林真理子,2021,小説8050,新潮社.(7.29.24)
「父さんと死のう」 息子が部屋から出なくなって七年。このままでは、家族が崩壊する―。「引きこもり100万人時代」に生きるすべての日本人に捧ぐ。絶望と再生の物語。
タイトルに「8050」とあるが、実際は、そこに至る前の「5020」の段階、歯科医とその妻、20歳の引きこもりの青年とその姉の物語だ。
青年が不登校となり、引きこもる原因となった、私立中学でのいじめの加害者の責任を、歯科医と弁護士が中心となって問い詰めていく筋立てであるが、細部にわたって優れた心理描写がひかる良い作品だと思う。
ちな、青年が受けた凄惨ないじめであるが、わたしは、中学生のとき、それよりひどいいじめを受けていた。
それでも、不登校、引きこもりになったことはないけれども、その後長らく不眠症という代償を負うことになった。
青年が受けたいじめがどうしても自らの経験と重なってしまい、読んでいてちょっとキツかったな。