体内時計でだいたい…おやつの時間帯。
ようやくエンゲーブに辿り着いた。
思ったより騒々しくて、人が大勢いて。
何だか土臭いところだった。
入り口の近くにいた男が大袈裟に驚いて見せ、俺たちに話しかけてきた。
「あんたら、歩いてきたのかい?」
「悪いかよ」
「ひとつお聞きしたいことがあります。
キムラスカへ行くにはどうしたらよいでしょうか」
「キムラスカ…ぁ。 あーっと、ローテルロー橋が落とされたらしいから。
そうだなぁ、南のカイツールの検問所へ向かうしかないだろうねぇ」
「ありがとうございました」
「いやいや、エンゲーブの滞在、楽しんで下さい」
男が去っていくと、女は俺の方へ向き直った。
何か言われるかと身構えたが、話し出した言葉は俺に向けてではなかった。
「検問所か…、旅券がないと通れない。困ったな」
「そうかぁ?ファブレ公爵の息子だって言えば、通してもらえるだろ」
「…だといいけれど」
女の顔は晴れない。
公爵の権限を知らないのか?
その気になれば軍を動かせるって話だ。
ガイが言ってた。
そんだけの力があるなら、楽勝だっつーの。
「おい!!あんた、お勘定!!!」
唐突に男の声が聞こえた。
どうやら考え事をしていて、上の空だったらしい。
側で女が呆然と立っていて。
目の前には、と言っても相手は座っているから目線は下だが。
店の店主らしい男がすごい剣幕で睨みつけていた。
「聞こえなかったのか!? 勘定しろって言ったんだよ!」
「え?」
改めて自分の手元を見ると、ひとつのリンゴが握られていた。
そこにはかじった跡もある。
どうやら無意識的に手を伸ばし、食べたらしい。
おやつ時だったからなぁ…。
「屋敷が金払ってるだろ?」
「はぁ!?金払わないってぇーなら、警備兵に突き出すぞ!」
「何言って…、って。あー、そっか。ここはマルクトだったっけ」
「ルーク、お金を払いなさい」
「金持ってねぇよ」
「魔物を倒した時に得たお金があるでしょう!?」
何かもうやだ。
金払うってどうやるんだかわかんねぇし。
とりあえず、女に任せた方がよさそうだったから教えてもらう。
何とかその場を収めて、宿屋に移動することにした。
「ダメだ…、俺の所もやられた」
「何だって!!北で火事が起きてからずっとだ…」
宿屋の前に人だかり。
話を聞いたところに寄ると、食料がなくなったらしい。
ヤケに真剣に悩んでいるから、アドバイスをしてやることにした。
「食料なんて買えばいいじゃん」
「あぁ!?食料なんかとは何だ!!」
「俺たちにとっちゃあ、食料は最も価値のあるもんなんだぞ!」
「あっ!お前、さっきのリンゴ泥棒!!」
「「なにぃ!!?」」
目の色が変わったのが、いやでも分かった。
男達にがっちり腕を掴まれて、ズルズルどこかへ引きずられる。
泥棒は現場に戻るだの、今日が年貢の収め時だのというのは聞き流したが。
血反吐を吐くまで許さんぞ、と物騒なことが聞こえたところで俺は腕を振り払った。
冗談じゃない。
「俺は泥棒じゃねぇ!!」
「そうかよ!!」
思いっきり蹴飛ばされて、俺はどこかの家に飛ばされた。
顔面から落ちて、もの凄く痛い。
ちくしょー、何なんだよ…!
「あんたたち、今、来客中だよ!」
「ローズさん!こいつが泥棒です!」
「だぁかぁらぁ!泥棒じゃねぇって!!」
「食料庫を襲ったのは、彼ではありませんよ」
「イオン様」
ドアの方向を見ると、今にも倒れそうな少年が立っていた。
少年は静かに家の中へ入っていく。
そして、手のひらをローズに差し出した。
ローズはおや?と言ってまじまじと見た。
「これは…チーグルの成獣の毛ですね」
「ええ、食料庫の隅に落ちていました」
「すまないねぇ…、えーっと?」
「ルークだ。ルーク・フォン…」
「ルーク!!!」
「??? ルークさんだね。
今度のことは謝ります。だから、水に流しちゃくれませんか」
「…別にいいけどよ」
何だか、頭が痛い。
疑問もいっぱいありすぎて、何が聞きたかったのか分からなくなっていた。
ローズの一言で解散することになった俺たちは、ぞろぞろと出ていく。
俺はちらりと振り返った。
少年は静かな笑みを浮かべていた---…。
****************************
ごめんなさい、かなり長くなった上ジェイドがカットされ、イオンも全然いません。
ぎゃああ!!急にぶつ切りになったのが悪いんだぁ!!!
泥棒っていうお題がなんでないんだよ!!
そうそう、2周目始めました。
これを…書くためだけに。
ようやくエンゲーブに辿り着いた。
思ったより騒々しくて、人が大勢いて。
何だか土臭いところだった。
入り口の近くにいた男が大袈裟に驚いて見せ、俺たちに話しかけてきた。
「あんたら、歩いてきたのかい?」
「悪いかよ」
「ひとつお聞きしたいことがあります。
キムラスカへ行くにはどうしたらよいでしょうか」
「キムラスカ…ぁ。 あーっと、ローテルロー橋が落とされたらしいから。
そうだなぁ、南のカイツールの検問所へ向かうしかないだろうねぇ」
「ありがとうございました」
「いやいや、エンゲーブの滞在、楽しんで下さい」
男が去っていくと、女は俺の方へ向き直った。
何か言われるかと身構えたが、話し出した言葉は俺に向けてではなかった。
「検問所か…、旅券がないと通れない。困ったな」
「そうかぁ?ファブレ公爵の息子だって言えば、通してもらえるだろ」
「…だといいけれど」
女の顔は晴れない。
公爵の権限を知らないのか?
その気になれば軍を動かせるって話だ。
ガイが言ってた。
そんだけの力があるなら、楽勝だっつーの。
「おい!!あんた、お勘定!!!」
唐突に男の声が聞こえた。
どうやら考え事をしていて、上の空だったらしい。
側で女が呆然と立っていて。
目の前には、と言っても相手は座っているから目線は下だが。
店の店主らしい男がすごい剣幕で睨みつけていた。
「聞こえなかったのか!? 勘定しろって言ったんだよ!」
「え?」
改めて自分の手元を見ると、ひとつのリンゴが握られていた。
そこにはかじった跡もある。
どうやら無意識的に手を伸ばし、食べたらしい。
おやつ時だったからなぁ…。
「屋敷が金払ってるだろ?」
「はぁ!?金払わないってぇーなら、警備兵に突き出すぞ!」
「何言って…、って。あー、そっか。ここはマルクトだったっけ」
「ルーク、お金を払いなさい」
「金持ってねぇよ」
「魔物を倒した時に得たお金があるでしょう!?」
何かもうやだ。
金払うってどうやるんだかわかんねぇし。
とりあえず、女に任せた方がよさそうだったから教えてもらう。
何とかその場を収めて、宿屋に移動することにした。
「ダメだ…、俺の所もやられた」
「何だって!!北で火事が起きてからずっとだ…」
宿屋の前に人だかり。
話を聞いたところに寄ると、食料がなくなったらしい。
ヤケに真剣に悩んでいるから、アドバイスをしてやることにした。
「食料なんて買えばいいじゃん」
「あぁ!?食料なんかとは何だ!!」
「俺たちにとっちゃあ、食料は最も価値のあるもんなんだぞ!」
「あっ!お前、さっきのリンゴ泥棒!!」
「「なにぃ!!?」」
目の色が変わったのが、いやでも分かった。
男達にがっちり腕を掴まれて、ズルズルどこかへ引きずられる。
泥棒は現場に戻るだの、今日が年貢の収め時だのというのは聞き流したが。
血反吐を吐くまで許さんぞ、と物騒なことが聞こえたところで俺は腕を振り払った。
冗談じゃない。
「俺は泥棒じゃねぇ!!」
「そうかよ!!」
思いっきり蹴飛ばされて、俺はどこかの家に飛ばされた。
顔面から落ちて、もの凄く痛い。
ちくしょー、何なんだよ…!
「あんたたち、今、来客中だよ!」
「ローズさん!こいつが泥棒です!」
「だぁかぁらぁ!泥棒じゃねぇって!!」
「食料庫を襲ったのは、彼ではありませんよ」
「イオン様」
ドアの方向を見ると、今にも倒れそうな少年が立っていた。
少年は静かに家の中へ入っていく。
そして、手のひらをローズに差し出した。
ローズはおや?と言ってまじまじと見た。
「これは…チーグルの成獣の毛ですね」
「ええ、食料庫の隅に落ちていました」
「すまないねぇ…、えーっと?」
「ルークだ。ルーク・フォン…」
「ルーク!!!」
「??? ルークさんだね。
今度のことは謝ります。だから、水に流しちゃくれませんか」
「…別にいいけどよ」
何だか、頭が痛い。
疑問もいっぱいありすぎて、何が聞きたかったのか分からなくなっていた。
ローズの一言で解散することになった俺たちは、ぞろぞろと出ていく。
俺はちらりと振り返った。
少年は静かな笑みを浮かべていた---…。
****************************
ごめんなさい、かなり長くなった上ジェイドがカットされ、イオンも全然いません。
ぎゃああ!!急にぶつ切りになったのが悪いんだぁ!!!
泥棒っていうお題がなんでないんだよ!!
そうそう、2周目始めました。
これを…書くためだけに。
リンゴじゃなくてトマトって書いた気がする。
コメントは消したり訂正できないからしょんぼりですなー;
大佐がイ・ナーイorz
しょんぼりだぜ。
でも泥棒ルー君が素敵だからチャラ!
というか、体内時計が素敵すぎるよ。
何だか物語が進んでる気で次が楽しみだよ♪
次からかなり細かいですなー!
6個くらいチーグルの森だもんねぇ。
細かかったり大雑把だったり難しいですなぁ!
ファイトだぜ!
次も楽しみにしてる☆