端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

兄の交渉術

2009-09-12 00:52:59 | BASARA
「…うわ」
「何か?」
「マジで謙信公と同じ顔だよ」
「かすがには内密にな」
「任せとけ」
「……」

第一回忍会議

自分の元へ矢文がきたのはつい二日前。
『信長討伐のための同盟を組みたい』とのこと。
なぜ、忍の自分にそのような申し出をしたのか。
納得がいかなかったし。
そもそも信長を討伐するっていう発想が無謀。
無視しようかなぁと思って。
矢文の最後を読むと。

『上杉●●』と意味ありげな塗りつぶし。

たったこれだけなことであったが。
試しに乗っかってみることにしたのである。
指定された場所に行くと。
しょげた小太郎もそこにいた。
何で?と疑問符を浮かべるが早いか。
小太郎は自分の足音に気づいて。
「見えない」尻尾を大車輪よろしく回した。

「どうも、上杉殿」

わざと刺々しく言う。
正体や意図が分からない以上、警戒は解かない。

「わざわざ呼び立ててすまない。
 正式な同盟でない故、裏方だけでの同盟となるがよろしく頼む」
「武田だけでなく北条も?」
「味方は多いにこしたことはない。
 何せ、内密なものでな」
「その言い方から察するに、『俺たち』だけ?」
「そう、この3人だけだ」
「いち抜けた」

冗談じゃない。
信長に3人で挑む?
ばからしい。

「…真田十勇士は、当てにならんな」
「…アァ?」
「皆、手練で勇敢だと聞き及んでいたが。
 戦う前から逃げ隠れ、可能性を潰すのが貴様の役目だったのか」

ちくしょう、こう言われて後に引けるか!
ちらっと小太郎を盗み見る。
…何でお前が臨戦態勢なの?

「……」
「無表情かと思えば、熱い男なのだな君は」

いや、それはない。
向こうはふぅむと片手を顎に当てて、思案顔。
目元しか見えないから確証はないけど。

「はーい」
「何だ?」
「同盟を組むっていうなら、そちらさんの顔がみたいでーす」
「俺の?
 ああ、謙信と同じ顔だよ」

さりげなく爆弾発言しやがった。
なに? 同じ顔?

「あんた、影武者?」

真田十勇士にもそういう役目を帯びた奴がいる。
それと同じか?

「単純に双子の片割れだ」
「双子ぉ?」

噂に聞いてた『謙信は二人いる』の真相が。
こんなに軽い流れで判明していいのか?

「……」
「小太郎が見たいってさ」
「まぁ、そうだろうな」

口元の布を下に下げて。
割とあっさりと顔全体が現れた。

「うわ…、マジで謙信公と同じ顔だよ」
「かすがには内密にな」
「任せとけ」

ミステリアスな部分がなくなって。
すっかり毒気が抜かれてしまった。
なるほど、上杉謙信の片割れね。

「で?
 どっちが上?」
「俺だな」
「じゃあ、あんたの名前は?」
「さぁな、『一緒に』信長と一戦交えれば思い出せるかもな」

なるほど、兄妹揃って「計算高い」ことだ。

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リクエストが混じりに混じって。
切り離せなくなったので、このままで。
こた+佐助、上杉兄妹事情。

第二回忍会議?
さぁな、何か「議題」があれば続くかもな。

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