えんたんと読書

2015年開設。メーカー営業女子の日頃読んだ本や読書に関係したコラムなど日々綴っています。

今日の十八史略 Vol.12 自己卑小化

2018-10-08 06:01:21 | 今日の十八史略
十八史略下巻 p-86より

三国志のラスト、有名な言葉で「死せる孔明生ける仲達を走らす」という言葉・シーンがあります。
これを見てどう思いましたか?
孔明は有能で、仲達はまだまだ及ばない。そう思った方も多いのではないでしょうか?


しかし、これがもし、司馬仲達が意図的に広めた言葉だとしたら・・?


今日のひとこと:
◆自己卑小化


有能になればなるほど、敵も増えるものです。
保身のために、多少の揶揄の対象となっているほうが都合がよいと考えた仲達は、あえてこの言葉を流行らせました。

貴方が実は低く評価されているあの人、本当は能力を隠しているのかもしれません。

また、過小評価されていると感じている貴方、それは実はかえって都合が良いのかもしれませんよ!

今日の十八史略 vol.11 処士

2018-06-18 00:57:37 | 今日の十八史略
今回は少し違う形式で。

秦の始皇帝を暗殺しようとした人物がいた。
燕王の丹である。
彼は暗殺を託するのに田光先生という人物を訪ねた。
田光は処士という身分である
処士とは読書人でありながら、官職につかない自由人のことである。

今日のひとこと:
◆未来の生き方は処士?


人間がAIに仕事を奪われた後、ベーシックインカムが導入されるべきだ、という論があります。
すなわち、労働はAIに任せ、人間は自由人として振る舞う生き方です。

古代ローマ時代が引き合いに出されることが多いのですが、
労働は奴隷に任せ、自らは自由人として哲学を深める、いわゆる哲学文化が花開きました。

この古代ローマの哲学者たちと、古代中国の処士は非常に似ているのではないでしょうか?

現代に生まれた我々は、人として生まれた以上は働くことが当然である、と考えがちですが
働かず自由に本を読んだり考え事をして過ごす生き方も昔からあったことがうかがえます。

もしかして、AI時代を迎えた後は、日本にも処士がたくさん生まれることになるのかもしれません。


今日の十八史略 vol.10 英名君主は自由を渇望する

2018-06-16 00:29:38 | 今日の十八史略
後に始皇帝とも呼ばれる秦王政。
彼は誰の傀儡になることも嫌った。
実母を遠ざけ、血のつながりのない義母を厚くもてなした。
実父は遠い蜀の地へ流した。


今日のひとこと:
◆英名君主は自由を渇望する

見知った仲間の間で過ごすのはとても心地よいことです。
できるだけ冒険を避け、安全な道を進もうとする。
伝えられたものを失えば、先祖に申し訳ない。

とても大事な考えですが、それゆえに果敢な行動がとれなくなります。

失うことが恥ではなく、新しく作らないことが恥辱である。

いま日本も時代の変わり目に来ていると思いますが
慣れた関係を離れ新しい行動をする果敢さも求められてくるのではないでしょうか。

今日の十八史略 vol.9 まっすぐな屈原

2018-05-01 00:00:57 | 今日の十八史略
戦国時代末期のお話。

秦が既に大国になっていた。
これに対する楚の国は、今後の方針を決めあぐねていた。
隣国の斉と手を結んで秦と敵対するか?
秦に和平条約を結んで平和に暮らすか?

張儀という大臣は後者派であり、屈原という政治家は前者派であった。
張儀は自らの方策を形にするべく、買収という買収を重ね、王の側近は親秦派一色になった。
屈原は反秦の姿勢を最後まで取り続けたが、最後には国を追放されてしまった。

楚は秦に服従する形になったが、日に日に領土を削り取られ
屈原の死後数十年で秦に滅ぼされてしまった。


今日の質問:
敵を作っても思いを貫くか?思いを曲げてまで周囲に迎合するべきか?



多分、この問いの答えは永遠に出ないと思いますが、
我々も日々このような問いにさらされることは多いのではないでしょうか?

本当は張儀のように買収、とまでいかなくても、裏で自分の意見が通るような工作をするのが一番賢いのでしょうね。

日々、根回し。これ大事。


今日の十八史略 vol.8 どもりの韓非子

2018-04-30 00:00:53 | 今日の十八史略
韓非子という人をご存知だろうか?
孟子の「性善説」に対して「性悪説」を説いた人として有名だ。

それでは、彼がどもり症だったことを知っている人はどれだけいるだろうか。
韓非子はひどいどもりで、筆談なしでは他人とまともな会話ができなかったようだ。

それゆえ、その思想をすべて著作の中に盛り込み『弧墳』『五ト』『内外儲』『説林』『説難』などの対策を後世に残したという。


今日の質問:
孤独の時間を持っていますか?


韓非子は孤独だからこそ、自問自答を繰り返し自らの思想を深めていきました。
相手のあるやり取りであれば、相手がわからなくなったり、相手のムードにのまれたり、妥協の霧の中にテーマが埋められてしまいます。

現代社会に生きる我々も、誰かに振り回されることが多く、自分と対話する時間を持てない人は多いのではないでしょうか。
自分は何者だったのか、何を欲していたのか?
今日は、自分と向き合う日にしてみてはいかがでしょうか。



今日の十八史略 vol.7 囚人部隊は行く

2018-04-25 00:05:13 | 今日の十八史略
春秋時代の呉越戦争のお話。
膠着した戦争の最中、越の国はある奇策を考え付いた。
死刑が確定している囚人50人ほどを部隊にする。音楽とともに行進し敵陣の前へ進んでいく。そして自ら首を刎ねる。
集団自決ショーだ。
奇天烈な光景に呆気にとられる呉軍。
その隙を突き、越が背後から襲い掛かる。

勝負は決し、越は呉を撃退した。


今日の質問:
◆正攻法がだめなら、奇策を考えてみてはいかが?

もしも今難航していることがあるのであれば、やり方を一度変えて見てはどうだろうか。
正々堂々が求められるのは、スポーツの世界だけだ。
我々の生きている世界で称賛されるのは、真っ向勝負であることよりも、結果を残すことだ。
勝てば官軍という言葉もある。
「卑怯」なやり方も、勝者になれば「奇策」と呼ばれる。

今日の十八史略 vol.6 孟嘗君の食客

2018-04-24 00:00:22 | 今日の十八史略
戦国時代に孟嘗君という名士がいた。
彼は3000人の食客を養う身分であったが、政治で失脚するなり、
彼の元から人が次々離れていった。
数年後政界に復帰した彼の元には再び人が集まってきた。
これに対して孟嘗君は憤った。
「いまさらどの面下げて帰ってくるか!」
不遇の孟嘗君をも支えた、ある食客が答えた
「市場をごらんなさい。朝になれば人は集まり、晩になると人通りはめったにありません。これは
 人が朝を好んで晩を憎んでいるのではないのです。あなたが地位を失って、食客が去るのも、同じ理由です。そんなことで̪士を怨んでいては、人材が集まりませぬ。」


今日の質問:
◆人が離れていくことに憶病になっていませんか?



富貴であれば人は集まり貧窮すれば人は去ります。

我々の生活では、常日頃からいろんな人と出会い、離れていきます。
人が去ると、自分が嫌われたと思ってショックを受けることもあるものですが、
単に近づく理由がなくなっただけなのかもしれません。
ここはあまり神経質にならず、「人ってそんなもん」とドライに割り切りましょう。

去る人追わず、の精神でいたほうが人はもっと寄ってくるのかもしれません。

今日の十八史略 vol.5 鳴かず飛ばず

2018-04-23 00:00:22 | 今日の十八史略
今日は戦国時代のお話。
斉の威王は、ある時期、酒におぼれて政治をほったらかしにしていました。
それが3年続き、国政は荒廃していきました。
ある時臣下の淳于髠は威王に向かって
「国の中に大鳥がいて、王の庭にとまって3年の間飛びもしなければ泣きもしません。さて王様、いったいこれは何の鳥かご存知でしょうか。」
王は笑って
「その鳥はな、飛ばなければそれきりだが、いったん飛べば天まで突き抜けるのじゃ。鳴かねばそれきりだが、ひとたび鳴けば、人を驚倒させるじゃろ」
と答え、威王はそれ以降政治に身を入れ、みるみる国政を立て直したのでした。
これが、「鳴かず飛ばず」の成語の由来です。


今日の質問:
◆メリハリ、つけてますか?


「鳴かず飛ばず」という言葉を調べると
「将来大いに活躍しようとして、じっとその機会の来るのを待っているさま」という意味を持っています。

これは逆に、大いに能力の高い人間でも常に活躍しているとは限らない、人の陰に隠れておとなしくしている時間も必要だ、と取ることはできないでしょうか。
休憩期間があるから、だからこそ、活躍するときは大いに羽ばたけるものではないでしょうか。

もし調子の悪い方も、「今が鳴かず飛ばずの時期だ」と思って前向きに未来を考えていてはいかがでしょうか。


今日の十八史略 vol.4 晋の六卿争い

2018-04-19 00:00:21 | 今日の十八史略
春秋から戦国へ移る時代のお話です。

晋の国では家老の家柄でもある
范、知、中行、趙、韓、魏の6氏が権力争いをしている時代でもありました。
とりわけ力のあった知氏が、弱小の韓氏に領地割譲の無理難題を押し付けてきました。
怒る韓氏に、重臣が
「いまは与えてしまいなさい。そのうち知氏は調子に乗って他の諸氏にも割譲要求を出しますよ。どこかが拒絶して戦争になりますから、我々に好機が訪れるはずです。」
それを受け容れた韓氏は数年後、趙氏・魏氏と協力し、知氏を討ち、3氏で領地を三分してますます巨大になったのでした。



今日の質問:
◆いま、そのタイミングですか?


たとえば営業の現場では、良い製品をPRしても
お客様が欲しくないときは拒絶されることもあるし、
凡庸な製品でも
お客様が欲しい時に行くと予想以上に歓迎されることもあります。

弱い力でも勝てるタイミングはどこかにあります。
今勝てるのか?いつが勝てる時なのか?

今日はそんなことを考えてみてはいかがでしょうか。


今日の十八史略 vol.3 伍子胥の執念

2018-04-17 00:09:32 | 今日の十八史略
春秋時代の楚の国のお話。
伍家という、名門一族がいましたが、時の王様(平王)に、無実の罪で滅ぼされてしまいました。
唯一生き残った、息子の伍子胥は復讐を誓い、呉の国に逃亡するのでした。
6年後、仇の平王は死にましたがさらに10年経った16年後、
呉は楚を撃退し、伍子胥は平王の墓を暴き、死体に300回鞭打つのでした。


何という執念!
仇が死んでしまったなら、諦めるか、その親族を滅ぼすか、くらいが普通のところなのでしょうけど。
伍子胥さんは執念の力で初志貫徹してしまったのですね。

死体に鞭打つのが良いのかどうかはさておいて・・
このエピソードから考えさせられるのは

◆自分は執念をもって事にあたっているか?

仕事においても、すぐに結果に結びつかない案件も多々あるものです。
そんな時、初志を忘れない意志力を持っているだろうか。
長い期間を耐えられる心があるか、挫折心に勝つ気概を持てているだろうか。

今日はそんなことを考える1日にしてみてはいかがでしょうか。