端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

欲情始め

2015-01-02 02:00:00 | 黒子のバスケ
「くはっ!余裕ねえの!」
「どっちが…」
「うん、たぶん―…」

欲情始め

その日、二人の様子は至って普通だった。
高尾はバラエティー番組を見て愉快な気持ち。
緑間は年末恒例の歌番組を見て神妙な気持ち。
両者それを抱えたまま、メールで年末年始の挨拶を交わし。
年越しをメール上でだが共にした。
初詣に誘ったのは高尾で、その誘いを何故か緑間は快諾し。
驚きと戸惑いと最初からあった愉快な気持ちでゲラゲラ笑い。
電話で『真ちゃん、愛してんぜー!』と言う程度には。
軽いノリで喋っていた。
当然、緑間からの返しは冷ややかなものが多く。
それこそ、何故、初詣の同行をよしとしたのか。
さっぱり考えを窺い知ることまかりならず。
まあ、珍しいこともあったもんだね、と高尾は思っていたのである。
初詣の神社は、互いの家からほぼ真ん中にあった。
ラッキーアイテム探しに付き合って、初めて認識した神社であったが。
なかなかにひとで賑わっており。
ついでに甘酒なども振舞われていた。
思えば、これがいけなかったのだろう。
もともと高尾は甘酒を好んでおり、この日も何の気もなしに受け取り。
それをくいっと飲み干した。
緑間は『酒』とついている以上、未成年は飲めぬと言ってそれを断ると。
飲み干した高尾をため息交じりに見た。
眼鏡を上げながら、いつもの調子で。

『今日は元旦だから目を瞑るが、飲酒は法律で禁止されているのだよ』

この一言に、バラエティー視聴で作った愉快な気持ちと。
甘酒による微かな気の昂りが相乗効果でもってめらりと燃えた。

『甘酒は神事の一種だぜ?人事はいいのかよ、真ちゃん』

人事に拘る緑間がこれに反応しないわけがない。
人事は口で簡単に言うほど安くはない。
俺は勝つための人事をやっているのであって、運勢を切り開くためではない。
だから、甘酒による神事は、現段階で俺には必要ないのだ、と。
分かるような分からない理屈を並び立てる。
高尾は想定内の反応だったので、目くじらを立てることなくにやにやしており。
それがさらに緑間のイラつきに油を注ぐ。

『くじを引くぞ、くじは勝つための指針を示すものだからな!』
『なにそれ、こじつけじゃんか』

足早にくじを引きに移動する緑間を追って。
高尾は人混みをすいすいと縫って移動する。
ああ、これ、試合でやれたら気持ちいいな、と思うくらいのバスケ馬鹿。
あとは―…。

(あ、あのお姉さん、胸だいぶ肌蹴ちゃってんよ…)

悲しいくらい『男子高校生』なのだ。
頭ひとつ分高い緑頭なので、ちょっと目を離したくらいでは見失うことはない。
胸に若干見惚れ遅れはしたが、無事にくじ引き所までたどり着く。
緑間は無言でくじ箱を差し出してくる。
逃げるなよ、ということらしい。
高尾は渋々くじ箱を受け取ると、しゃらっと振って番号を確認する。
16とは、なんとなく中途半端な数字だな、と思いつつ。
引き出しから紙を一枚取り出し、肝心要の表題だけ確認する。

『大吉!よっし、まずは好スタート!』
『な、なに!?』
『どったの、真ちゃん?まさか凶?』
『……吉だ』
『コメントしづれぇな!!』

ぎゃはっ!と笑って、緑間の背中をばんばんと叩く。
やめろ!と緑間が高尾の腕を掴み。
それでもなお高尾は笑い続け。
じゃあさ、と何かを思いついた高尾は言った。

『俺の運気、お裾分けしてやろっか』

何を突然言い出すのだ、この男は。
緑間は高尾の腕を掴んだまま、真顔になる。
いつもなら『やめて!そんな冷たい視線くれないで!』と。
すぐに茶化す高尾である。
だから、緑間はいつも通りの反応をしたのだが。
高尾は違った。

『キスしよ、緑間』
『はぁっ!?』

緑間のらしくない素っ頓狂な声は、本心であり。
頭がついにおかしくなったか、だから甘酒は飲むべきではない!と。
高尾の思考を心配する気持ちも混ざり。
混乱の極みにある緑間に高尾は言葉を並べていく。

『甘酒で清めてあっし、運気を口移ししても大丈夫だって。
 それに、ほら、除夜の鐘を聞きながらすれば、煩悩も払えるかもじゃん』
『……こじつけだ』
『ふはっ、いいじゃん、こじつけでも』

緑間の後頭部に手を回してぐいっと自分に引き寄せる。
耳元に囁く声はひどく甘い。

『俺は、お前とキスしたい』


人気のない場所など探しても早々見つからず。
くじ引き所の裏に連れ込んで、高尾は唇に噛みついた。
後頭部をしっかり固定した状態で緑間は逃げることが出来ない。
除夜の鐘は鳴っているが全く耳に入ってこない。
代わりに入ってくるのは、口から発せられる水音だけ。
耳を両手で塞がれて、頭の中でステレオ状態で響く。
恥ずかしい、やめてほしい、気持ちいい。
ぐらぐらと緑間が翻弄され出したのを高尾が目敏く察すると。
緑間の足の間に自分の足を差し入れ、自分自身を押し付けた。
一気に緑間が赤くなり、思いっきり肩を叩いてくる。

「馬鹿者!!ここは外だぞ!!!」
「外じゃなきゃいいの?」
「よくないっ!!」
「でもさあ、ココ、パンパンじゃん?」

すりっと触ると、緑間も存在を主張している。
当然だ、性的興奮を煽るようなキスを仕掛けたのだから。
ぐう…とうなる緑間の首元に唇を寄せる。
その行為すらも、緑間にとっては致命的らしい。

「やめろと言うに!!」
「色気ねえの。そんなに嫌?」
「着替えがないのに、汚すような真似が出来るか!!!!」
「なんだよ、やっぱり室内ならいいんじゃん」

でもなあ、これじゃあ歩けないよね?と。
明確な意思を持って、高尾が撫で擦ると、もうだめだった。
緑間はキッと高尾を睨むと、むんずと高尾自身を掴んだ。
高尾自身も主張しだしていたから、ぎゃ!と悲鳴が上がる。

「道連れだ、高尾」
「上等だよ、緑間」

噛みつくようなキスが再開され。
お互いがお互いを高めることに夢中になる。
少々ズボンを寛げて自身を引っ張り出し荒い呼吸を繰り返す。

「くはっ!余裕ねえの!」
「どっちが…」
「うん、たぶん―…」

俺だわ、と高尾が手の動きを早くする。
鼻先を緑間の胸元に埋めて、鼻息を荒くするのが分かった。

「真ちゃん…っ真ちゃん…っ、すき…っ。
 真ちゃん…っ、真ちゃん…、はっ…ひっ…。
 すき…っ、すきだ…、真ちゃん…っ!!!」

こう言われては、緑間もたまらない。
ぎゅっと目を瞑って、どくりと欲を解放する。
高尾もほぼ同じタイミングで解き放ち、首元に噛みついてきた。
べろりと舐めてきたところで我に返る。

「たかおっ、離れろ!もう終わったろう!」
「えー…っ、もうちょっと余韻に…」
「手を拭け、ほら、ズボンも上げるのだよ!」

べしっと頭を叩くが、高尾はにんまりとしたままだ。
ここまで許して怒っているわけがない。
照れくさいだけなんだ、と短くも濃い付き合いで分かっていた。
眼鏡を上げながら、緑間はようやっと除夜の鐘の音を聞く。

「……今年もよろしく」
「こちらこそ!」

煩悩が落ちたかどうかは、神のみぞ知る。

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元旦から2時間程度で書き上げた欲まっしぐらなやつ。
しょうがねえべよ、初売り前で気が立ってたんだから!
書き上がったので寝ます。
読み返してません、誤字脱字、そのた強引な進行などあるかと思いますが。
まあ、エロいの書きたかった!とだけ察していただければ。

緑間くん大好きです。
高尾くん大好きです。
ふたりのエロはもっと好きです。
Yes! You are Destiny!

はい、寝ます!

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