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日本の憲法 Vol.44 旧刑法第200条が憲法第14条1項に違反(尊属殺重罰規定判決)

2017年10月24日 | Weblog


旧刑法200条
「自己又ハ配偶者ノ直系尊属ヲ殺シタル者ハ死刑又ハ無期懲役ニ処ス」

事件は、被告人が14歳の時に実父に姦淫され、以後10年以上夫婦同様の生活を強いられ数人の子供まで産んだ。職場で出会った青年との結婚の機会に巡り合ったが、それを知った実父はこれを許さず、10日余りにわたって脅迫、虐待を加えた。たまりかねた被告人は、忌まわしい境遇から逃れようと実父を殺し自首をした事件である。

第1審の宇都宮地裁は、刑法第200条を憲法違反として、第199条の普通殺人罪の規定を適用した。

第2審の東京高裁は、第200条を合憲とした上で、最大の減刑を加えて懲役3年6月の有罪判決を下した。

これに対して最高裁は、刑法第200条を憲法違反とし、同法第199条を適用して、破棄自判、懲役2年6月執行猶予3年の判決を下した。(最大判昭和48年4月4日刑集27巻3号265頁)
判決文の中で、①尊属殺に刑を加重するすること自体は法の下の平等に反しないとしながら、②刑罰加重の程度が極端な場合には法の下の平等に反するとした。そして、「刑法200条は、尊属殺の法定刑を死刑または無期懲役刑のみに限っている点において、その立法目的達成のため必要な限度を超え、普通殺に関する刑法199条の法定刑に比し著しく不合理な差別的取扱いをすると認められ、刑法14条1項に違反して無効であるとしなければならず、したがって、尊属殺にも刑法199条を適用するほかない。」と判示した。

そして、平成7年の刑法改正により、尊属関係の刑罰加重規定はすべて廃止された。


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