山館君
そういって
女は茶色の長い髪を揺らして
山館君に腕を絡ませる
山館君は何も起きていないように
組んだ腕を任せて
お前はなあ
いつものように
ちょっと困ったように
つぶやいて
ここにしようと
BARの扉に手をかけた
扉を開ける瞬間
山館君の手のひらが
茶色の髪をかき上げるそのあごに
顔を上げて驚くと
唇が触れたと思うと
女の目に熱い涙が一筋
山館君は空いている手で扉を開けた
マスター空いてる?
山館君は何事もなかったように
女の体を抱え込むように手を回して
BARに入っていった
ゆうか♡