眠れなかった。
すごく疲れているはずなのに。
寝なければいけないのに。
眠れなかった。
寝るのを諦めて、仕方なしに眼を開く。
日は昇らず、ただ月明かりだけが唯一の灯。
初めてではない野宿に、まさかうろたえているわけでもない。
こうして旅をする以前ならば断固拒否だったが、今は至って普通だ。
ベッドであることにこしたことはないが、文句は一切言わない。
ないものは仕方ない、こう考えられるようになったのは大きな進歩である。
なら、なんで眠れないのだろう。
理由を探っても、さっぱり分からない。
身を起こして、周りを見回す。
異常なし。
モンスターはおろか、盗賊などの類の影はない。
人数確認をしてみる。
…2,3,4
あれ?二人いない?
腰を浮かす。
いないのは…、誰だ…?
「ティア!」
「ルーク? どうしたの?」
「ああ、よかった! なぁ、あと一人知らないか!?」
「え? なに?」
「キャンプしてるところに4人しかいなかったんだ!
ティアと…あと誰がいなかったんだろう。
わかんないけど、探してるんだ!」
「落ち着いて。 誰がいたの?」
「ガイとナタリアとジェイドとアニス…だな」
「……自分、数えた?」
「あ…」
「お疲れ様」
「どうも…」
「どうしてここに? って、聞いていいかな?」
「眠れなくて、星を見ながら歌を歌っていたの」
「歌を?」
「気持ちが落ち着くから」
「ふ~ん」
「あなたはどうしたの?」
「俺も眠れなくてさぁ…、なんだろうなぁ」
「…悩み事とかある?」
「……ないって言ったら嘘だろ?」
「そうね、愚問だったわ」
「それってさぁ、眠れない理由になる?」
「十分すぎる理由よ。
そうね、これぐらい静かな夜だと余計かしら?」
「なんで?」
「……歌ってあげるわ」
「え?」
「休みましょう、私も休みたいから」
「あぁ…、うん」
闇夜に歌が響く。
子守唄にしてはちょっと声が高くて。
冷たい印象を受けるけれど、心地よい暖かい歌。
ルークはあっさりと眠りに落ちた。
静かな夜は考えなくていいことまで考えてしまう。
悪い結論ばかりが見えてしまう。
だから、夜は怖い。
だから、寝かせてあげたい。
「おやすみなさい、ルーク」
どうか夢の中では、彼が悩み苦しむことがありませんよう…。
********************
よくあります。
自分を数えないで、数が足りないとパニックになることが。
そのあとえらくホッとするんですな。
すごく疲れているはずなのに。
寝なければいけないのに。
眠れなかった。
寝るのを諦めて、仕方なしに眼を開く。
日は昇らず、ただ月明かりだけが唯一の灯。
初めてではない野宿に、まさかうろたえているわけでもない。
こうして旅をする以前ならば断固拒否だったが、今は至って普通だ。
ベッドであることにこしたことはないが、文句は一切言わない。
ないものは仕方ない、こう考えられるようになったのは大きな進歩である。
なら、なんで眠れないのだろう。
理由を探っても、さっぱり分からない。
身を起こして、周りを見回す。
異常なし。
モンスターはおろか、盗賊などの類の影はない。
人数確認をしてみる。
…2,3,4
あれ?二人いない?
腰を浮かす。
いないのは…、誰だ…?
「ティア!」
「ルーク? どうしたの?」
「ああ、よかった! なぁ、あと一人知らないか!?」
「え? なに?」
「キャンプしてるところに4人しかいなかったんだ!
ティアと…あと誰がいなかったんだろう。
わかんないけど、探してるんだ!」
「落ち着いて。 誰がいたの?」
「ガイとナタリアとジェイドとアニス…だな」
「……自分、数えた?」
「あ…」
「お疲れ様」
「どうも…」
「どうしてここに? って、聞いていいかな?」
「眠れなくて、星を見ながら歌を歌っていたの」
「歌を?」
「気持ちが落ち着くから」
「ふ~ん」
「あなたはどうしたの?」
「俺も眠れなくてさぁ…、なんだろうなぁ」
「…悩み事とかある?」
「……ないって言ったら嘘だろ?」
「そうね、愚問だったわ」
「それってさぁ、眠れない理由になる?」
「十分すぎる理由よ。
そうね、これぐらい静かな夜だと余計かしら?」
「なんで?」
「……歌ってあげるわ」
「え?」
「休みましょう、私も休みたいから」
「あぁ…、うん」
闇夜に歌が響く。
子守唄にしてはちょっと声が高くて。
冷たい印象を受けるけれど、心地よい暖かい歌。
ルークはあっさりと眠りに落ちた。
静かな夜は考えなくていいことまで考えてしまう。
悪い結論ばかりが見えてしまう。
だから、夜は怖い。
だから、寝かせてあげたい。
「おやすみなさい、ルーク」
どうか夢の中では、彼が悩み苦しむことがありませんよう…。
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よくあります。
自分を数えないで、数が足りないとパニックになることが。
そのあとえらくホッとするんですな。
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