帽子を被り
大きめなジャケットを着たおばちゃんが
赤いリンゴ🍎
王林🍏
卵🥚1パック
田舎の饅頭(名前)を持って
墓地管理費を納めに来てくれた
『義父母さんは元気?』
『はい。施設ですが元気です』
『そう…あんな話好きだった人が…
寂しいね』
『そうですね』
『義母さんに習字を教えてもらった息子ね
独身なの
もし…もしもの時
何十年か後
永代供養、お願いできる?』
『…………先の事は分かりませんよ?
でも安心してください…
責任を持ってお守り致します』
『ありがとう…ホッとしたよ』
大黒さん
おばちゃんに分からないよう
ちょっと泣いていた
両手をついて
少しまがった背中を
お見送りした
『お気を付けて』
悲しい現実である
…こうして
一つずつ
一つずつお墓が消えるのである