昨日のブログに続き、「軍艦島」のお話。
軍艦島の異様な魅力に惹き込まれ、ついつい予約してしまった遊覧船
女神大橋(シャープでかっこいい)
マリア像(長崎ならではの風景)
はじめは、みんなデッキにあがり強い海風を楽しむ余裕さえあった。
はじめは・・・なのだ。
私は、海風で髪の毛がベトベトになるのが嫌だったので
早々に船内に入り、中の窓から外を眺めていた。
すると上から「キャー」と悲鳴が・・・。
その後、びちゃびちゃになったみんながデッキから一斉に降りてきた。
どうやら、今日は波が高くそのせいで波しぶきが頭からかかったらしいのだ。
マリア像を抜けると、外海に出るため波も高くなるのだ。
今まで私の乗ったことのある船は四国行きの宇高国道フェリーくらいだ。
始めはその高い波も「長崎の波はやっぱり高いねぇ」と喜ぶ余裕もあったのだが、
だんだんとその余裕が無くなっていく。
なぜなら波がどんどん高くなっていったからである。
波の動きに合わせ誰かが「キャア~」とさけぶ。
そして、窓から見える景色が恐ろしいものになっていった。
高い波と波の間に船がすっぽり入ると、両サイドには濃紺の波波波。
これ、潜水艦じゃないよね!?(と冗談も言えない)
船の窓からは海面が見えず、2メートル以上も上に海面が!!!
それはジェットコースターの角度と同じだった。
急角度で上ったかと思うと、今度は一気に落ちる、
その後、船が波に叩きつけられバウンド。
その恐怖の時間は30分以上続いた・・・。
そうなると、もう誰もが船酔いになり、船員さんに助けを求める。
船員さんは黒いビニールゲロ袋を慌ててみんなに配り始めた。
歩くのも必死である。
「遊覧船転覆 乗客40名行方不明」の文字が頭に浮かぶ。
「し、沈まないですよね??」と血の気の引いた顔で聞く私。
「大丈夫だと思います」と船員。
「お、思いますぅ~!?」
「この波でも引き返さないんですか???」
「もう半分以上来ましたから。」
座っているともう駄目(ゲロ)だ・・・と思った私は、
濡れてもいい覚悟で外に出た。
必死で柱のようなものを掴み、とにかく耐えた。
そこで出会ったのが、以前軍艦島に住んでいたオジサンだった。
このオジサンとの出会いで、私は息を吹き返した。
柱に必死に掴まりながらも、オジサンの話を聞いた。
端島を出た後、水島(岡山)に行った話や
この島には映画館もボウリング場も娯楽は全部あったんだ。とか、
「行きは波は高いが帰りはそんなに揺れないよ」(本当にそうだった)
などなど、いろんな興味深い情報を頂き、私の船酔いはどこかに消えた。
そして、生き残った私が撮った写真がこれ。
波が高かったので、これ以上近づいてくれなかった。
間近で見ると、息を呑む。
なぜか軍艦島につくと波はおさまった。
当時、波の高さは3~4メートルあったらしい。
瀬戸内海ではせいぜい50センチだ。
(これで出航していいのかどうか疑問だ)
もしも、GWで軍艦島クルーズをお考えの方。
波の高さや風の強さをよく見てから参加していただきたいのである。
それに、お子様連れはお勧めできない。
もしも、こんな揺れに遭遇したならきっとトラウマになるからだ。
結局、酔わずに生還したのは、私、オジサンを含め
4~5人の乗客のみ。半分以上がゲロゲロの恐ろしい遊覧船となった。
私の友人もこの後、丸一日寝込んでしまった。
そして、これがトラウマとなり、未だに恐怖で船に乗れないという。
結局、軍艦島よりも船の恐ろしい揺れのほうが思い出に残ってしまった。
30年も放っておかれた軍艦島の呪いだったのだろうか・・・
貴重な体験だけど、もう二度とイヤだ