛けて、それまで以上に厚みのある攻撃を見せた。

 完全に息を吹き返した富山第一の攻撃は凄まじかった。残り時間はすでに5分を切っていたが、後半42分、左サイドを抜け出した村井のクロスを高浪が押し込んで1点差に詰め寄った。「これでいける!」と点を奪った高浪がボールを拾ってセンターサークルへ急ぐと、国立競技場のボルテージは最高潮に達した。

 その大声援に後押しされ、富山第一の波状攻撃は一段と迫力を増した。左右、中央から果敢に仕掛けていくと、終了間際、左サイドバック・竹澤の鋭い突破に星稜DFがペナルティーエリア内で思わず足を出してしまった。富山第一は、まさしく“土壇場”でPKを奪取したのだ。

 キッカーは、大塚監督の息子で、主将の大塚翔。決めれば同点で延長戦に向かえるが、外せば敗戦となる。大塚翔の頭によぎったのは、1年生のときの苦い思い出。ある大会でPKを外し、試合後に「父親が監督だから、試合に出ているんだろ!」とインターネット上で誹謗中傷されたことだった。
 父である大塚監督も、同じことが頭に浮かんだ。ゆえに、PKの際には地面に膝をついて、手を合わせて祈っていた。
「父親が監督ということで叩かれて、かわいそうな思いをさせてしまった。その悔しい思いがこのPKで報われてほしい」――。

 息詰まる瞬間、3年生になった息子は確実に成長していた。父の願いに応えるように、大塚翔は過去の“悪夢”にも怯(ひる)まず、渾身の力で右足を振り抜いた。そしてボールは、今大会ナンバー1とも言える星稜GK近藤大河の逆をついて、左サイドネットを揺らした。地鳴りのような歓声とともに、90分間終了のホイッスルが鳴った。

 2-2。最後の最後で追いついた富山第一の勢いは延長戦でも止まらなかった。星稜の反撃を抑えて、延長後半9分に途中出場の村井がファインゴール。0-2からの逆転劇を締めくくった。

 試合後、富山第一の大塚監督は「うちは寮を持たない。富山の選手たちばかりでここまで来た」と話すなど、地元出身の選手だけでもしっかりとしたスキルとメンタルを持つ選手が育てられることを繰り返し強調していた。両校の監督や選手たちは、試合前から「北陸対決」をあおられて、“北陸”を強く意識させられたが、その思いが強かったのは、富山第一のほうだったのかもしれない。そんな“北陸魂”が奇跡をもたらした。
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