端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

素直になれないふたり

2022-02-14 21:00:00 | テキスト(よろず)
「バレンタインって何かね」
「………」
「カノジョ、聞いてる?」
「え、わたしに言ってたんですか。
 盛大な独り言だと思ってました」
「そういうとこー」
「なんですか?」」
「まあ、いいや、そうバレンタインですよ」
「はあ?」
「なんかさ。起源はおっさんが死んだことだの、
 マーケティングの陰謀だの言われてるけどさ!?
 なんでそこでおっさんとチョコが繋がんだよ!?
 意味わかんなくね!?サイコパスか!!」
「そういう哲学的なことはちょっと」
「気にならない?どこからその名前持ってきたのかとか」
「いえ、特には」
「俺さ、長いこと生きてるからさ。
 考える時間は無限にあるわけな。
 だから気になったらずーっと考えちまう」
「……それは」
「まあ、本題はそれじゃないから、いいや」
「バラム、あなた、そういうところがありますよね。
 こっちが答えようとすると話を切る」
「そういう生き物だと思って諦めてくれ」
「話は以上ですか?では、これで失礼します」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「わたし、忙しいんですが」
「またまたぁ、時間があるから隣にいたんだろ?」
「そんなことないです」
「痛い痛い、足踏んでる!!」
「それで?本題とか言ってませんでした?」
「いってえ…ああ、うん、本題ね」
「ないんですか?本当にここを離れますよ」
「待って待って!……ぃ」
「はい?」
「チョコください」
「ハロウィンは終わりましたが?」
「違ぇよ!いや、そこは俺も考えたけども!
 そうじゃなくて、あー!もう、くそー!!!」
「ふふ」
「なんだよ……」
「気が済みました」

はい、どうぞ。

「………そういうとこー」
「もらったことないんですか?」
「命なげえもん、何回かはあるけど。
 あるけどさ、違うんだよな」
「そうですか?」
「俺のことを隠さないでもらうってこういう感じなんだなーって」
「どういう?」
「いつもはもらったら逃げなきゃいけないだろ?
 同じように年齢重ねられないから一緒にいつまでもいられないし?
 だけどさ、メギドなら『あるなら』この先も考えてもいいわけじゃん」
「そうやって予防線を張るのはあなたの悪い癖ですよ」

ありますよ、一緒にいる気。

「今は、ですけど」
「そっちこそ、予防線張るよな!!」
「お互い様です」
「そうだな、お互い様だ」
「お返し、してくれるんですか?」
「欲しい?」
「どうですかね」
「欲しくなったら言えよ。なんか用意するから」
「プレゼントは俺!とか言いませんよね」
「たぶんない!」
「『たぶん』なんですね」
「へへっ、んじゃあ、これ、ありがとな」
「どういたしまして」

シア。
なんですか。
ハッピーバレンタイン。
はい、ハッピーバレンタイン。

****

本編でガミガミやりあってるのが好きなんですよ。
そういう感情があるほうが嬉しいけど、なくてもいいよ。
うん、好きだよ、バラムの顔面。

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