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ブラック監査法人からの脱出

会計士による政治・経済評論

AT1債

2023-04-21 22:29:10 | 銀行/半沢直樹
最近AT1債というのが話題となっています。
三井住友銀行の親会社であるSMFGは
償還期限5年利回り1.879%の債券を890億円、
償還期限10年利回り1.180%の債券を510億円
を発行すると発表しました。
なぜ、AT1債が話題かというと
3/17にあったクレディ・スイス
UBSが買収するという事件で
AT1債が無価値になったからです。

通常銀行が破綻した場合、
預金者の預金、社債を発行していた
場合には社債劣後債、
AT1債、株式の順に
弁済が行われていきます。
今回は買収されるということなので
預金が引き出せなくなることもなく
特に問題が起きないと思われました。

しかし、約1兆円の時価総額だった
クレディースイスの株式を
UBSは4.300億円で買収したため
株主は57%ほどの株式評価損
被ることになりました。
当然株式より弁済順位が高い
AT1債の保有者は責任を
負わされないはずですが、
今回スイスの金融当局がとった措置は
AT1債の2.2兆円分については
無価値にするという決定でした。

上記では償還期限がありましたが、
本来AT1債とは永久劣後債
とも呼ばれるもので、債券ではありますが
銀行特有の自己資本比率を計算する際に
自己資本としてカウントしてよい債券で
経営破綻などの時に限って株などに
転換することができる特殊な債券です。
世界では30兆円規模の市場があり
社債や劣後債よりも弁済順位が低いため
利回りは高く設定されています。

今回経営破綻したわけでもなく
また、株式については57%の損失で
済んだのにAT1債だけ無価値になるというのは
保有者からすると理不尽なものです。
このため、今後AT1債を購入する人は
減るのではといわれていますが
各国の金融当局はスイス中央銀行の
ような措置はしないとして不信感を
払しょくするよう努めています。
SMFGのAT1債はどうなるでしょうか。



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