桑畑美沙子編著、熊本県家庭科サークル,1994,女と男の未来学──共学家庭科が暮らしを変える,農山漁村文化協会.(9.2.24)
ゴミや環境問題、女と男、性、老い、家族、地域の食べものなど身近な生活事象を素材に、自立した生活者を育むダイナミックな授業実践13章。男性教師3人も執筆。共学で家庭科は生活の哲学を学ぶ教科に変わる。
「家庭科」が男女共修になったのは、中学校が1993年、高校が1994年のことであったが、共学化の背景には、日本政府が1985年に女性差別撤廃条約を批准したことがある。
男女共修化までの長い道のり…かつての「男女別の技術・家庭科」に見え隠れする政財界の思惑と性別役割分業に基づく日本社会
女性差別撤廃条約批准の結果生まれた制度としては、なにより1985年に成立(1986年施行)した男女雇用機会均等法が思い浮かぶが、男女家庭科共修も、ジェンダー史、ジェンダーをめぐる社会運動史を編むうえで欠かせないできごとであった。
2000年代にジェンダーフリー・バッシングが起きる前、固定的な性別役割分担を壊し、家事、環境、産育等の知識、技能とそれらのより良いあり方を次世代に継承していく、社会運動としての家庭科教育実践があったことは重要だ。
目次
1 女と男の未来学―今、家庭科はこんなに躍動的
男も教えてますます魅力的な家庭科
女と男と暮らしの変革
2 家庭へ、地域へ、世界へ―私たちの授業実践
『地球にやさしい』ってどういうこと
女と男、そして家族
地域に生きる生活者として