<特徴>
演技性パーソナリティ
障害とは、
日常生活において、あ
たかも、自分が役者で
あるかのような振る舞
いをする障害、
と言われている。
典型的な特徴を以下
に示す。
1⃣人目を惹く為に、
演技のような言
動をする。
また、思うように
注目を集められな
い場合は、
ストレスが溜まり、
自己破壊的な行動
を取る。
2⃣元来、自己中心的
であり、
自分を美化させる
ために
他人を利用する。
加えて、気にいら
ないものには敵意
を抱く。
<原因>
いくつかの要因が
考えられる。
➀母性的な愛情不
足によるもので、
幼少時代に虐待
を受けた経験が
ある、
という要因。
➁遺伝的な要因。
③演技性の強い大
人が身近にいる
環境で育った場
合、それを模倣
する、
という要因。
<症状>
➀内容がなく、
深みのない
話題をする。
➁周囲から
注目されたい、
関心を引きた
い、
と、常に感じて
いる。
そのため、注目
されないと急に
不機嫌になる。
③自分の外見を四
六時中、気にし
ている。
④周囲からの影響
を受けやすく、
暗示にかかりや
すい。
⑤気を引くために
身体的な表現を
使う。
⑥感情が不安定な
ため、鬱状態に
なりやすい。
⑦外向的だが、自分
自身がない。
⑧プレッシャーや
ストレスに対し
て、極端に弱い。
⑨自分が、注目の
的にならない時
は、相手や周囲
の悪口を言葉に
して、攻撃をす
る。
⑩演技的で、芝居
じみた言動をす
る。
<分析>
演技性パーソナリ
ティ障害の人は、
1⃣注目や関心に
対する飽くな
き欲求、
2⃣身体的な自己
顕示
などを、特質と
するタイプで、
過剰なパフォー
マンスによって、
人々の注意を引
き付けようとす
る。
時には、嘘や捏造
により注目を浴び
たり、同情を得よ
うとするのである。
そして、外面的魅
力に過大な存在感
を抱き、自分のア
イデンティティが、
飲み込まれた状態
を引き起こしてい
る。
その根底には、周囲
に、息をのませるよ
うな外面的な魅力に
よってしか、自分の
存在価値を認めても
らえない、
という内面の空虚感
がある。
この障害の人の大半
が、幼少期から、家
庭環境や生い立ちの
中で、自分の存在を
認めてもらうことが、
殆どなかったので、
他人と比較されたり、
差別されたり、
すると
「見放されたくない」
「疎外感を持ちたく
ない」
「認めてもらいたい」
という感情が、人の
何倍も強くなる。
その結果、
「よく見られたい
願望」
「周囲に対してアピ
ールしたい衝動」
が身についている
のである。
<対処法(関わり方)>
まず、注視すべき
ポイントは、
演技性パーソナリ
ティ障害の人にと
って、
注目されたい欲求
は、切実なもので
ある、
という点である。
それ故、その欲求
を、押し込めるの
ではなく、
うまく生かすこと
が大切である。
この障害の人は、
社会規範に反す
るような事をし
てでも、注目を
得ようとするの
で、批判的な態
度をとる事は、
「自分のすべて
を否定される」
ことに感じられ、
余計に問題を悪化
させやすいのであ
る。
むしろ、
注目や関心への欲
求を満たす
と同時に、
外見的なこと
だけでなく、
内面的な魅力
を評価する対応
をすると、安定
した信頼関係が
作られやすい、
と思われる。
続いて、
「関わり方に
ついて」
であるが、
このタイプの人は、
長所を認めて、褒
めることが重要で
ある。
彼等は、暗示にか
かりやすく、周囲
からの影響を受け
やすいため、信頼
している人からの
褒め言葉は、受け
入れ易いものであ
る。
それ故、このタイ
プの人の欠点や問
題点を指摘するの
ではなく、
「私はあなたに、
こうなって欲
しい。」
「私はあなたが
○○してくれ
たらうれしい」
という具合に、
「自分を主語にし
た表現」
を使えば、よりベ
ストな関わり方と
言える。
しかし、関わりの
途中で、
何かを強く訴えたり、
感情を前面に出した、
場合には、
否定したり、
言い返したり
せずに、
あるがままを
受け止めて、
傾聴し、
共感する
ように努める事が
重要である。