もう一年以上も前からアニメ化までされちゃってる漫画なんで、まあ今さらなんですが。もし、藤子不二雄作品で育った世代で、まだ「ケロロ軍曹」を読んでいないって人がいたら、ぜひ試しに第1巻から読んでみてください。「藤子テイストの作品」というよりは、「藤子パロディー」満載のギャグ漫画。
地球(ポコペン)を侵略しにやってきた、カエル型宇宙人・ケロン星人達。侵攻前の潜伏調査中に、小隊の仲間とはぐれてしまった主人公?ケロロ軍曹は、偶然?地球人の中学生・日向冬樹に姿を見られてしまう。オカルト好きの冬樹と独りぼっちのケロロの間になぜか友情が生まれ、ケロロは日向家に居候する事に。そして次々と姿を現す小隊の仲間も、なぜか地球侵略そっちのけで地球生活をエンジョイするのだが…。みたいなお話。
そうです。日常的な一家に、突然非日常的な第三者が現れ居候を始める。藤子不二雄作品の定番設定を踏襲し、藤子ワールドをリスペクトした作品なのです。藤子風味はそれだけではありません。随所に出てくるマニアックな藤子作品のパロディーの数々は以下のファンサイト「ヨシザキャー」内の「ケロロ軍曹マニアックス」を参照していただければと思うのですが、原作者の「パロディーネタ」に対する壮絶なこだわりには驚かされます。
オバQ的なケロロの状況設定や、何の説明も無く繰り出される藤子作品の名セリフ。小隊の仲間・クルルが開発する、「ドラひみつ道具」的な侵略武器?の数々。ケロロ軍曹単行本の第6巻で突然地球を去る事になったケロロ達が、第7巻でひょっこり帰ってくるあたり、ドラファンとしてはもう脱帽な訳です。(さようならドラえもんはてんコミ第6巻掲載)
まあ、それ以上にガンダムやエヴァなどのアニメ・ネタも満載で、オタクネタが苦手な人には敬遠されそうな部分もありますが、(実際、小説・電車男にもアニメ版ケロロが登場し、ちょっと話題に!)パロディー部分を抜きにしても作品として成立しているというお得な作品構造になっていますので安心です。ストーリー自体がドラえもんを思い起こさせるお話も多く、ドタバタギャグもあれば、結構いいお話もあったりして、少年漫画としても充分楽しめます。今年2005年には、とうとう小学館漫画賞(児童向け部門)まで受賞しました。受賞式で藤子A先生と握手されていた作者・吉崎観音先生は心底嬉しかったのではないでしょうか?(正直、児童向け部門ってのは??なのですが)
現在、テレビ東京系で放映中のアニメ「ケロロ軍曹」も、近年の原作ありきのアニメとしては、とても成功している作品なのですが、チャンネル的に藤子パロディーはほとんど出てきません。そのかわり、このアニメ版は制作がサンライズなので、ガンダムネタは原作より多く使用されています(あの著作権に厳しかったサンライズがエヴァのパロディーを原作通りまんまやっていたのは衝撃的でした)。ガンダム世代の青年?のみなさんもぜひチェックしてほしいのであります。
まあ、今さら原作・アニメにハマって、こんな時期はずれに作品紹介している私自身、どうかとも思うのですが、一藤子ファンとして純粋に嬉しかったので、今さら書いてみたのであります。
ケロロ軍曹 (1) 吉崎 観音 角川書店 1999-12 by G-Tools |
まだコミックの方は買って読んではいないんですが、アニメのほうでも、「バイバイン」ネタや21エモンネタも出てきますよ。小ネタでもいくつか出てきます。
原作の吉崎先生は、藤子漫画を大変気に入っているようで、以前にTSUTAYAのフリーペーパーで登場した際、おすすめ本として藤子・F・不二雄先生のSF短編を挙げていましたよ。