行為が、つねにある目的のための手段と化すとき、生きることの意味はことごとく失われる。
人間を人間たらしめる文化とは、たんに必要を充たすことからの自由であり、過剰である。
これらの命題は、通常、社会学の基礎として語られるものであるように思うが、本書では、コロナ禍での外出規制へのアガンベンの異議申し立てを糸口に、目的合理性(手段的合理性)のみに拘泥する価値規範への批判と、自由の意味の探求を展開する。
講話の内容をもとにしただけにわかりやすい。議論の展開が巧みなのはさすがである。
自由は目的に抵抗する。そこにこそ人間の自由がある。にもかかわらず我々は「目的」に縛られ、大切なものを見失いつつあるのではないか―。コロナ危機以降の世界に対して覚えた違和感、その正体に哲学者が迫る。ソクラテスやアガンベン、アーレントらの議論をふまえ、消費と贅沢、自由と目的、行政権力と民主主義の相克などを考察、現代社会における哲学の役割を問う。名著『暇と退屈の倫理学』をより深化させた革新的論考。
目次
第1部 哲学の役割―コロナ危機と民主主義
コロナ危機と大学、高校
自己紹介
近くにある日常の課題と遠くにある関心事
自分で問いを立てる
ある哲学者の警鐘 ほか
第2部 不要不急と民主主義―目的、手段、遊び
前口上
日本では炎上しなかったアガンベンの発言
「不要不急」
必要と目的
贅沢とは何か ほか
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