2009年から2018年までの年末、『週刊読書人』に連載された、その年ごとの、新刊書籍と時局をめぐる対談集。
この連載は現在も継続中で、わたしも、毎年、これを読むのを楽しみにしている。
ダニ・ロドニックは、「世界経済の政治的トリレンマ」、すなわち、民主主義(国民主権)、国民国家としての主権、ハイパーグローバリゼーション、この三つを同時に実現することはできないことを指摘したが、グローバリゼーションの進展とともに、国民国家の統合は融解し、中間層と家族、地域社会等の共同体、および労組、企業、職能団体等の疑似共同体のさらなる解体が進行した。自らを包摂する中間集団を喪失した「甲羅の剥がれた蟹」(マンハイム)状態の個人は、権力にへつらいそのおこぼれにあずかろうとするあさましい心性に堕するか、不安と焦燥感にさいなまれ、優遇されていると思い込んだマイノリティや弱者をこれ見よがしに叩くピエロに拍手喝采するクズと化す。
子どもや若者に、知性や理性に先んじて、まともな感情をインストールするための経験を積ませること重要である点については、わたしも同感だ。教育にたずさわる者の力量が試されるところだろう。
現代の三賢人が語りつくした「10(平成後期10年間)+1(10年後の未来に向けて)」の全記録―世界は、社会は、人々の心は、どう変わったのか。
目次
忘れられたハイエクの議論
どうすれば品性を絶やさずにいられるか
超越的なものの導入
暴力と権力との関係について考える
沖縄問題は難しい
正義論ブーム
道徳への関心
アメリカ政治の幅
日本の保守って?
多数派の専制 ほか
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