端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

変化

2009-04-12 21:02:36 | ティアクライス
俺は足しげく、あの人のところへ通うようになった。
シャイラ様に面倒を見ろと言われたのを口実にして、だ。
冥夜の剣士団。
それが、彼女が纏める一団の名前。
そして、新たに加わった帝国の戦力。

Symptom Of Spring02

「アスアド殿、少し時間をよいだろうか」
「は…っ、はい!」

アスアドは、あせあせと落ち着かない。
その様子をイライラと見ているのは、ロベルトだった。

「なんで、あいつ、ここに来るんでしょうね。
 全然、俺たちと関係ないはずなのに」
「…ロベルト、嫉妬は見苦しいぞ」
「誰が嫉妬なんて!!」

言う顔は真っ赤だ。
ふぅとため息を吐いて、メルヴィスは続ける。

「アストラシアから逃げ延びてから。
 ずっと心挫けてはならぬと気を張っていた姫様の表情が柔らかくなった。
 それは、間違いなくアスアド殿のおかげだ」
「う…」
「まぁ、確かに(異常に)通いすぎだがな」

メルヴィスは、すっとクロデキルドに視線を移した。
剣姫と称される女傑だが、今の彼女はまるで普通の女性にみえる。
それも全てはアスアドがいるからかと思うと、面白くないが。
それでも、クロデキルドに表情が戻ってほっとしているのも事実で。
複雑な思いで、様子を見守る。

「メルヴィス、少し外を歩いてくる」
「は、お気をつけて」
「アスアド殿も」
「は、はい…!!!」

……、気に食わん。

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