東北観光産業としてのカジノを考える会

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我が国におけるカジノ・エンターテインメント導入に向けての基本方針 その2

2007-10-11 12:55:38 | Weblog
2.基本的枠組み
(1)法律の目的

 外国人観光客の拡大及び時間消費型・滞在型国内観光の振興により国際競争力のある観光を実現し、エンターテイメント関連産業育成、雇用創出、地域振興・再生などに寄与・貢献するために、国民並びに来訪観光客にカジノという新たなエンターテイメントを提供し、その収益をもって地方と国の財政に資することを立法の目的とする(このエンターテイメントとしてのカジノをゲームないしはゲーミングと呼称する)。
 また制度創出に際しては、賭博行為が社会に与える危害の縮小化、青少年等に与える悪影響の排除、不正や悪の排除、闇の類似行為の撲滅、公共の秩序安全を図り、ゲーミングを健全かつ安全なエンターテイメントとして国民や観光客に提供するという視点に配慮する。

(2)許諾の対象

 さいころ、トランプなどの器具や、ルーレット、テーブル、電子式機械などの機材・機械などを用いて偶然の結果としてのゲームに金銭などを賭する行為を提供する業をカジノと称し、観光振興や地域振興・地域再生を目的に、特定地域に固定して設置される複合的なエンターテイメント施設をこの法が対象とするカジノとする。
 カジノは単純賭博遊興施設ではなく、複合観光施設(カジノ・コンプレックス)として位置づける。但し、個別地域の事情や観光特性を考慮し、地域独自の判断や創意工夫を容認すると共に、既存の観光資源と新たな施設の融合が同等の効果をもたらすものであっても差し支えない。
 この法律に基づく限り、この法が定義する限定的なカジノ場において、この法が定義する限定されたゲームを実施し、現金ないしはカジノ場においてのみ現金に交換可能な用具(チップ)などを用いて賭け事をなし、ゲームの帰結の賞品として現金ないしはチップを取得することを明示的に許諾する。
 この規定に基づく限り、刑法第185条、第186条の違法性を阻却する。

(3)法律の範囲外の行為の禁止

 この法律の範囲外において類似的行為をすることを禁止とする。インターネット等の手段を用いた類似的行為も禁止となる。この法が限定的に定める手法、範囲、条件、地点においてのみ該当する賭博行為が許諾される。

(4)段階的施行原則

 国民による理解を確実にし、わが国においてカジノの確実な定着を期するため、当面の間施行数を限定し、その効果を評価・判断しながら、段階的にその実現を図ることを基本とする。

(5)対象施行数・地域、段階的施行

 この法において許諾される施行数については、最大10箇所程度とし、当面、国際的・全国的視点からカジノ立地の振興効果を発揮できうる政策的ニーズの高い地域を優先し、2~3箇所に限定して実施する。
 なお、一定期間後、制度のあり方全体を見直し、施行数・施行地域のあり方が適切か否かを含めて判断することとする。

(6)外洋クルーズカジノは別枠で検討

 外洋を航行する本邦国籍となる大型クルーズ船舶の中におけるカジノは、国際観光振興やクルーズ観光の促進に資する側面があるが、閉鎖された空間で、かつ外洋を広範囲に移動する船舶内での施行となるため、施行者のあり方や管理・監視のための適切な仕組みを工夫する必要があり、上記施行数の枠外でその実現の手法を今後の課題として検討する。

(7)主務大臣

 主務大臣(主務官庁)を定め、この法律を掌理する。この主務官庁については、今後党において関係府省庁と調整する。

(8)国の役割

 国はカジノの許諾に係わる専権を保持する。国は施行が安全かつ健全に、かつまた公正になされることを担保するために、施行の詳細に関する統一的な規則や枠組みを制定し、施行全般を規制するとともに、施行のあり方を監督し、施行を監視する。
 この業務を遂行する為に主務大臣のもとに新たな国の機関を設ける。

(9)法律上の(許諾)施行者

 許諾を得て施行できる主体は地方公共団体ないしはその一部事務組合とし、施行を欲する地方公共団体による国に対する申請に基づき主務大臣がこれを許諾する。
 主務大臣は許諾に際しては、予め国の機関の評価と意見を聴くものとし、その許諾に条件を付すことができる。
 国の許諾は取り消し可能な許諾となり、不法行為や脱法行為、あるいは公序良俗に反する行為が施行に伴い生じた場合、主務大臣は一方的にこれを取り消すことができる。
 施行に伴う地方公共団体の直接的なリスクを回避するため、地方公共団体が公共法人を設立し、同公共法人が実質的な施行者となる仕組みについては、引き続き検討する。

(10)(民間)運営受託事業者

 法律上の許諾者たる地方公共団体(ないしはその公共法人)は、カジノ(ゲーミング)施設の企画・開発・資金調達・建設並びに当該施設の維持管理・運営を公募に基づき特定の民間事業者を選定し、契約行為によりかかる運営受託事業者にカジノの実務的な運営を委ねることができる。
 但し、当該運営受託事業者並びにその構成員(経営者、主要管理者、直接的・間接的にゲームの進行や運営に関与する従業員)には別途国の機関からの認証取得が要求され、その清廉潔癖性や適格性が審査の対象になる。認証を取得できない場合には、カジノの運営に関与することはできない。
 施行者と運営受託事業者との間における契約の内容は国の機関の許諾を必要とし、同機関は公共安全や公正な施行の確保という観点から、当該契約の内容に意見することができる。
 地方公共団体による運営受託事業者の選定は提案公募に基づき、競争的手続きを経てなされ、リスクと収益を官民が分担しあい、官民による「協働」で施行を担うことをカジノ運営の基本とする。

(11)国の機関

 国はカジノの施行が安全、健全に為されることを確実にするために、詳細運営規則を制定し、必要な許認可や施行全般の監視・監督を行う目的をもって、新たに国の機関を設ける。
 カジノの業に係わる管理と監視は優れて専門性と継続性を要求される業務であるとともに、国全体の施行のあり方を統一的に監視することが合理的で規制の費用を縮減することができる。
 行政改革の時代において、新たな国の機関を設けることに対する抵抗は強いが、段階的な施行の実現に伴い実際の業務量に応じた最適な組織とし、その肥大化を抑止すると共に、簡素で効率的な組織とする。
 またこの組織の設立・運営に必要となる財源は施行に関与する主体が負担することを基本とする。
 これらの観点を踏まえ、今後詳細な制度設計を行う必要があるが、あり得べき考え方を下記に例示する。
 国の機関として主務大臣の下に独立行政法人「カジノ管理機構」を設立し、詳細運営規則の制定や施行に伴う関係する民間主体の認証、様々な許認可や施行全般の日常的な監視・監督の任にあたる。
 その当初の資本金は国が拠出するが、運営や活動に係わる財源は専ら施行に関与する主体に対する賦課金や施行に係わる関連主体から徴収する料金等を充当し、財政的に自律的な形態をとることを基本とし、国による交付金は無いものとする。
 その設立より実際の賦課金を徴収できるまでの間の初期段階における財源に関してのみ、国の保証による金融機関短期借り入れを可能とし、当該借入金を機構の活動・運営費に充当する。上記と平行し、主務大臣を補佐し、中立的な立場よりカジノ施行に伴う大枠の施策や方針に係わる諮問を実施するために、主務大臣の下に国家行政組織法第8条に基づく合議制の機関となる「カジノ管理委員会」を設ける。
 カジノ管理委員会は民間人を主体とした有識者よりなる委員から構成され、委員は主務大臣により任命されるが、その人選に関しては国会の同意を必要とする。
 なお、上記例示的な考えに見られる公平性・透明性・中立性や国が果たすべき機能を踏襲しつつも、当面の施行にあたり国の担うべき業務量が限定される場合には、行政機構の肥大化を抑え、簡素な政府を志向する意味でも、既存の行政機構や独立行政法人等の仕組みをできる限り活用し、国の機関とする考え方もありうる。

(12)国による施行の許諾

 主務大臣は上記国の機関(以下「国の機関」という。)の意見を聴いて、施行の許諾に係わる基本方針を策定し、閣議に付する。
 基本方針は政策目標、当面実施する箇所数、施行に必要な要件、施行地域・施行主体を選定する手続き、選定の判断基準、段階的な施行実施の詳細手順や判断基準等を定めるものとする。
 施行を希望する地方公共団体は、基本方針に則り、主務大臣に申請し、主務大臣は国の機関の意見を聴いて、施行地域・施行者を定める。この場合、主務大臣は、必要に応じて、関係諸大臣の意見を聴取し、調整する。
 国に対する申請要件には、カジノを施行することに関してのプラス・マイナスの両側面に亘る社会・経済影響度評価の実施、地域住民による理解、法の意図を具体化する企画提案などが必要となり、施設設置地域における公聴会による利害関係者の意見聴取、地方公共団体の議会による議決などが想定される。
 全ての提案が許諾されるわけではなく、提案される施行の内容は法が定める一定の公益を満たしうることが前提になると共に、地域バランスや法目的への提案の合致度、効果などを考慮し、当面の間一定数のみの施行が許諾されることが基本となる。
 なお、地域社会における安定的な施行と法律の目的を着実に遂行するために、施行を欲する申請者たる地方公共団体は、当該カジノ施設が設置されることになる市町村ないしは特別区と共に、近隣の地方公共団体、関連する都道府県などとの一部事務組合として広域自治体を含めた地域単位での収益金の均てんを地域自らが考慮し、提案することが可能な仕組みとする。
 自治体間の責任や収益金の分担等は構成する自治体間で取り決めるべきこととなるが、安定的な施行を期すためにも、施設が設置される市町村・特別区と共に都道府県が果たす主導的役割は極めて重要である。

(13)国による許諾の性格

 国による地方公共団体に対する許諾は、施行者が安全性や健全性を担保する仕組みを実現できない場合や、たとえ許諾を受けても、その実現に障害がある場合、施行途上で不法行為などがあった場合は、主務大臣により取り消される。地域を選定する際に付与される許諾は暫定的な許諾でもあり、安全の確実な施行を期するため、主務大臣により条件が付けられることもある。
 施設を完工し、実際のカジノを運営できる体制が具備され、初めて国による正式な運営が許諾される。

(14)施行に伴う収益金と費用の分担に関する基本的考え

 施行主体が地方公共団体である以上、施行がもたらす収益金は地方公共団体(ないしはその一部事務組合)に帰属する(よって税方式とはならない)が、法律に定める政策目的を遂行するための財源として、国の機関は施行がもたらす施行収益の一定率を交付金として徴収する。
 施行者たる地方公共団体はこの前提のもとで、カジノ施行に係わる事業性を確保し、健全かつ安全な施行の枠組みを実現しなければならない。
 なお、地方公共団体が民間の運営受託事業者との間で収益金と費用、リスクと便益をどう分担するかは、原則地方公共団体と運営受託事業者との協議・交渉に委ねられる。
 但し、ゲームの帰結とカジノ関連投融資に対するリスクは運営受託事業者が担うことが適切であり、施行に伴うリスク及び財政上のリスクが地方公共団体に波及しないことが重要である。
 なお、運営受託事業者は当然の事ながら、その保持する資産、事業、企業所得等に関しては一般企業と同様の課税体系となり、何らかの税法上の恩典が付与されるわけではない。
 なお、施行者はカジノの施行に伴う施設・資産を自ら保有する義務は無く、施行者たる地方公共団体と民間の運営受託事業者との間で適切にそのあり方を取り決めることができる。

(15)国による交付金の徴収

 施行者はゲームの実施に伴う顧客から取得する(費用控除前の)勝ち分総額(ゲーミング粗収益と呼称し、売上に相当する)を確定後、この勝ち分総額に対し、累進率による一定割合の交付金を国の機関に納付するものとする。
 勝ち分総額の確定(即ち交付金算定の対象額の確定)は、国の機関が定める手順に基づき、施行者が毎日一定時にこれを実施する。

(16)交付金の使途

 上記の交付金収入は、国際・国内観光振興、地方と国の財政への貢献など法目的に資する事業に対し支出され、かつ、その使途を限定する。

(17)国の機関による規制監視費用等分担金賦課

 国の機関の全ての運営・維持費用、カジノの規制・監視に必要とされる全ての行政府が負担しうる費用は施行収益並びに施行に関与しうる主体から徴収する賦課金や諸料金などから支弁することを基本とする。
例えば国の機関設立より、実際のカジノが収益を生み出し、負担できるまでの当面の支出は短期銀行借り入れ等により必要 原資を手当てし、複数の施行者・民間受託事業者が選定される段階で、提案された事業規模に応じて過去の費用を按分して回収することとし、以後の費用は毎年主務大臣が前年度実績に応じて各施行者・運営受託事業者に対し、年度毎に規制監視費用等分担金として賦課する(施行者がこの賦課金の負担を契約行為において民間受託事業者の支払義務とすることは差し支えない)ことなども検討すべきである。

(18)入場料

 施行者は、カジノ場への入場者より一定の入場料を徴収することができる。入場料は安定的な税源たりうるが、来訪顧客を抑止する効果もあることから、その採用の適否は当該地方公共団体及び地方議会の判断に委ねる。

(19)収益金の使途(地方公共団体の場合)

 地方公共団体の収益金の使途は、法目的に則り、かつ地方自主権に基づき、適切に当該地方公共団体により判断されるべきとなるが、透明性を増し、市民による理解を得るためにも、予めその使途目的を条例で定めたり、地域社会における社会的セフテイー・ネット構築や施行の安全性・健全性や地域社会の公共安全を担保するために一定の支出などを義務付けるなどの手法が望まれる。
 上記の入場料の使途も同様とする。

(20)国会による施行の監視

 法の適切な施行をモニターし、法の将来的なあり方を検証する意味においても、国会が施行の状況をモニターできる仕組みを工夫する(例えば国の機関による国民に対する適切な情報開示など)。

(21)一定期間後の法の見直し

 カジノの安全かつ健全な発展を期するため、一定期間に亘り、法の施行のあり方を検証し、その後法のあり方自体を見直すものとする。

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