健康印のススメ

富士健康印商店会のブログ

平垣の伝説 金正寺の猫 ②

2007年11月16日 | 地域の情報
「何事だろう」と好奇心にかられた老人はねまきのままで、
猫に気づかれないように注意しながら急いでその後を追うと、
猫は月明の下を屋敷をぬけ、畑の中を走り、
中島村のキャアツンバ(茅積み場)の広場まで行った。
そこはその頃の農家の茅葺き屋根に用いるため、
富士山入会地で共同で刈ってきた茅を積んで置く所であった。
広場には、いるわいるわ何十匹もの猫が輪になっててんでに
手拭をあねさん被りにして後ろ足で立って、
手振り足付き面白おかしく踊っている。
大きいのや小さいのや、三毛もいればブチもいる。
黒虎、赤虎、尾の長いの、短いの、しっぽの先が曲がっているのや、
耳が立っているのや垂れているのや、有りとあらゆる種類の猫が踊っていた。

           つづく・・・・・・・

●富士の伝統と昔話 鈴木富男編
●ふるさとの昔話Ⅱ 富士市 編 参照させて頂きました。 

平垣の伝説 金正寺の猫 ①

2007年11月12日 | 地域の情報
いつの頃か、平垣の不二山金正時という古い寺に年をとった大きな三毛猫がいた。
そしてその猫が主になって近所の猫たちが夜な夜な踊りをする、
という噂が誰ともなく近所の人達にいわれるようになった。
そのことの正体がわかったのは次のようなことからであった。
 鷹岡の片宿に大きな農家があって、そこの老人がある晩、風呂に入って濡れた豆絞りの手拭を上がりはなの袖屏風に掛けて置いた。
ある朝、手拭を取ってみると泥が付いていて、
それに考えてみると掛けて置いた場所が違っていた。
 ”これはおかしい”と思ったがその晩も同じように風呂に入り、
手拭を掛けておいて、翌朝見るとやっぱり泥がついている。
「誰がこの手拭を使ったか」と家の人に聞いたが誰も知らないと言う。
そんなことが幾度も続いたので今夜こそその訳をしらべてみようと、
老人は早くから床に付いて一寝入りしてから夜中に目をさまし気をつけていると、
家中の者はみんなそれぞれの寝息を立てて眠っているのに
上がりはなのところでカサカサと音がして、
それから物を引きづって行くようにスウスウとかすかな 音がした。
「はてな」と思った老人は枕元の灯火をつけてみると屏風の手拭がない。
老人はすぐさま起きあがって、そうっと表の戸を開けて見ると
こうこうたるつき明かりの下で、その家の猫が手拭の端を口にくわえて背に掛け、
 庭先を南の方に走って行った。( 四話連載)
    
                      つづく・・・・・・・・・・

●富士の伝説と昔話  鈴木富男編
●ふるさとの昔話Ⅱ  富士市 編 参照させて頂きました。