こどもが
黄色い目やにをつけて
おはようと起きてきた
口の周りに
白い乳のような粉が
ついている
髪の毛はぽわぽわと
タンポポの綿毛のようで
吹けばそのまま
宙に浮かびそうだと思った
こどもが
小さなあくびを
ああんと声に出してするので
顔を洗いなさいと
洗面所に追い立てた
その間に
みそ汁を温めなおして
小さな茶碗に
ごはんをよそった
こどもが
まだ水滴のついた顔で
とことこと
食卓へ来るので
タオルで水滴をぬぐってやって
それから
席に促した
こどもは
小さな茶碗と
まだ上手にもてない
お箸を握って
ぼんやりごはんを
口へと運ぶ
朝の光が
こどもを包み
こどもの産毛が
光をはじく
こどもがこのまま
消えてしまいそうで
少し慌てて
ほらほらこぼさないでね
と誤魔化すみたいに
声を出してみる
幸福がこどもの姿をして
ここにいるのだ
幸福が行ってしまわないように
私はこどもを抱きしめる
きっとこの先
この子が大きくなったとしても
やっぱり私は抱きしめるだろう
こどもの姿をした幸福を
幸福の姿をした
私のこどもを