コロナウィルス禍でベストセラーになっているので、あらためて読んでみた。
複雑な構文の、鬼のようなレトリック。つくづく、自分は「文学」には向いてないな、と思った。
作風としては、カフカの未完の小説、『審判』に近いと思う。パニック小説ではなく、不条理をこれでもかというくらい突きつけてくる作品だ。大雨とコロナで、ステイホームの時間をやり過ごすには、最適だろう。
アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。
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