早朝6時。
ジョギングと称して、鳴上は外に飛び出した。
目的は当然、体力作りではなく。
花村の捕獲。
痛みを伴う愛 3rd
鮫川河川敷。
そこに目的の人物はいた。
川の方を見つめて立っている。
鳴上はすぐに河川敷に降りていく。
じゃりっと小石を踏みしめる音が響いた。
「みぃつけた」
その音にゆっくりと相手が振り向く。
全く驚いた様子はなく、悟ったかのように静かだ。
花村はひとつため息をついた。
「見つけたんじゃなくて、戻ってきたの」
「……?」
鳴上は花村を追いつめたつもりでいた。
だから花村の『戻ってきた』という言葉に戸惑う。
近付くこともできず、思わず俯くことしかできない。
その様子に、ほらと花村は言葉を続ける。
「何にも言えないだろ?
お前、俺がいないとひとりじゃん。
一人が寂しいから、縛り付けたんだろ?」
違うと声を荒げることができない。
なんでだろう、捕まえたかったはずなのに。
声を聞いて嬉しいという感情しか湧かない。
鳴上、と呼ばれて顔を上げる。
花村がふっと笑う。
「ばーか、んなことしなくても逃げないっつーの」
「……あ」
「だいたいさー、首輪って何?
どこで買ったの、お前、マニアックな店知ってんのな。
手錠は痛かった、二度とすんな」
「……陽介?」
鳴上の言語処理能力が追いつかない。
花村の言葉は責めるというより。
日々の日常会話でする『ツッコミ』のようで。
捕まえてどうするつもりだったんだよ?と笑われる。
そこまで考えてなかった、と返す鳴上に。
花村は、そこ大事だろ!とさらに突っ込んだ。
「物理的な拘束じゃ俺は手に入りませーん。
残念だけど、やり直せ」
「……やり直す?」
「このまま気まずいままでいいのか?」
「……、誰に向かって…言ってるんだ…」
「んー? 都会からやってきた落ち武者?
コミュ障?それとも一人よがり?
もっと言ってやろうか?」
「……いい」
頭を横に振る鳴上。
片手を横脇に添えて、楽な姿勢をとる花村。
立場の優勢は明らかだった。
で?と花村が訊く。
「やり直すの?やり直さないの?」
「……やり直したい。
……ごめん、陽介」
「いいってことよ、相棒」
花村が近付いてきて鳴上を抱きしめた。
いつかの逆だ。
鳴上の気持ちが自然と涙と共に溢れ出てきた。
「……好きだ、好きなんだ。
そばにいて欲しいんだ、寂しいんだ」
「うん」
「……俺はどうすればいい?」
「さぁ?自分で考えろよ」
「ひど…」
少し笑う。
突き放している台詞なのに、気持ちは寄り添っている。
花村はこういう接し方を自然にできた。
だからこそ、鳴上は独占したかった。
「拘束具以外でも縛れるだろー?
『言霊使い』」
「一緒にいて…ください…」
「りょーかい。最初から、そう言えばいいんだよ」
河川敷に朝の日差しが広がった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
余談ではあるが、花村はのちにこう語っている。
「あの3日間で全部の運を使った」と。
*************************
誕生日おめでとう!陽介!!!
私には、鬼畜系病んでる鳴上悠は書けませんでした。
この程度だよ!
途中で挫折してるのがよくわかる、最初の勢いはどうした。
1泊3日の悪夢。
展開次第では、2泊になってたかもしれない。
愛してくれるだろうけど、結局は満たされないんだろうな。
なぜ、テレビを禁止したか。
テレビの中に逃げられないように、ってつもりで最初書いたんだけど。
よくよく考えたら、電源ついてなくても『中』に入れるし。
しかも鳴上くんの体が入らなかったサイズのテレビってとこに行きついて。
情報を入れらるのがまずいっていう理由にしてみた。
あんまり活きなかった、禁止にする意味あったのか…。
そんなこと言ったら、首輪も手錠も活きてないよ…。
やめよう、私の心が折れる。
いまさらですが、タイトルの数字は本編の残数です。
次で終わり。
ジョギングと称して、鳴上は外に飛び出した。
目的は当然、体力作りではなく。
花村の捕獲。
痛みを伴う愛 3rd
鮫川河川敷。
そこに目的の人物はいた。
川の方を見つめて立っている。
鳴上はすぐに河川敷に降りていく。
じゃりっと小石を踏みしめる音が響いた。
「みぃつけた」
その音にゆっくりと相手が振り向く。
全く驚いた様子はなく、悟ったかのように静かだ。
花村はひとつため息をついた。
「見つけたんじゃなくて、戻ってきたの」
「……?」
鳴上は花村を追いつめたつもりでいた。
だから花村の『戻ってきた』という言葉に戸惑う。
近付くこともできず、思わず俯くことしかできない。
その様子に、ほらと花村は言葉を続ける。
「何にも言えないだろ?
お前、俺がいないとひとりじゃん。
一人が寂しいから、縛り付けたんだろ?」
違うと声を荒げることができない。
なんでだろう、捕まえたかったはずなのに。
声を聞いて嬉しいという感情しか湧かない。
鳴上、と呼ばれて顔を上げる。
花村がふっと笑う。
「ばーか、んなことしなくても逃げないっつーの」
「……あ」
「だいたいさー、首輪って何?
どこで買ったの、お前、マニアックな店知ってんのな。
手錠は痛かった、二度とすんな」
「……陽介?」
鳴上の言語処理能力が追いつかない。
花村の言葉は責めるというより。
日々の日常会話でする『ツッコミ』のようで。
捕まえてどうするつもりだったんだよ?と笑われる。
そこまで考えてなかった、と返す鳴上に。
花村は、そこ大事だろ!とさらに突っ込んだ。
「物理的な拘束じゃ俺は手に入りませーん。
残念だけど、やり直せ」
「……やり直す?」
「このまま気まずいままでいいのか?」
「……、誰に向かって…言ってるんだ…」
「んー? 都会からやってきた落ち武者?
コミュ障?それとも一人よがり?
もっと言ってやろうか?」
「……いい」
頭を横に振る鳴上。
片手を横脇に添えて、楽な姿勢をとる花村。
立場の優勢は明らかだった。
で?と花村が訊く。
「やり直すの?やり直さないの?」
「……やり直したい。
……ごめん、陽介」
「いいってことよ、相棒」
花村が近付いてきて鳴上を抱きしめた。
いつかの逆だ。
鳴上の気持ちが自然と涙と共に溢れ出てきた。
「……好きだ、好きなんだ。
そばにいて欲しいんだ、寂しいんだ」
「うん」
「……俺はどうすればいい?」
「さぁ?自分で考えろよ」
「ひど…」
少し笑う。
突き放している台詞なのに、気持ちは寄り添っている。
花村はこういう接し方を自然にできた。
だからこそ、鳴上は独占したかった。
「拘束具以外でも縛れるだろー?
『言霊使い』」
「一緒にいて…ください…」
「りょーかい。最初から、そう言えばいいんだよ」
河川敷に朝の日差しが広がった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
余談ではあるが、花村はのちにこう語っている。
「あの3日間で全部の運を使った」と。
*************************
誕生日おめでとう!陽介!!!
私には、鬼畜系病んでる鳴上悠は書けませんでした。
この程度だよ!
途中で挫折してるのがよくわかる、最初の勢いはどうした。
1泊3日の悪夢。
展開次第では、2泊になってたかもしれない。
愛してくれるだろうけど、結局は満たされないんだろうな。
なぜ、テレビを禁止したか。
テレビの中に逃げられないように、ってつもりで最初書いたんだけど。
よくよく考えたら、電源ついてなくても『中』に入れるし。
しかも鳴上くんの体が入らなかったサイズのテレビってとこに行きついて。
情報を入れらるのがまずいっていう理由にしてみた。
あんまり活きなかった、禁止にする意味あったのか…。
そんなこと言ったら、首輪も手錠も活きてないよ…。
やめよう、私の心が折れる。
いまさらですが、タイトルの数字は本編の残数です。
次で終わり。
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