端と底を行き来するRPG

そのとき、きっと誰かの中心blog。
アーカイブにある作品は人事を尽くした盛者必衰の入れ替え制。

導師イオン

2007-02-20 14:15:25 | 自己終結
体内時計でだいたい…おやつの時間帯。
ようやくエンゲーブに辿り着いた。
思ったより騒々しくて、人が大勢いて。
何だか土臭いところだった。
入り口の近くにいた男が大袈裟に驚いて見せ、俺たちに話しかけてきた。
「あんたら、歩いてきたのかい?」
「悪いかよ」
「ひとつお聞きしたいことがあります。
 キムラスカへ行くにはどうしたらよいでしょうか」
「キムラスカ…ぁ。 あーっと、ローテルロー橋が落とされたらしいから。
 そうだなぁ、南のカイツールの検問所へ向かうしかないだろうねぇ」
「ありがとうございました」
「いやいや、エンゲーブの滞在、楽しんで下さい」
男が去っていくと、女は俺の方へ向き直った。
何か言われるかと身構えたが、話し出した言葉は俺に向けてではなかった。
「検問所か…、旅券がないと通れない。困ったな」
「そうかぁ?ファブレ公爵の息子だって言えば、通してもらえるだろ」
「…だといいけれど」
女の顔は晴れない。
公爵の権限を知らないのか?
その気になれば軍を動かせるって話だ。
ガイが言ってた。
そんだけの力があるなら、楽勝だっつーの。

「おい!!あんた、お勘定!!!」

唐突に男の声が聞こえた。
どうやら考え事をしていて、上の空だったらしい。
側で女が呆然と立っていて。
目の前には、と言っても相手は座っているから目線は下だが。
店の店主らしい男がすごい剣幕で睨みつけていた。
「聞こえなかったのか!? 勘定しろって言ったんだよ!」
「え?」
改めて自分の手元を見ると、ひとつのリンゴが握られていた。
そこにはかじった跡もある。
どうやら無意識的に手を伸ばし、食べたらしい。
おやつ時だったからなぁ…。
「屋敷が金払ってるだろ?」
「はぁ!?金払わないってぇーなら、警備兵に突き出すぞ!」
「何言って…、って。あー、そっか。ここはマルクトだったっけ」
「ルーク、お金を払いなさい」
「金持ってねぇよ」
「魔物を倒した時に得たお金があるでしょう!?」
何かもうやだ。
金払うってどうやるんだかわかんねぇし。
とりあえず、女に任せた方がよさそうだったから教えてもらう。
何とかその場を収めて、宿屋に移動することにした。

「ダメだ…、俺の所もやられた」
「何だって!!北で火事が起きてからずっとだ…」
宿屋の前に人だかり。
話を聞いたところに寄ると、食料がなくなったらしい。
ヤケに真剣に悩んでいるから、アドバイスをしてやることにした。
「食料なんて買えばいいじゃん」
「あぁ!?食料なんかとは何だ!!」
「俺たちにとっちゃあ、食料は最も価値のあるもんなんだぞ!」
「あっ!お前、さっきのリンゴ泥棒!!」
「「なにぃ!!?」」
目の色が変わったのが、いやでも分かった。
男達にがっちり腕を掴まれて、ズルズルどこかへ引きずられる。
泥棒は現場に戻るだの、今日が年貢の収め時だのというのは聞き流したが。
血反吐を吐くまで許さんぞ、と物騒なことが聞こえたところで俺は腕を振り払った。
冗談じゃない。
「俺は泥棒じゃねぇ!!」
「そうかよ!!」

思いっきり蹴飛ばされて、俺はどこかの家に飛ばされた。
顔面から落ちて、もの凄く痛い。
ちくしょー、何なんだよ…!
「あんたたち、今、来客中だよ!」
「ローズさん!こいつが泥棒です!」
「だぁかぁらぁ!泥棒じゃねぇって!!」

「食料庫を襲ったのは、彼ではありませんよ」

「イオン様」
ドアの方向を見ると、今にも倒れそうな少年が立っていた。
少年は静かに家の中へ入っていく。
そして、手のひらをローズに差し出した。
ローズはおや?と言ってまじまじと見た。
「これは…チーグルの成獣の毛ですね」
「ええ、食料庫の隅に落ちていました」
「すまないねぇ…、えーっと?」
「ルークだ。ルーク・フォン…」
  「ルーク!!!」
「??? ルークさんだね。
 今度のことは謝ります。だから、水に流しちゃくれませんか」
「…別にいいけどよ」

何だか、頭が痛い。
疑問もいっぱいありすぎて、何が聞きたかったのか分からなくなっていた。
ローズの一言で解散することになった俺たちは、ぞろぞろと出ていく。
俺はちらりと振り返った。
少年は静かな笑みを浮かべていた---…。

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ごめんなさい、かなり長くなった上ジェイドがカットされ、イオンも全然いません。
ぎゃああ!!急にぶつ切りになったのが悪いんだぁ!!!
泥棒っていうお題がなんでないんだよ!!
そうそう、2周目始めました。
これを…書くためだけに。

1 コメント

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2周目おめでとう! (黒兎)
2007-02-21 01:26:46
あ、ごめん、前のどっかのコメで、
リンゴじゃなくてトマトって書いた気がする。
コメントは消したり訂正できないからしょんぼりですなー;

大佐がイ・ナーイorz
しょんぼりだぜ。

でも泥棒ルー君が素敵だからチャラ!
というか、体内時計が素敵すぎるよ。
何だか物語が進んでる気で次が楽しみだよ♪

次からかなり細かいですなー!
6個くらいチーグルの森だもんねぇ。
細かかったり大雑把だったり難しいですなぁ!
ファイトだぜ!
次も楽しみにしてる☆
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