数学は使えるか

主に理工学書の書評,数学の応用を目指してトライしたことなど.

基礎からのベイズ統計学

2015-07-13 11:05:01 | 書評
従来の統計学は解釈が難しいと感じていました.帰無仮説とか,昔大学で習った時にはなかなか理解できませんでした.
また,統計量を決めた際の統計量の確率分布(カイ2乗分布とかt分布とか)をいろいろと覚えておかないと使えない,というのも統計学は暗記科目なのでは,と感じたこともあります.
さて,ベイズ統計学ですが事前分布(主観確率とも言いますが)をいったん決めてしまえば,あとはどんな量に関して解析を行いたいかというのを決める(生成量といいます)だけで,決まった手続きで統計的な判断ができるようになります.
MCMCや本書で紹介するHMCなどのサンプリング手法が手軽に使えるようになったのが大きいようです.
本書では,MCMCやHMCも詳しく書かれていますが,さらにサンプリングを用いてどのような問題にはどのような生成量を使ってどのように解析するかが豊富な例題と共に解説されているのがベイズ初心者にも理解を容易にしてくれます.

3 コメント

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Unknown (flippergo)
2016-04-27 11:35:44
生成量をうまく定義すれば検定にも使える,というのが正しい理解という気がしてきました.サンプリングによって事後分布が容易に手に入るようになった最大のメリットは(古来からある)統計的決定に使える,ということでは.
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Unknown (flippergo)
2016-04-27 11:38:11
いずれにせよ,新刊
「はじめての 統計データ分析 ―ベイズ的〈ポストp値時代〉の統計学―」
が楽しみ.
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「はじめての統計データ分析」 (flippergo)
2016-06-21 08:05:41
豊田先生の新刊が出ましたね.本では様々な生成量が紹介されていますが,要するに従来の統計学のように「この場合はこの統計量」といった暗記が大事なのではなくて与えられたデータに対して自在に生成量を付与して解析できる,ということでしょう.ただしあまりに自在だと手の付けようがないので,どのような生成量を選ぶかということに関してはベイズ決定理論とかの枠組みをあらかじめ考えておく必要がありそうです.
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