イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

Castello della Manta(マンタ城) その4 その他

2016年12月27日 15時48分44秒 | イタリア・美術

結局今日も家にいます。
ということでCastello della Mantaの最終回です。

メインディッシュは昨日済ませてしまいましたが、他にも少しだけ見るものが有ります。
1つはチケット売り場と同じ2階(?)に有るSalone delle Grottesche(グロテスクのサロン)
丁度チケット売り場の後ろ側での大きな部屋ですが
部屋の由来はこの天井

15世紀末Romaでネロ皇帝のDomus Aurea(ドムス・アウレア)の発見で見つかった古代ローマを起源とする異様な人物や動植物等に曲線模様をあしらったグルテスクという様式で天井が装飾されています。
天井の図像のプログラムは、Valerioが1587年Duca Carlo Emanuele I di Savoiaの為に書いた”Libro delle formali cacce”というものから来ています。

こちらが正しい向きではない気もしますが…
中央には火の付いた馬車で昇天するElia(エリヤ)とそれをアシスタントするEliseo(エリシャ)が描かれいます。
そして2つの楕円の中には3人の天使がいます。

彼らはそれぞれの手に一時的な権力と宗教のシンボルであるMitra(司教冠)と司教の杖、剣、本と月桂冠を持っています。
そして興味深いのはもう1つの楕円の方

地球儀が描かれているのですが、なんとここに発見される前のアメリカと南極が描かれているんです。
この画家がどうして知っていたのかは不明ですが、とても興味深いですね。

そしてこの部屋から続く廊下

こちらの天井は騎士道の詩から引用されていて、神話の登場人物Cadmo e il Drago(カドモスと大蛇)とかErcole e l'Idra( ヘラクレスとヒュドラー)、

Perseo e la Medusa(ペルセウスとメデューサ)、
Ulisse e Polifemo(オデュセウスとポリュペーモス)などが描かれています。

そしてお城の中を見終わった後は、入り口を出て左側の坂を下りたところにある教会に行きましょう。

Chiesa di Santa Maria al Castello
聖母マリアに奉じられた教会です。
こちらは多分Valeranoの時代ではなく、弟で嫡子のLodovicoの時代のもの。

身廊のフレスコ画はほとんど残っていません。

この奥はもともとPresbiterio(聖堂内陣)だった場所で、それを16世紀末改築してCoro(内陣席)とSacrestia(寝具室)にした場所には結構状態が良いフレスコ画が残っていました。
テーマは「キリスト受難」

正面は一番ドラマチックなキリスト磔刑図
物語は切れ目なく続いています。
プロポーションとか遠近法はそっちのけで、リアルさを追求した作品。
脇は2層に分かれて描かれています。

こういう感じに。
ちなみにこのシーンは

正面向かって右側。
キリストがピラトの前に引き出されたキリスト
こちらは

エルサレムに入場するキリストから最後の晩餐まで。
とにかくリアルです。

そしてこの小さな教会の中には

Valeranoの弟Ludovico Iの孫にあたるMichele Antonio Saluzzoが祀られた礼拝堂があります。
Michele Antonio Saluzzoは1609年に死亡しています。

こちらはマニエリズム様式
丸天井にはキリストの物語が描かれています。
祭壇にはGiovanni Angelo Dolceが描いた「キリスト復活」が置かれています。
祭壇は1700年代に改修されていて

大理石のように見えますが、これは人工の偽物大理石で出来ているそうです。
この技術はEmilia, Lombardia Canton Ticino地方で流行っていたそうです。
小さな礼拝堂ですが、装飾満載です。

とうことで長々引っ張って来ましたが、Castello della Mantaのお話はこれにて終了。
2016年最後は、Lombardiaのゴシックの傑作を紹介できれば…と思っています。



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