アンフォルメルとは何か？

20世紀フランス絵画の挑戦
ブリジストン美術館特別展
　
　アンフォルメルと抽象絵画とどこがどう違うのか？　
アンフォルメルとは「非定定形なもの」のことなので、幾何学的な抽象絵画であるアブストラクトと区別される。簡単に言うと、キャンバスにできた「タッシェ」シミ　のようなもの。枠にはめない、型にはまらない自由な表現であることには変わりない。


展示会は四部構成になり、前衛的絵画運動「アンフォルメル」の前後の絵画潮流をわかりやすいものとしている。
モネ、セザンヌの表現から、前「アンフォルメル」三人と言われるフォートリエ、デュビュッフェ、ヴォルス。
デビュッフェは、アール・ブリュットを提唱したわかりやすさと親しみ易さかあるが、三人のアーチストの生きたフランスの時代、第二次世界大戦後のパリ、自由の国であっても画面のひっかき傷から、相当息詰まる閉塞感が感じられる。

第三部は戦後フランス絵画の抽象的傾向と「アンフォルメルの芸術」
ジョルジュ・マチュー、ジャン=ポール・リオペル、アンリ・ミショーやピエール・スーラージュ。それまでの抽象絵画が与えてきた構成的、幾何学的なイメージを脱却し、理性ではとらえられない意識下の心の状態から生み出されるものの表現が試みられた。アンリ・ミショーはメスカリンによる酩酊状態の中で実験的な創作をしたが、中毒になることはなかった。

表現によって存在を実現し、開放したいと願う。
これらの美術は、美しさや心地よさの追求ではなく、存在の可能性の模索であり、苦悩と喜びが滲んでいる。シミは、汗のしみ。血痕。涙のシミ。



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第二次大戦後のパリで起こった前衛的絵画運動「アンフォルメル」。フランス語で「非定形なるもの」を意味するこの言葉は、1950年に批評家ミシェル・タピエによって戦後のフランスに胎動する新たな非具象的な絵画として提唱されました。これはフォートリエ、ヴォルス、デュビュッフェを先駆者として、ミショー、スーラージュといった作家たち、加えて当時パリにいたザオ・ウーキー、堂本尚郎、今井俊満などがこれにかかわりました。彼らは、それまでの絵画の具象的、構成的、幾何学的なイメージを脱却し、理性では捉えられない意識下の心の状態から生み出されるものの表現を試みました。戦後フランスにおいて、モネ、セザンヌ、ピカソを超えた新しい絵画の創造を目指した画家たちによる、約100点の作品をご紹介いたします。