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川井さんという悪魔 - 漫画『聲の形(こえのかたち)』感想

2015-05-02 01:16:39 | 


漫画の感想書くの初めて。

最近漫画あんまり読んでなかったんだけど、
TSUTAYAでレンタルできたので、何となく。

これは良かった。

耳の聞こえない女の子硝子をいじめた少年将也が、
それをキッカケにいじめられるようになり…っていう1巻の
展開が辛すぎて…。

小学生の中に、特に「個性的」な人がいたら、
どうしてもこうなっちゃうだろうなっていう、やり切れなさ。
もう避けられないじゃんこういうのって。

悪意なしに始まって、誰も止めなくて、
被害者になりたくなくて、責任のがれして・・・っていう。

ネタバレあります。

主人公の将也君は硝子ちゃんと再会し、全てをやり直そうとするんですね。
まったくもって、虫のいい話ではあるんですよ?
でも、硝子ちゃんはそれを受け入れるし、将也くんもそれなりに必死。

うまくいきそうになる度に、いじめた過去、いじめられた過去に追いかけ回される将也君。
いじめられていた自覚すらない硝子ちゃんは、別の意味で苦悶していたりする。

そして、将也を裏切ったクラスメイトたちにも
それなりに思うことがあったりなかったり、反省してたりしてなかったり・・。

ぶつかりながらも少しずつ前進しているかと思いきや、
第5巻で完全に破綻するようなケンカを超えた罵り合い!

このクソどもは、どうなるんだ!!?
と思ったら、そこの収束のさせかたはズルいなと思った。

その後をあんなにアッサリさせちゃあぶつけた意味がないじゃない。
別の悲劇で問題を薄めるのはダメ。終盤は、そのせいでちょっと物足りない。

この作品で気に入ったキャラクターは、川井さん。


たぶん、最も嫌われるキャラクターだろう。
しっかりイジメに加担しているくせに、先頭を切ってイジメてたわけじゃないから
イジメてた自覚がないどころか、なぜか被害者意識全開の恐ろしい子。
まるっきり悪気がないところが恐ろしい。

こんなヤツが身近にいたらと思うと怖気が走るが、案外いそう。

終盤では、みんなの関係を引っ掻きまわしまくり、
将也君は「心から気持ち悪い」と言ってしまうほど。
これは、もう言ってはいけないレベルの正直な言葉であり、
関係復帰不可能な言葉である。

しかし、終盤の事故で有耶無耶になって、元通り普通の関係になる。
そのせいで、この子は見方によっては、まるっきり最後まで変わっていないようにも見えるんだが、
実は将也君に罵られてから後、硝子ちゃんと接する時に自分の気持ち悪さを自覚するシーンが描かれる。

それを自覚してもなお、自分を可愛いと思って大事にしないと前に進めないという
彼女なりの決意がサクッと描かれているんですね。

だから、将也くんにしらじらしい千羽鶴なんかをわざわざ持って行ったりするし
自分の気持ち悪さも自覚してるし、そんな自分を気持ち悪いという将也くんにも
恨みつらみなしで接することができるのだ。

彼女は、間違いなく成長した。
しかし、彼女はこれからも人をとんでもなく傷つけ、強かに生きていく事だろう。
それ以外の生きかたを彼女は知らないのである。

植野さんを筆頭に、他にも濃いキャラクターがわんさかいるので、
彼女は飽くまでも脇役にすぎないが、こんなに生々しいキャラクターが
シッカリ描かれているこの漫画はやはり素晴らしかったと思う。

真柴くんって言う、薄っぺらエセ正義野郎も結構好きだったな。

というわけで、この漫画では耳の聞こえない子の話というより、
元いじめっこと、その周りの人々の話なのだ。
過去の過ちを「子供だったから」というだけで片付けることはできない。
成長するということは、自分と違う人間、自分が嫌いな人間と
きちっと向き合えることなのだと、そんなようなことが言いたいんじゃないかと思う。

でも、川井さんには近づきたくない…。




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1 コメント

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Unknown (通りすがり)
2016-03-10 14:16:15
>真柴くんって言う、薄っぺらエセ正義野郎

よくわかってますね~
でも真柴はキャラとしては川井さんのような深みもなく、ただ不快なだけでした
あと西宮さんっていう薄っぺらなキモオタの理想像も大嫌いでした
この漫画で素晴らしかったキャラクターは川井、植野、ママ宮の3者くらいでしたわ
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