端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

オレンジデイズ

2015-11-21 22:54:46 | 黒子のバスケ
俺はイベントが嫌いだ。
何故だか分からないが、参加しているのに。
皆に笑われるのだ。
頭に来たので、しるこを一気に飲み干した。
やはり、しるこは最高だ。

オレンジデイズ

今に始まったことではないが。
今年のハロウィンが決定的だった。
ハロウィンだからカボチャ。
確かに安直だったことは認めよう。
だが、出会った人たちは口々に言うのだ。

『今日のラッキーアイテムはカボチャなのか』

何でもかんでもラッキーアイテムとして処理される日々。
いいこともあれば、悪いこともある。
こっちとしては、全力で楽しもうとしているのに。
はいはい、と流される。
何故だ、どうしてだ。
それを高尾に話したところ。
いつものように、ぶはっ、と笑って。

「アドバイス通りに動いてんのねーって思われたんだろ。
 マジ可愛いんだけど」
「解せぬ」

腕組みをしてふーっと息をつく。
どこか偉そうなのはいつものことなので。
高尾は一切気にしない。
この高尾、緑間に関する沸点が異常に低い。
笑い出せばいつまでも笑っているし。
一回怒ると殴り合いのけんかに発展する。
ひーひー笑っている高尾がなんとか笑い治まると。

「おは朝の弊害がそんなとこになあ?」
「弊害ではないのだよ」
「イベントに参加しても不参加っつーか、認識されねえんだろ?
 弊害以外のなんなのだよ」
「イベントには参加していないのだよ。
 あと、真似をするな」
「またまたあ、ご冗談を。
 イベント事には積極的に乗って行くスタイルのくせに」
「乗ってない」
「この間のハロウィンの時はカボチャ持ってたし、夏至の時はゆず持ってたろ?
 七夕は当然笹持ってて…」

高尾のコトバに目を見開く。
こいつ、何を言っているんだ。
と言うより。

「見てたのか!?」
「そりゃあ、席近いし、部活一緒だし、大好きだし?」
「おい、最後」

高尾は幸せそうに、ふ、と笑う。
緑間の後ろを指差す。

「んでえ、俺の誕生日にはちゃあんとリボン付いた箱持ってた」
「っ!?」

迂闊だった。
鞄からちらりと見えてしまったらしい。
無言で突っ立ったままの緑間にさすがに高尾が不安になったようだ。
顔を覗き込んでくる。

「それはプレゼントだろ、俺への」

今日は11/21。
高尾和成の誕生日だ。
七夕は俺の誕生日で。
当然のように高尾は祝ってくれた。
知り合いとのミニバスケを企画し、記念品と言いながらプレゼントも別にもらった。
高尾はいい奴だ。
だから、そう、これは日頃のお礼だ。
このプレゼントは、高尾への誕生日プレゼントでは断じてなく。

「ラッキーアイテム…なのだよ…」
「はいはい、かに座のラッキーアイテムはイベントに関連するものなー」
「そ、そうだ」
「じゃあ、何のイベントがあんの?」
「う…」
「緑間は嘘をつかない。
 言葉が足りない時があるだけで」
「う…」
「で、何のイベント?」

にやにや笑う高尾。
だめだ、これは誤魔化せない。

「……誕生日、おめでとう、高尾」
「おう!これとは別に緑間所望でっす!」

ブレないこいつが愛おしいのだから。
俺も相当だな、と思うのだ。

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