端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

退魔東海伝01

2010-07-22 01:00:00 | ワンピース
この世は平和である。
人類が繁栄し、文明は進み、技術は高度。
科学で証明できないものはなく。
謎とされるモノはないとされている。
その認識で間違いない。
表向きは。

「ぎゃっはー!! 死ぬ死ぬ」
「だぁーってろ! 気ぃ散る!」
「あー、そこ左なー」

ぶんっと左にふるった刃は、わずかに味方の鼻を掠める。
悪気はない、緑頭の男は『左』と言われたから左に振るっただけだ。
運悪くその「左側」にいた長鼻の男が再び悲鳴を上げる。

「妖怪に殺される前におめぇに殺されるわ!!」
「手応えがねぇ、どこ行った!?」
「無視かよっ!!」
「斬れてる斬れてる、動きは鈍ってんよ」
「場所!」
「お前の真後ろ」

ザンッ!!

「はい、お疲れさま。
 今回も無事退魔出来たみたいねー」
「おぉ…」

見事にズタボロの三人を見ても。
三人の雇い主ナミは心配するでもなく。
依頼主の携帯に成功報酬の請求を始める。
彼女が経営しているこの店は完全に規格外。
「いない」とされている「存在」を消すことを生業とする。
いわゆる「退魔師」と呼ばれる存在であるが。
「退魔」なんて言葉は一般人はまず知らない。
そのため世間から彼らは「掃除屋」なんて呼ばれている。
ちなみに『退魔出来るまで帰ってくるな!』が社訓である。

「あ、明日の9時にニューゲートさんちに掃除ね!
 遅れたらただじゃすまないわよ?」
「うわぁ…、半日がかりだ…」

その「表向き」の看板も有効に活用し。
昼間は「清掃業」、夜は「退魔」の仕事をこなしている。
拘束時間は18時間以上のきっちりブラック会社である。

「ところであんたたち。
 この請求書の山はどうしてくれるの?」

びらっと見せられた紙はざっとみるに20枚以上。
今回壊したガラス代、水道管修復代、ビルの補修代など。
よくぞこれだけ数えたものだと言うくらい請求される。

「報酬もらってんだろ、そこから出せよ」
「嫌よ、これは私のお金!
 給料からさっ引くからね!!」

その給料だって大して貰えていない。
しかし金銭面で口論したところで勝ち目がないので。
別のところで文句を言うことにする。

「壊すな、ってーのが土台無理なんだよ」
「あ、ナミさん、壊してるのはこいつだけだからね」
「……」
「全額あんたに負担してもらうわ。
 以後半年はムキュウね」

このムキュウ。
半年無休で働き、無給でご奉仕の意である。
ため息一つつくと緑頭の男は了解と返答した。
よろしいと笑顔の経営者。
長鼻の男は隣の金髪の男にこそっと耳打ち。

「あそこでお前、仲間を売るか?」
「本当のことだろ、あいつが壊した」
「けどよぅ…」
「なんなら助けてやりゃいいだろ、正社員」
「雀の涙だ、期待すんな!」
「胸張るとこじゃねぇなぁ」

そこまで話して真面目顔。
たばこに火をつけ、一息吸う。

「まぁ、運命共同体だからな…」

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某兎さんがなかなか面白いことを呟いていたので。
書いてみました、なんちゃって退魔もの。
はっきり言って勢いです。
主人公がどうやってもゾロなのは、仕方ないと思います。
書いてる人がゾロファンなんだもの。

イタリア観光の移動するバスの中で書きました。
3時間バス移動とかもう書くしかなくね?

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