イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

ポンペイの呪い⁉ーポンペイ、エルコラーノ

2020年10月15日 15時12分55秒 | イタリアのテレビ・ニュースから


すっかり寒くなったなぁ。
今日はちょっと調べものもあるので、軽めなネタをご紹介…
と思ったら結局イタリア語の記事読んだのでそれなりに時間取られた。

ニュースから拾ったもので、2件ともPompei(ポンペイ)絡み。
ポンペイと言えば、79年ヴェスビオス火山の噴火で地中に埋もれた街として世界的に有名。


こちらはポンペイの遺跡。
本日の写真は全部自前。2016年に行った時のもの。

Villa dei Misteri(秘儀荘)に描かれたフレスコ画は2015年に修復を終え、「ポンペイの赤」と言われる鮮やかな赤色が蘇っていた。

さて、1つ目のニュースは、この遺跡から「持ち帰った」ものが、続々と返されているという話。
何でもこっそりと持ち帰ったモザイク片や石が呪われているという理由から、返却されているらしい。
”ラ・レプブリカ紙など現地メディアが伝えたところによると、ポンペイの旅行会社に届いたのは、カナダの女性からの手紙。女性は2005年にポンペイ遺跡を旅行で訪れ、「誰も持っていない歴史のかけらを持っていたい」とモザイクタイル片二つをこっそり持ち帰った。ところが、それ以来不幸続き。”ということらしい。

引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/7b0413da0541a6f98831f3059cbedbe959f68522

日本語だけではなんなので、イタリアの新聞記事も確認してみた。
引用元のLa Repubblicaではないんだけど、こちらも有力誌の1つIl Massaggeroのオンライン版。

こちらによると送られて来た箱は、フランスから。
直接Soprintendenza speciale ai beni archeologici di Pompei(ポンペイ考古学遺産特別保護局)のオフィスに届いた。
中にはいかにも外国人が書いたと思われる間違い交じりのイタリア語の謝罪文としっくいが塗られた破片、モザイクのパーツ、石やレンガの破片など様々なものが入っていたそうだ。
お~い、いったいどれだけ拾って行ったんだよ。
上の記事はカナダから、こちらはフランスから、ということで分かるようにこのような後悔や謝罪の盗品返却ケースは後を絶たないらしく、ここ数年で10数個の小荷物が保護局届き、100個近い破片が戻ってきた。

確かに後悔や謝罪の為に返還された破片たちなのだが、その裏に有るのが「ポンペイの呪い」というわけ。
エジプトのファラオの墓の盗掘も同じだろう…と一瞬思ったけど、あれはホントの呪いか?
「ポンペイの呪い」がいつごろから言われるようになったのかは分からないが、この不幸な街の運命と自分の不幸を結びつけたことは明らかだ。
ただ、ちょっとした出来心で持って行かれた破片が、遺跡の常用なパーツであることがある。
現に1980年代初頭に一部が崩落していたCasa del Fruttetoからフレスコ画の1部が盗まれた。
現在Casa del Fruttetoは完全に修復されたが、その一部分だけが欠けていたのだが、その1部が返却された破片の見つかった。今後その破片は元の位置に戻されるらしいのだが。
このように後悔か呪いか、しらないが、戻してもらうに越したことはない。
持ち去られた破片の中には全く価値のないものから、非常に重要なものも含まれているのだから。

例えば、過去に劇場の中庭の柱廊の屋根の四方に飾られたテラコッタの頭の形をした瓦装飾の1つが持ち去られたのだが、今年カナダの女性がそれをポンペイに持ち帰った。
「1964年新婚旅行で訪れたポンペイからそれを盗んだ。しかし(今回)それを返すためにイタリアを再訪した」そうだ。
全てのケースが、ポンペイの特別な思い出をお土産として持ち帰りたいという単純な思いからの出来心だったのだろうと保護局の所長は言う。
ポンペイは44ヘクタールの廃墟。
全てを管理するのは到底無理。特に1950年代、60年代は今よりもっと難しかった。

この盗まれて返却された破片は、一部のものはどこから取られたものなのか消息をたどることが可能だが、消息が謎の物も多い。
ただ保護局ではこれらの盗まれて戻って来た破片をカタログ化して、展覧会を開き、ポンペイが受けた被害の歴史の1つとして後世に伝えていきたいと考えている。
参考:https://www.ilmessaggero.it/pay/edicola/maledizione_reperti_pompei_trafugati-767184.html

イタリア語の記事を読んで良かった。
文字数の関係はもちろんあるだろうが、日本語の記事の書き方とイタリア語の新聞とでは伝えたいことが異なる。
日本の記事の場合「ポンペイの呪い」が強調されているが、イタリア側が言いたいのは、これを機にポンペイのみならず他の遺跡などかたの盗難を止めて欲しいと国際的に訴えることであり、万が一持って帰った人がいるなら、その1個がもしかしたら非常に重要な1パーツかもしれないということを考えて欲しいということだろう。
そのために「呪い」を強調したのでは…って、考え過ぎかな?
石ころ一個でも、持って帰ってはいけません!呪われますよ!!くわばらくわばら。

そしてもう1つ。こちらはイタリア語の記事は確認しなかったのだが…
「ベズビオ山噴火犠牲者から2000年前の脳細胞、保存状態は良好」という記事。
噴火で命を落とした若者の遺体から、脳細胞が極めて良好な保存状態で見つかったという。
こちらはポンペイではなくヘルクラネウムということ…
ん?ヘルクラネウムってどこじゃ?と思ったらエルコラーノのことではないですか。

これがErcolano(エルコラーノ)
遠くにヴェスビオス山も見える。
エルコラーノもポンペイ同様79年の噴火で埋もれてしまった。

犠牲者は20歳前後の男性で、遺体は木製のベッドに横たわった状態で1960年代に発見された。
研究結果は今月6日アメリカの科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に掲載されたそうだ。
研究者の話だと「将来起こる噴火の初期段階で、市民を守るための介入措置に有用な情報を提供できる可能性がある」そうだ。
引用:https://www.msn.com/

随分新しい発見だなぁと思ったら、2年前ににも足の不自由な(多分そのせいで逃げ遅れた)35歳くらいの男性が発見されたというから、まだまだ埋まっている可能性は有るんだなぁ…
参考:https://www.lastampa.it/

同じ過去の遺物に関する記事でも全然違うなぁ、ということでした。



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