肘折温泉の中では比較的情報配信のしっかりしているのがこの木村屋旅館。公式HPもあり、ネット予約も可能。旅館組合とかなにかに宿の人関係しているのでしょうかね?Twitterなどでも木村屋旅館のご主人は自分の宿だけじゃなく、肘折に関する様々な情報配信しております。
客室数6室と小規模の湯治主体の旅館です。湯巡りするようになってから、こういう宿が心地よいと思うようになりました。
平成23年に一度日帰りでこの宿のお風呂を利用。その時の印象が良く、いつかは宿泊で訪れてみたいと思っていました。しかしこの宿は結構人気があるようで、なかなか泊まりたい日は空いていない。少し疲れが溜まっていた頃でしたので、仕事の都合と調整して宿泊で温泉行こうかなと思い、マネージャーに宿探しお願いしたらなんと!楽天トラベルで空いているのをみつけて即予約してくれました。
タイミングなのだろうけど、かなり嬉しかったです。ずっと宿泊で行きたかったので。
到着して駐車場に車を停めている時、宿のご主人が出てきてくれました。肩幅が広く、結構体のごついご主人です。
[結構人気宿でなかなか予約がとれません]
宿泊
料金:7,100円(消費税、入湯税込)
2食付 2名1室 1名分料金
(楽天トラベル予約)
平成30年9月 訪問
宿泊予約していた者であることを告げると、すぐに宿の中に案内していただきました。
宿の入口にはロビーとかはなく、一般家庭の玄関が少し大きいかな?程度の作りです。
この瞬間、宿の泊まりに来たという感じより、ここに帰ってきたという気分にもなるのでした。これが湯治系のお宿の良さ。けしてホテルのようなサービスはありません。お客を迎えるというより親戚や家族を迎えるのと同じような雰囲気があります。
[宿の玄関 ロビーはなく民家的雰囲気]
お部屋に向かう途中、お風呂を案内していただきました。1階に中浴場と貸切風呂、2階に大浴場。中浴場と大浴場は男女別にはなっていないので、最初に入る人が男湯か女湯にする選択権があります。湯治宿だとこういうお風呂おを男女と明確にしていない宿たまにありますね。
お部屋な2階、8畳の和室。布団は部屋の中に畳んだ状態で置いてあり、自分で好きなタイミングで敷きます。布団敷きに来られるより、この方が気楽で良いです。
お部屋の設備としては、テレビ、電気ポット、冷水ポット、お茶セット、冷蔵庫、ティッシュ、浴衣、タオル、バスタオル、カミソリ、歯ブラシ丹前と一通り揃っていて、このへんは旅籠宿みたいな感覚になります。
季節的に必要ありませんでしたが、エアコンもついていました。窓には網戸もついています。
そして、Wi-Fiが使えるのもポイント。ただし、すべての部屋にまんべんなくWi-Fiが届くのではなく、一部の部屋は届きにくいようです。今回宿泊したお部屋はWi-Fi入りやすい方だったと思います。下り6M~10M程度の速度でていました。
茶菓子は温泉まんじゅう。定番中の定番が用意されています。
[8畳和室 2人で宿泊するには十分]
[電気ポットと冷水ポットが用意されている]
[浴衣、タオル、歯ブラシなど]
最初、冷蔵庫は無いと思っていたのですが、服を掛ける所を開けたら下の段に小さな冷蔵庫があったのです。ちなみに、廊下には共同の冷蔵庫もありました。もしかしたら、全室冷蔵庫あるとは限らないのかな?
[冷蔵庫はこんな所に設置されていた!]
お部屋で一休みしたらまずはお風呂。これが一番の楽しみなので。以前日帰りで訪れた時に2階のお風呂を利用したので、今回は1階にあるお風呂から利用しました。たまたま貸切風呂が空いていたのでそこから。
貸切風呂の脱衣所に行くと結構狭いですね。脱衣棚には脱衣カゴが4つ。これが現実的に利用できる最大数なのかなと理解しました。昭和の雰囲気を感じる脱衣カゴもこれまた良い雰囲気です。
[貸切風呂 脱衣所]
お風呂はコンクリートと石でできた長方形湯船。サイズ的に大人2人入るのが精一杯かなと思うサイズ。お湯は枯れ笹濁り系、浴室内には金氣臭が充満しており、こりゃ好み!私のストライクゾーンど真ん中。
手を入れてみると結構熱め。それでも、お湯をよくかき混ぜると十分入れる温度になりました。熱めの湯は体を攻めてくる感じがする攻撃的な湯。この熱さもまた心地よい。肌ざわり、香り、温度、全てにおいて温泉を体中で感じていると、攻められながらも幸せの中に包まれている気がしてきます。熱いので、湯船の中に長くいることは出来ません。熱い湯の時は、出たり入ったりを繰り返しながら湯を楽しみます。
[貸切風呂 湯船 中に段差あるので注意]
シャワーは1台。貸切風呂にシャワーもあるので、気楽にシャワーが使えて良いです。
[貸切風呂 シャワー]
この湯口を見ると、石膏成分も強いことがよくわかります。肘折の源泉の所と同じような析出物ができていますね。
[貸切風呂 湯口]
湯口もすごいですが、もちろんチェーンですらこのような状態。お湯の表面付近に析出物が固まっています。これではチェーン曲がらないのでは?
[貸切風呂 チェーンの析出物]
この湯船、もう一つの特徴として湯船の淵からお湯が溢れないことなのです。それはこの排水の作り。これ、この肘折の泉質では良い作りでしょうね。というのは温泉成分が凝固してしまうので、湯船の淵から浴室床に溢れさせると、浴室床がとんでもないことになると思うのです。それを防止するためにはこのような排水にしておくほうが無難なのでしょう。
[貸切風呂 排水]
温まりの湯である肘折の湯。宿泊なのであまり無理せず上がることにしました。目の奥がジンジンと温まってくるのがとても感じられ、もうひとつ、体の筋で疲れている所も少し痛みが増すなど特有の症状が出てきました。
部屋に戻りビールを飲んで部屋で休憩。ぼ~っとしていると、何もしない幸せを感じます。温泉に来ていろいろやりたいという人もいますが、私の場合は休むことが一番の目的。
ネットも繋がるので、暇つぶしには良いです。
続いて入ったのは2階にあるお風呂。大浴場。こちらの脱衣所は少し階段を登る形でたどり着きます。お部屋のある部分より少し高めの所にあるのです。
脱衣棚に脱衣籠、扇風機有。
[大浴場 脱衣所]
脱衣所内にも洗面台があります。
[大浴場 洗面台 階段もわかるかな?]
こちらの湯船は湯治宿とは思えないような作り。少し豪華にできています。大きさも8人ぐらい入っても大丈夫かなという広さ。前回日帰りで訪れた時はこのお風呂を利用し、熱くて加水したのを覚えています。今回もそのレベルかと思ったら意外と入りやすい温度に調節されていました。何となく、前に入っていた人が加水したのかなと思われる雰囲気ありましたね。
[大浴場 湯船 浴室壁面や床面も豪華な感じ]
お湯は笹濁りですが、1階の貸切風呂と比べると色が薄いです。ただ、鮮度がよく色がまだついていないというのではなく、なにか加水独特に濁りを感じました。
だからといって、泉質的には十分満足行くレベルが保たれています。よく、加水に関しては意見が分かれるところですが、正直、入れない温度に無理して入るより加水して安全に入浴したほうがよいと思っています。本当は加水なしでお湯を上手に冷まして利用するのが良いのですが、このように温泉成分が凝固しやすい泉質ではそれも難しいと思われます。
こちらのシャワーは1階のお風呂より水圧が良いので一番使いやすかったかな。
どうせなら、シャワー3台とも設置されているとよいのにと思うのですが、客室6室だけの宿なので、それほど集中することも無いからこれで良いのかも。
[大浴場 シャワー]
こちらの湯口も温泉成分がびっしり。湯口の所で湯の香りを楽しむのも良いと思います。
[大浴場 湯口]
1階の中浴場はその後に時間をおいて利用。
こちらの脱衣所は貸切風呂と似ていますね。脱衣籠の数が貸切風呂より多かったぐらいかな。
[中浴場 脱衣所 狭くて全体を写せない]
湯船は4人程度入るのに良いかなという大きさです。お湯は貸切風呂とほぼ一緒の感じですが、若干貸切風呂より入りやすい温度になっていました。
このお風呂、なかなか良かったです。というのは、このお風呂に入る時はいつでも事実上貸切。一人でこの大きさの湯船というのは広すぎず狭すぎずなんか落ち着くのです。時々とど寝の心地よい。
この宿のお風呂、浴室壁面にガラスブロックを使用しているのが特徴的。
[中浴場 湯船]
この湯船には、加水用の水道が用意されています。なんでこの蛇口というのはありますが。普通の形でよかったのでは?
[中浴場 変わった加水用水道蛇口]
シャワーはこちらも1台。普通に使えて何も困りません。湯治系のお宿の場合、シャワーあっても水圧駄目で使い物にならない宿とかもたまりありますから。
[中浴場 シャワー]
湯口は重厚感ある湯口になっています。こちらも温泉成分がたくさんついていますね。
[中浴場 湯口]
この湯船も排水口ちゃんとありました。
[中浴場 排水]
客室6室しかないのに、お風呂3箇所。だから、基本的に誰かが入っていれば無理して入らず、ちょっと待てば他の人とかち合わずにお風呂を楽しめる状態。これがまた気楽なのです。誰かと一緒に入って世間話するのも楽しいですけどね。この事実上のお風呂利用ルールのおかげで、本当は男湯か女湯のどちらかにして入浴するはずの2階のお風呂をわざと両方の暖簾かけて入っている老夫婦がおりました。まあ、だからといって別にそれでいいかなと思うぐらいで。
場合によっては今どきの若い人の中にはこのようなお風呂利用ルールの方が気楽に入りやすいと感じる人も多いのではないでしょうか。
さて食事。部屋食になります。宿泊料金を考えると十分な夕食の内容。焼魚、天ぷら、煮物などなど、家庭料理よりは量が多いと思いますが、旅籠の食べきれないほどの量でもなくという状態。味付けも飽きにくい味になっている点が良いです。この食事の味付けなら、連泊してもいいなと思いました。
[夕食 味付けが好み 1泊だとこのぐらいでも量的に良いかな]
朝食も定番の焼鮭や温泉卵など。明太子良かったですね。朝ごはんに明太子あると贅沢している気分になれます。お櫃のごはんがもう少し量多いとなお良かったかな。結構食べる方なので。
[朝食 温泉卵美味しかった]
ちなみに、館内お部屋前廊下はこんな感じです。本や雑誌が結構置いてあるので、宿泊中に飽きないと思います。
[2階廊下 本がたくさん置いてある]
2階お風呂前のスペースに、共同の洗面台と流しが用意されています。コインランドリーもあります。電子レンジもあるので、なにか温めて食べるというのが出来て良いですよ。
この場所にフリーで飲んで良いインスタントコーヒーが用意されています。
[2階大浴場前 洗面台・流し・コインランドリーなど]
トイレはお部屋にありません。共同のトイレが有り、シャワートイレになっています。
館内に自販機1台あり、500ミリ缶ビールが350円でした。うちは申し訳ないけど温泉街の商店で買ってきてしまった。ついでにパインサイダーも。
館内全体の雰囲気が大きな民家ですね。だから、隣の部屋の音が気になるとかいうタイプの人は、こういう宿より、ビジネスホテルみたいにしっかりした建物の宿を選んだほうが良いでしょう。
滞在中、5回ぐらい入浴したでしょうか。1回の浴室利用時間は短めで回数多く利用しました。その方が体への負担が少ないので。しっかり体が温まり汗をかくので代謝が良くなります。そうなると体の老廃物が早く排出されるのか、いろいろな部分がいつもより調子良いなとだんだん感じました。こういうのが温泉に来てよかったなと思う事のひとつ。
翌朝は一人で朝市に出かけてみました。食材的なものが多いですね。ちまきとかおこわなど、すぐに食べられるものも売られていますけど、全体の中では少ないです。
現代の湯治客にはすぐに食べられるもので売っていたほうが売れるのでは?と思いました。でも、結構人が出てきますね。人気の朝市だというのがよくわかります。
お湯が良くて食事もなかなか。お部屋の設備とかも十分であり、それでいてこの価格帯というのがありがたいです。どうりでいつ予約とろうと思ってもなかなか取れない訳ですね。現代流の湯治を行いたい人向けのツボを抑えているような宿だと思いました。
宿のご主人も女将さんも特別すごい対応をしていただいた記憶はないのですが、なんだろう、今でも良かったという印象だけすごく強く残っています。
どこか、ふだん着の温泉という雰囲気が感じられるこの宿、これなら次回は連泊で訪れてみたいです。また時間見つけて訪れたくなる宿がひとつ増えました。
主婦湿疹 ○