端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

教えてくれたの、緑間だろ?

2013-02-14 00:00:00 | 黒子のバスケ
走る走る。
あなたの元へ。
一緒にいたいのは。
愛したいのは。
あなただけだ。

Ace Of Vampire

「緑間、今日、何の日か知ってる?」
「…2月14日、ヴァレンタインだな」

外から帰ってきて開口一番。
後ろから飛びついてきたかと思えば。
『ひと』であれば、知っているだろうことを新発見のように発表する。
彼、高尾は生粋の吸血鬼であるから。
知らなくても仕方ないことではあった。
しかし、高尾は自分と出会う前は女性と付き合いがあったはずで。
イベント好きな彼女らがそれを匂わせなかったわけがない。

「初めてではないだろう?」
「何が?」
「ヴァレンタインを特定の相手と迎えるのが。
 お前、俺と出会う前は浮名を流していただろう?」
「あー、よく覚えてない。
 『ひと』とのお付き合いは、あくまで血のためだったし」
「ひどい奴だな」

体を反転させて、高尾を正面から抱き込む。
彼の頭頂部に顎を乗せて、背中をとんとん叩く。
くすぐったいのか、高尾は頭をぐりぐりと押しつけてくる。
ふと、鼻をくすぐる匂いが気になった。
この香りは、嗅いだことがない。

「高尾、どこへ行っていた?」
「街だよ?」
「……言葉を換えるか。
 どこで遊んできた?」
「あ、もしかして、匂いのこと気にしてる?」

何故、嬉しそうにする。
お前のものでも俺のものでもない、よその匂いをつけて。
俺にはお前しかいないのに。

「…―教えてくれたの、緑間だろ?」
「何が?」
「俺の今日の啓示アイテムが『香水』だって」
「言ったか?」
「言った」

己の言葉のせいで、いらぬ嫉妬をしてしまった。
嫉妬?そう、嫉妬だ。
自分以外の第三者の存在に、柄にもなくヤキモチを妬いたのだ。
ひとりの人物に固執するなどこれまで考えもしなかった。
にやにやする高尾に呆れると同時に。
嗚呼、こいつは俺のものでいいのだと安堵するのが分かった。
首筋に牙を突き立てて吸血する。
高尾の血がひどく甘い。
以前、呪いをかけた己の血はこれほど甘美だったのだろうか。

「高尾」
「…ぁ、なに?」
「返しは3月14日でいいか?」
「…ぃいよ、別に」

さて、何をやろうか。
高尾のシャツに手を差し入れながら。
愛しいお前に贈るものを考える。

******************************

一日かけて書いた方を没にして、20分程度で書き上げたよ。
よっしゃー!!間に合ったああああ!!

緑間神父は、吸血鬼ですので。
血を吸います。
高尾は友人付き合いはしますが、夜遊びは一切しなくなりました。
緑間がいるし?

>> お前のものでも俺のものでもない、よその匂いをつけて
独占欲丸出しの緑間神父。
ええっと、趣味です、はい。

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