イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

エースのドームと屏風ー神奈川県立博物館

2019年03月24日 16時13分55秒 | 日本・美術

またまご無沙汰しています。
日本全国で桜の開花が宣言され、日に日に暖かくなる今日この頃。
桜が咲き始めると、何でもないのにウキウキするのは私だけでしょうか?

さて、先日春分の日ですが、神奈川県立歴史博物館が無料開館な上、普段は見られないドームの見学が可能ということで行ってきました。
このドームについては偶然ですが先日ここでも取り上げましたが、まさかこんなに早く内部が見られる機会に恵まれるとは思いませんでした。


関内、馬車道にある神奈川県立歴史博物館が開館したのが1967年3月20日で、それを記念して春分の日は無料拝観日になっています。(記念するなら20日では?と思うのは私だけ???)


旧横浜正金銀行本館であったことを記念する碑と「パンチの守」というちょっと強面のキャラクター
なんとこのキャラ、ちゃんとモデルがいて150年前に生まれた諷刺誌『ジャパン・パンチ』のキャラクターなんですと。
横浜のようすを描いて、ヨーロッパの人たちに日本のことを知らていたそうです。(詳細はこちら

お目当てのドームは3階から上がります。


「エースのドーム」とはその形がスペードのエースに形が似ていることからつけられた愛称で、横浜三塔として知られる、神奈川県庁本庁舎の塔は「キングの塔」(1928年竣工)、横浜税関本関庁舎の塔は「クイーンの塔」(1934年竣工)、横浜市開港記念会館の塔は「ジャックの塔」(1917年竣工、国指定重要文化財)にあやかったもの。

ちなみに毎年3月10日前後の週末は、「三塔の日」ということで、各種イベントが行われる上、「ジャックの塔」に上ることが出来ます。
「今年こそ上るぞ~」と思っていたのですが、諸事忙しかったのと、天候が良くなく断念しました。
他にも横浜開港記念日(6月2日)にも上ることが出来るようです。
「キングの塔」は今月まで修復工事中で次回いつ上がれるかは未定、そして修復が済んだ「クイーンの塔」は普通は年に2日、11月の税関記念日しか上れませんが、今年は1月、3月、6月(2日連続)、8~11月、計8日間上がることができるそうです。(はまれぽcomより)


3階から階段を上り、屋上に出るとドームがこんなに近くに。


小さいなぁ…というのが正直な感想。だって、フィレンツェの大聖堂のドームとどうしても比べちゃうからね。
これでも高さは約19メートルもあります。
ブロンズのイルカが近いです。

小さな入り口から、腰をかがめて中に入ると


おっとびっくり中は木製なんだ。


屋根の丸みもこういう感じでだしています。今まで木製のドームって見たことがなかったので、非常に新鮮でした。

ドームの見学以外にも、常設展、特別展も全て無料でした。
常設の方は、小学生くらいの時多分一度見たことがあると思います、神奈川の歴史をたどる展示品の数々が並んでいました。

そして特別展では「屏風をひらけばー神奈川県立歴史博物館所蔵の屏風絵ー」をやっていました。
作品数はたった15点と非常に少ないのですが、非常に面白い展示でした。
中でも特別展最後の「南蛮屏風」が良かったです。


これ、東本願寺大津別院所蔵の旧蔵品で、教如上人が徳川家康から拝領したと言い伝えられた作品で、明治44年時点では「傳又平筆」つまり岩佐又兵衛が描いたものと考えられていました。
岩佐又兵衛…ちょうど現在上野で開催中の「奇想の系譜展」を見に行く前に読んでおこうと思っていた辻惟雄の「奇想の系譜」

を読んだのですが、そこに出ていたので特に気になってしまいました。
結果的にこの「南蛮屏風」は又兵衛作ではないようですが、非常に面白かったです。


なぜか登場人物のほとんどが浮かない顔をしています。


船の上で酒盛り?


かなり劣化しているけど、犬に手を差し伸べる南蛮人と後ろには怖がって隠れる人。
とにかく登場人物も面白いし、この2隻、並べて飾るのはちょっと変。
左隻の船は左が先頭、右隻は行列が右へ向かって歩いています。
もし2枚並べて飾るなら、方向を揃えたのでは???なんて考え始めるときりがない。
所蔵品リストの裏に、鑑賞の手引きとして「六曲屏風一双の左隻の第二扇ってなぁに」という説明があってそこに屏風の簡単な説明が載っていたのですが、屏風は本来室内の仕切りで、どのように置くかは勝手とあるので、この2枚も自由に置かれていたのでしょうね。
他にも


親子の龍が描かれた屏風。橋本雅邦筆。


本当に細かい東海道を描いたものや


庶民の暮らしを描いた狩野探幽筆「四季耕作図屏風」や


小田原藩の絵師岡本秋暉筆の「花鳥図屏風」などがありました。
こちらの特別展は31日までです。
特別展は全作品撮影可能なのですが、入り口に写真を撮るだけでなく、撮影前に是非生の作品をじっくり見てみてくださいと書いてありました。
ほんと、ほんと。私もついつい撮影に夢中になりがちですが「あなたの『撮りたい』ととなりの人の「ゆっくり静かに見たい」これらは等しく大切な気持ちです。」

日本美術を見るにつれ、西洋美術とは本当に違うなぁと思います。
田植えをする人々がこんなにも自然に絵画に描かれるなんて…
あっ、でもフランドル絵画はわりと近い部分がありますね。
どちらが良い悪い、優れている劣っているではなく、どちらも面白いなぁと強く感じる展覧会でした。
東海道を描いた作品も多く、思わず自分が住んでいるエリアを目を凝らして探してしまったり。
楽しい休日の一コマでした。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
gooのメンテナンス後 (カンサン)
2019-03-25 20:02:37
fontanaさんへ、以前、東京に住んでいた頃、年に何回かは横浜に行っていました。大坂にきてから、東京に行った時、何かの展覧会を見に横浜市美術館に行ったことがあります。
gooがメンテナンスをしてからgooを見てみると、大幅に変わっていました。慣れるのにちょっと時間がかかりそうです。
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わ、ホント! (fontana)
2019-03-28 22:33:21
カンサンさん
コメントありがとうございます。
横浜美術館は結構面白い企画展をしていますが、大抵いつも空いていて助かります。

このメンテナンス…使いやすくなったのでしょうか???
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