端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

某、元気!!

2009-06-24 22:04:00 | BASARA
俺には叔父がいる。
賑やかな人で、とにかく前向き。

まつには言うなよ。

これ、この人の決まり文句。
「よぅ、慶次!! 飯食うか?」

Therefore, it doesn't say.

同じ前田家に生まれはしたが、こうも違うものかと。
よく地元連中には言われたもんだが。
家の人間からすれば、「大きな」子供と子供がいるようなもんだったらしい。

「また、寺子屋から逃げてきたのですか!?」
「勉学なんてしないでも、生きていけるやい!」
「なんと! 前田家としてのお勤めを放棄なされるおつもりか!」
「いいよぅ、その話はぁー」
「なりません!!」
「ソレくらいにしといてやってよ」
「利家様…」

俺の「出来すぎた」叔父の登場。
毎回毎回いい間合いで出てきてくれた。

「俺のほうから言っておく。
 お前は持ち場へ戻れ」
「は、ははっ」

足早に去っていく老中。
その背中を見送ると、引き締まった顔がだらりと解ける。
「当主」の顔から「叔父」の顔へ。

「…寺子屋、つまらないか?」
「体動かすほうが断然楽しいね」
「まぁ、某の甥っ子だからな。 血は争えんというやつだ」
「どういうこと?」
「某もよくサボっていた」
「おいおい!」
「まつには言うなよ」


初陣のとき。
俺は目の前の敵に血が上ってて。
自分が囲まれていることも、孤立していることにも全く気付かなかった。
気付いた時には、騎馬に追い掛け回され。
槍で突かれそうになり、刀を振り下ろされ。
もう逃げられない、そう観念した時。

「我が名は、前田利家!! 某はここだぁああ!!!!」

遠方より聞こえる声。
どれだけ頼もしかったろう。
相手が一瞬怯んだ隙に、槍を振り上げて俺は走り出した。
追いすがる敵の目の前に身を翻す前田家当主。
合流すれば、俺たちは無敵だ。

「前田家のちから、見知りおけぇい!!!」

無事、合戦を終えて。
よくよく叔父の姿を見たらば、腕にも額にも痛々しい傷があった。
まじまじと見ていると、照れくさそうに言った。

「お前を助けようと無理してな、だいぶ斬られたようなんだ。
 まつが聞いたら『武家にあるまじき行為だ』と言うだろう。
 でもなぁ、甥っ子も助けられないで民は護れまいよ」

「気にするな。某、元気!!」

「あ、まつには言うなよ。
 俺が一人でドジをした、ってことにしておけ」

叔父・前田利家はこういう人だ。
誰かのために負った傷も、責任も何もかも「勝手に」やったことにして。
まつ姉ちゃんに心配を必要以上にかけないようにしている。
でも、まつ姉ちゃんは知ってるよ。
あんたがそういう人だから惚れたんだっていつも言ってる。
そんな人にあんたは、最期まで言わないのかい?

自分が討たれたとしても「まつには言うなよ」って言うのかい?

かっこよすぎるだろ。
だから、いい年になった今でも頼りになる「叔父上」に。
悪戯をしかけてやりたくなる。

「慶次!! 水風呂は堪忍しろ!!」

どんなひどい有様になったって、まつ姉ちゃんはあんたのこと嫌いにはならないさ。
かっこ悪いあんたのほうが、俺は好きだけどね。

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ギャグになっていない気がする…が、まぁ、こんなんでいいか。
前田家の三人が好きで、食材探しの時は吹いた。
三人が一同に揃うあのステージはいつも瞬殺ですがたまりません。
「慶次、いるって」にすげぇ癒されたのはいい思い出。

次は、む…。
伊達家お野菜事情か。

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